反省の色なし?尹大統領、弾劾審判での「非常戒厳で何も起こらなかった」発言に与党からも批判

2025年02月05日 政治 #時事ジャーナル
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尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が12・3非常戒厳に関して「何も起こらなかった」と発言し、「湖に映った月の影を追うようなもの」と主張したことで、与党「国民の力」内部からも批判が上がっている。

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戒厳当日に国会で実際に起きた出来事を踏まえ、無責任な発言だとの指摘が相次いでいるのだ。

2月5日、与党幹部のキム・ジェソプ議員はSBSのラジオ番組『キム・テヒョンの政治ショー』に出演し、「何も起こらなかったわけではない」と強調し、「(戒厳当日)武装した軍人が国会に入ってきた。それは一体何だったのか」と指摘した。

さらに「12月3日、国会に軍が入るのを阻止するため、本会議場の出入り口に国会の備品を使ってバリケードを設置した。その際に破損した椅子などが国会の倉庫に積まれているのを見た」と述べ、「どうして何も起こらなかったと言えるのか」と疑問を呈した。

尹錫悦大統領
(写真=写真共同取材団)尹錫悦大統領

尹大統領は2月4日、憲法裁判所で行われた自身に対する弾劾審判の第5回弁論期日で、「今回の事件を見ると、実際には何も起こっていないのに『指示をしたのか』『指示を受けたのか』といった話が出ている。まるで湖に浮かぶ月の影を追いかけるようなものだと感じる」と主張していた。

これに対し、キム議員は「私が(戒厳解除決議案の採決のために)国会の塀を乗り越えたときの記憶を辿ると、軍が国会に進入してきていたし、ヘリも飛んでいた。窓ガラスも割れた。これらはすべて事実だ」として、「戒厳の目的が達成されなかっただけで、戒厳そのものがなかったわけではない」とし、尹大統領の発言は事実を歪曲していると批判した。

尹大統領の発言意図は?「証人への圧力」指摘も

キム議員は、尹大統領が「湖に浮かぶ月」と表現した意図について、「(証人たちに)プレッシャーを与える目的、また、実際には何もない『単なる警告のための戒厳だった』という認識を植え付ける狙いがあるように見える」と分析した。

そして「全国民が戒厳令の布告を確認し、軍が国会に入ってきたことも目撃したため、大統領の発言は空虚に聞こえる」と非難した。

「国民の力」元代表のハン・ドンフン派のキム・ジョンヒョク元最高委員も、尹大統領の「何も起こらなかった」という主張について、「論理的に成り立たない発言だ」と指摘した。

キム元最高委員は、MBCのラジオ番組『クォン・スンピョのニュースハイキック』に出演し、「(尹大統領は)『2時間の内乱などあるのか』と言っているが、それが短時間で終息したのは、大統領や戒厳軍の意思によるものではなかった」として、「国会議員たちが封鎖を突破して決議を行い、市民が周囲に集まり、戒厳軍に対して激しく抵抗したからこそ、短時間で終息したのだ」と強調した。

また、尹大統領が「失敗するために戒厳令を発令した」「啓蒙のために戒厳令を発令した」と発言したことについても、「それは結果論としてそうなっただけであり、最初から失敗を意図していたわけではない。少しでも論理的に考えられる人なら、大統領の発言がありえないことがわかるはずだ」と批判した。

尹錫悦大統領
(写真=写真共同取材団)尹錫悦大統領

与党内から批判続く…「内乱は試みただけでも成立する」

ソウル・松坡(ソンパ)丙のキム・グンシク党員協議会運営委員長も2月5日、チャンネルAの番組『政治シグナル』に出演し、「大統領の発言は、『そうだ。私は戒厳令を発令し、国会本館のガラスを割って突入したが、結局誰も逮捕されなかったし、戒厳も終了したではないか。実際に執行されたものは何もないのに、なぜ騒ぐのか』という意味なのだろう」と解釈した。

その上で、「だが、内乱というものは意図を持ち、試みただけでも成立するものだ。『統合進歩党』のイ・ソッキ議員が逮捕され、政党が解散されたときのことを思い出してみるべきだ」と指摘した。

さらに、「実際に成功しなかったからといって、『なぜ湖に映った月ばかり見て批判するのか』というのは、刑事被告人として罪を逃れるための発言なら理解できるが、大統領としては無責任な発言だ」として、「反省する姿勢が必要だ」と批判した。

また、アン・チョルス議員も4日、CBSのラジオ番組『パク・ジェホンの一発勝負』で「本当に何も起こらなかったと思うか」と質問されると、「違う」と答えた。

さらに「戦争や内乱状態でもなく、ましてや国会に軍隊を派遣すること自体が憲法違反だと考えたため、(尹大統領の)弾劾訴追に賛成票を投じた」と明らかにした。

(記事提供=時事ジャーナル)

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