北朝鮮は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状の発付をはじめ、最近の韓国内の政治状況について詳細に報じた。
「修羅場」「傀儡韓国」といった表現を用いながら、韓国の政局を揶揄する姿勢を見せている。
朝鮮中央通信は1月3日、「傀儡韓国で12・3非常戒厳事態以降、前例のない弾劾事態が相次ぎ、大統領に対する逮捕状が発給されながら、国政が麻痺し、社会的・政治的混乱がさらに拡大している」と報じた。
朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』の報道は、さらに率直だった。
同紙は同日、「尹錫悦傀儡と内乱残党の蠢動(しゅんどう)、党派的利益を優先する与野党間の激しい対立と暗闘が日増しに激化している」とし、「憲政史上初めて大統領とその代理に対する弾劾案が連続して可決され、次の大統領代理の弾劾も予告されており、大統領に対する逮捕状まで発給され、傀儡韓国は政治的機能が麻痺した混乱状態になっている」と述べた。
これらのメディアは、戒厳事態以降の尹大統領の弾劾案可決、ハン・ドクス大統領権限代行兼国務総理の弾劾、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による尹大統領への逮捕状発付など、一連の事態を詳細に報じている。
朝鮮中央通信は外国メディアを引用し、「韓国は政治的混乱の深淵にさらに深く陥った。自由民主主義体制を口癖のように唱えていたが、崩壊状態だ」と非難した。
北朝鮮が韓国の政局について報じたのは、昨年12月16日に尹大統領の弾劾案可決を伝えて以降、初めてだ。当時、朝鮮中央通信は特に論評することなく、「傀儡韓国で12月14日、尹錫悦傀儡に対する弾劾案が可決された」と伝えていた。約2週間ぶりに弾劾をめぐる状況が、再び北朝鮮メディアに登場した形だ。
これまで北朝鮮が沈黙を守ってきた背景には、体制転覆を懸念する金正恩(キム・ジョンウン)政権の危機感が反映されていたと推測される。韓国の大統領弾劾のニュースが知られれば、金正恩に不満を持つ北朝鮮住民が動揺する可能性があるからだ。
それにもかかわらず沈黙を破り報道を決定したのは、韓国政局の混乱ぶりを知らせることで、自国体制の優越性を強調しようとする意図が大きかったと見られる。
(記事提供=時事ジャーナル)
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