過去に「親日史観」論争を巻き起こしたキム・ムンス雇用労働部長官の歴史観が、再び議論の的となっている。
キム長官が最近、国会の対政府質疑で、独立運動家の金九(キム・グ)の国籍について「中国という話もある」と発言したことが発端となった。
金九の曾孫である最大野党「共に民主党」のキム・ヨンマン議員が「歴代級の妄言」と反発するなか、野党だけでなく、与党内の一部からもキム長官の辞任と反省を求める声が相次いでいる。
「共に民主党」のユン・ジョングン院内報道官は2月17日、書面ブリーフィングで「大韓民国の国務委員という人物が、愛国烈士や殉国先烈を辱め、謝罪すら拒否していることに、ただただ呆れるばかりだ」とし、「キム長官は先祖と愛国烈士、殉国先烈に対してこれ以上罪を犯さず、直ちに辞任せよ」と求めた。
ユン報道官は「キム長官がこうした妄言を吐いたのは今回が初めてではない」とし、「昨年の対政府質疑では、日帝強占期(日本統治時代)に我々の先祖が日本人だったという主張までした」と批判した。
さらに「我々の先祖の国籍を日本に変え、愛国烈士や殉国先烈の国籍を中国に変えるとは、一体正気なのか」と強く非難した。
金九の曾孫であるキム・ヨンマン議員も同日、国会で記者会見を開き、「キム・ムンスは、大韓民国の長官どころか、国民としての資格すらない」と厳しく批判した。キム長官が大韓民国の根幹である臨時政府と、殉国先烈である金九を侮辱したと主張した。
キム議員は「祖父が墓から飛び起きるような発言であり、数多くの独立運動家が地下で慟哭する歴代級の妄言だ」とし、「あなたが立っているこの大韓民国、あなたの長官職、そのすべてが先烈たちの血と犠牲の上に築かれたものだ」と批判した。
さらに「大韓民国臨時政府の主席がどうして中国国籍を持つことができるのか」と反問し、「大韓民国の長官という人物が、大韓民国臨時政府を否定している」と指摘した。
キム長官は2月14日、国会の対政府質疑で、「日帝時代の金九先生、安重根(アン・ジュングン)義士、尹奉吉(ユン・ボンギル)義士の国籍は何か」とのチェ・ミンヒ議員の質問に対し、「安重根義士は朝鮮国籍であり、金九先生は中国国籍を持っていたという話もあり、歴史学者がすでに研究している」と述べた。
この発言を受け、与党内でもキム長官の発言を問題視する声が上がった。
ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長は2月15日、自身のフェイスブックで「金九先生の国籍を中国だとする奇想天外な発言には呆れるばかりだ」と批判した。
ホン市長は「上海臨時政府の時代から国籍は大韓民国であるとする主張もあるが、当時は国家の三要素のうち『国民』しか存在せず、議論の余地がある」とし、「日帝時代、国民は存在していたが、領土と主権を奪われており、当時の我々の国民は国内外で無国籍状態だったと見るべきだ」と述べた。
さらに「日帝強占期における大韓民国国民の国籍を日本とするのは、乙巳勒約(1905年の第二次日韓協約)と韓日併合を合法的に認める日本の植民史観であり、それに従えば、日帝時代の独立運動は内乱と見なされることになる」と指摘した。
そして「乙巳勒約と韓日併合は強制的に結ばれた無効の条約だ」と述べた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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