「12・3非常戒厳」を主導した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とキム・ヨンヒョン前国防部長官の間に、異常な緊張関係が見られている。
尹大統領側が「内乱」の証拠として挙げられている「政治活動禁止布告令」や「国家非常立法機構の新設」などをキム前長官が主導したとする弁論を展開したからだ。
これに対し、キム前長官側は布告令について「尹大統領が全体的な検討を行った」と反論しており、両者の間で攻防が繰り広げられる兆しを見せている。
尹大統領は1月21日、自身の弾劾審判の第3回弁論期日に直接出席し、戒厳令布告後の解除決議のために国会議員を追い出すよう指示したのかという問いに対し否定した。
この日、憲法裁判所のムン・ヒョンベ所長代行から「戒厳令布告後、解除決議のために国会に集まった議員を追い出すよう指示したことがあるか」「イ・ジヌ前首都防衛司令官およびカク・ジョングン前陸軍特殊戦司令官に指示したことがあるか」という質問を受けた尹大統領は、「ない」と答えた。
また、「国家非常立法機構に関連する予算を編成するよう指示したメモを(チェ・サンモク)企画財政部長官に渡したことがあるか」という問いには、「私はそのようなことをしたことがなく、後になって戒厳令を解除した後、かなり経ってからメモが出てきたという記事を見ただけだ」と主張した。
尹大統領はそのメモが実際に存在するのであれば、作成者はキム・ヨンヒョン前長官である可能性が高いと推測した。
尹大統領は「しかし、その記事の内容も少し不正確であり、それを作ることができるのは(当時のキム・ヨンヒョン)国防部長官しかいないが、国防部長官がその時点で拘束されていたため、具体的な確認はできなかった」と述べた。
続けて「内容自体がいくつか矛盾しているようにも思える」と付け加え、「詳細に聞いていただければわかる範囲でお答えする」と発言を控えた。
尹大統領側は、布告令もキム前長官が主導して作成したものだと主張した。戒厳令当時、戒厳司令部が発表した布告令第1号には「一切の政治活動禁止」「報道・出版の統制」「未復帰の研修医の処断」などの内容と共に、「布告令違反者に対しては、大韓民国戒厳法第9条(戒厳司令官の特別措置権)に基づき、令状なしで逮捕・拘束・押収・捜索が可能であり、戒厳法第14条(罰則)に基づき処断する」と明記されていた。
尹大統領側はこの日、「キム・ヨンヒョン前国防部長官が(大統領に)国会解散権が存在していた以前の軍事政権時代の戒厳令文をそのまま書き写したものを、被請求人(尹大統領)が修正した」とし、「(布告令第1号は)戒厳の形式を整えるためのものであり、執行の意図はなく、上位法に抵触する可能性があるため実行することもできなかった」と明らかにした。
これに先立ち、尹大統領側は1月14日に憲法裁判所に提出した答弁書でも、「キム前長官がかつて大統領に国会解散権があった時代の文言をそのまま書き写した」「文言の誤りを(尹大統領が)不注意で見落とした」と主張し、キム前長官の責任を強調していた。
尹大統領側のこうした主張に対し、キム前長官側は最大限、発言を控える姿勢を見せている。両者の「正面衝突」と受け取られることを警戒しているようだ。
それでも、非常戒厳当時に作成された布告令は、尹大統領が直接検討したものであると繰り返し強調している。
キム前長官側の法律代理人であるイ・ハサン弁護士は1月16日、ソウル中央地裁の前で記者団に対し、「キム前長官が直接草案を作成し、尹大統領が全体的な検討を行った」と述べ、「(作成過程で)いかなる錯誤もなかった」と語った。
また、「不正選挙に関連する勢力が政治活動を介して国会を掌握する現象が発生したため、これらの政治活動を禁止するという趣旨であり、正当だ」と主張した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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