現在の韓国は、統治不能の無政府状態に近い。
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大統領は内乱罪の被疑者に転落し、逮捕の危機に直面している。さらに出国禁止措置も取られている。
それにもかかわらず、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は正面突破を宣言し、戒厳令の発布を統治行為だとして司法審査の対象ではないと主張した。この結果、国は再び二分される事態となった。
行政機関は機能を失い、公務員社会は責任回避と無気力で凍り付いている。何よりも軍が動揺し、指揮系統の不確実性が高まり、保たれるべき秩序が揺らいでいる。
政局は大混乱の渦に巻き込まれているが、与野党ともに国民や国際社会が感じる不安や不確実性を払拭できずにいる。この混乱の被害はそのまま国民に降りかかっている。
年末商戦に期待していた自営業者や小規模事業者、企業は肩を落としている。市民は依然として不安を感じ、国の品格は失墜し、国家信用度も揺らいでいる。
国際社会の韓国に対する不安が高まるなか、株価や為替相場は連日乱高下し、原子力発電や防衛産業の輸出にも影響が出ている。
12月3日の非常戒厳令と即座の解除は、韓国経済を日ごとに蝕んでいる。韓国の株式市場と外国為替市場はすでに直撃を受けた。
これまで政府が為替相場を安定させるために外貨準備を費やし、1ドル=1400ウォン以下を維持しようとした努力は一瞬で無に帰し、15年ぶりの連続基準金利引き下げの効果も消えてしまった。
株価は「価値向上」を掲げていたにもかかわらず、わずか数日で暴落した。証券市場は12月9日までの4日間で、時価総額144兆ウォン(約15兆3746億円)が蒸発した。「大統領の戒厳令試みの代償を5100万人の国民が分割払いで支払うことになるだろう」というアメリカ経済誌『フォーブス』の予測は、現実となりつつある。
政治的な不安定は、韓国の対外的信用度にも悪影響を与えている。
韓国政府が力を注いでいたチェコの原子力発電事業受注や防衛産業輸出の危機が懸念されている。当初、年内に締結が予想されていたポーランド政府とのK2戦車の第2次輸出契約は、今年中の締結が難しいとの見方が浮上している。来年3月に本契約を控えるチェコの原子力発電事業受注も不透明な状況だ。
数兆ウォン規模の大規模契約が国家間のプロジェクトとして進められる以上、外交的信頼と首脳外交が重要であるが、戒厳事態による権力の空白で外交機能は事実上麻痺し、不確実性がこれまで以上に高まっている。
増大する不確実性の中で、主要な外交日程は次々と中止されている。
12月5~7日に予定されていたスウェーデンのウルフ・クリステション首相の訪韓が取り消され、来年1月に計画されていた日本の石破茂首相の訪韓日程も不透明になった。
米韓間の第4回核協議グループ(NCG)会議も突然延期された。
特に対米外交の枠組みが揺らいでいる。首脳間のコミュニケーションを重視するトランプ次期大統領の性格に合わせて準備してきた戦略が崩れた。トランプ第2期の始動(来年1月20日)前に韓国政府の立場を反映させるための黄金の時間が失われている。
前例のない国政麻痺のなか、最も大きな被害を受けているのは国民だ。
戒厳事態と弾劾局面で、経済・外交・安全保障・内政など国政が事実上機能停止し、国民の生活は不安そのものとなってしまった。
相次ぐ企業の緊急経営宣言や投資縮小の発表は、庶民の日常に暗い影を落としている。年末商戦を期待していた希望は打ち砕かれ、不安定な状況がいつまで続くのかわからないという気持ちは、市民生活を圧迫している。
政府も政治も、今のところ国民を守ることができていない。
(記事提供=時事ジャーナル)
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