韓国の保守勢力が“不正選挙疑惑”を連日主張し、「12・3非常戒厳」の正当性を訴えている。
違憲・違法な非常戒厳で弾劾訴追された尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領を、最後まで支持する姿勢だ。
尹大統領が12月12日の対国民談話で「選挙管理委員会のシステム問題」に言及し、データ操作の可能性を示唆したこととも軌を一にする主張だ。
その中心にいるのは、「サラン第一教会」チョン・グァンフン牧師（自由統一党常任顧問、大韓民国パロセウギ国民運動本部議長）で、彼は「第22代国会議員の半数以上は偽物だ」と批判した。
一方で、尹大統領の当選については「それは（偽物では）ない」としている。
チョン牧師は12月16日、ソウル永登浦（ヨンドゥンポ）区・汝矣島（ヨウィド）の党本部で「（4・10総選挙で）当選した左派、野党議員192議席のうち半分は偽物だ」と主張した。
彼は「先週末、光化門（クァンファムン）に集まった全員が自由統一党の党員であるにもかかわらず、（前回の総選挙の得票数が）64万票しか出ていないのを誰が認めるだろうか」と述べた。さらに「国家情報院はこのことを以前から把握しており、尹大統領も検察総長時代に警告していた」と付け加えた。
チョン牧師は、選挙管理委員会のシステムにも疑問を投げかけた。
「選管委のパスワードが12345ということ自体、選管委が外部勢力とつながっている証拠だ」とし、「昨年、国家情報院の選管委セキュリティ評価でも、北朝鮮や中国による継続的なハッキングが確認され、戒厳令当時に選管委に軍が大規模に投入されたのは、不正選挙問題が深刻であることを示している」と主張した。
ただし、前回の大統領選挙における不正の可能性については否定し、尹大統領が当選した大統領選に関して「それは違う」と答えた。
チョン牧師は「尹大統領に会ったこともなく、通話したこともない」と述べ、「私たちは100％不正選挙だとUSBにまとめて伝えようとしたが、チョン・ジンソク秘書室長の段階で止められてしまったようだ。社会首席を呼び出して抗議するしかなかった」と明かした。
また、彼は野党に矛先を向け、在韓米軍撤退論を問題視した。
チョン牧師は「共に民主党の李在明（イ・ジェミョン）代表と民主党が在韓米軍の撤退を主張し、連邦制統一を綱領政策に明記したのは、大韓民国憲法上も違憲だ」と述べ、「憲法は北朝鮮式の共産主義ではなく、自由民主主義の市場経済秩序の下での統一だけを命じているからだ」と強調した。
保守勢力による不正選挙疑惑の提起は、今回が初めてではない。国会議員総選挙（2024年4月10日）当時も事前投票の問題が取り上げられてきた。
しかし、こうした主張は最近再び注目されており、尹大統領の談話内容と似ている点も指摘されている。
尹大統領は12月12日の対国民談話で、選挙管理委員会の大規模な採用不正事件が浮上した際、国家情報院がシステム点検を行ったことを説明した。
そして「システム装置の一部のみ点検に応じ、残りは拒否されたが、部分的な点検だけでも状況は深刻だった」と述べ、「国家情報院の職員がハッカーとして侵入を試みたところ、データ操作が容易であり、事実上ファイアウォールも機能していなかった」と指摘した。
さらに尹大統領は「パスワードも『12345』のように非常に単純なものだった」とし、「システムのセキュリティ管理会社も非常に小規模で専門性に欠けていた」と強調した。
これに関連し、チョン牧師は「戒厳令以降を振り返ると、大統領は大統領選当時から中国と北朝鮮の選挙介入説を主張し、関連する捜査への意欲を示していた」と述べた。尹大統領の国家情報院コメント捜査チームの指揮経験や、過去の発言に基づいて「今回の戒厳の目的は不正選挙問題を調査するためだ」と強調した。
尹大統領に対する弾劾訴追案が国会で可決された先週末にも、こうした主張は繰り返された。チョン牧師は当時、ソウル光化門の集会で「今回の非常戒厳に問題はない」と強調し、職務停止となった尹大統領に対して「次回の光化門集会に出席してほしい」と呼びかけた。
チョン牧師が率いる市民団体などは、光化門などで大規模な集会を継続している。
（記事提供＝時事ジャーナル）
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