「日本の植民地時代を称賛したら処罰」法案が発議…韓国が“その時代”に異常なこだわりを見せる理由

2025年02月13日 国際 #歴史問題
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韓国の国会議員が「日本の植民地支配称賛等の処罰に関する特例法案」を発議し、注目を集めている。

【注目】「私たちの先祖の国籍は日本だった」韓国議員の“問題発言”

代表発議したのは韓国最大野党「共に民主党」のホ・ソンム議員だ。

ホ議員は2月12日に法案を発議したことを明らかにし、「過去、日本は大韓帝国の国権を強制的に侵奪し、軍人・軍属・労務者などを強制徴用したり、女性を強制動員したりして性的虐待を加え、日本軍『慰安婦』としての生活を強要するなど、私たちの民族を抑圧・収奪し、反人倫的な戦争犯罪行為を行った」と述べた。

法案発議の背景については「歴史を否定し、さらに擁護・美化したり、虚偽の主張をしたりすることは、独立有功者やその遺族の名誉を毀損し、戦争犯罪被害者の人権と尊厳を侵害する行為であり、これは憲法と国家のアイデンティティを否定するものだ」とし、「このような行為を処罰することで、大韓民国の伝統と民族精神を守らなければならない」と説明した。

ホ・ソンム議員
(写真=ホ・ソンム議員Facebook)

歴史的な事実を見ると、1910年8月の「韓国併合に関する条約」によって、大日本帝国が大韓帝国を併合して統治下に置いた。その結果、韓国は1945年まで日本の一部となった。

一言でいえば、その時代の美化を禁止する法律といえる。

日本統治時代の“見方”が重要なワケ

この法案の念頭にあるのは、「日本の植民地時代が韓国の発展に貢献した」という歴史観を持つ「ニューライト」と呼ばれる勢力だろう。ニューライトは韓国の保守派のなかでも、植民地時代の近代化を肯定的に評価する立場を取る勢力を指す。

韓国の独立運動家やその遺族らで構成された「光復会」がホームページに掲載した「9大ニューライト定義」を見ると、ニューライトは「日本政府の主張通り『植民支配合法化』を図る一連の知識人や団体」となる。「日帝強占期の朝鮮人の国籍を日本だと強弁する」「慰安婦や徴用を『自発的だった』と強弁する」などが“ニューライト判別法”とのことだ。

次期大統領に最も近い人物とされている「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、昨年10月の国会で開かれた最高委員会議で「国家の正統性を毀損する“親日ニューライト”ウイルスを公職から根絶すべきだ」と激しく批判している。

李在明代表
(写真=時事ジャーナル)李在明代表

これは、雇用労働部のキム・ムンス長官が「日帝時代、私たちの先祖の国籍は日本だった」と発言したことに対しての批判だった。キム長官は、与党「国民の力」の次期大統領候補の筆頭だ。

つまり、韓国では日本統治時代を美化するのが保守層=与党「国民の力」、否定するのが進歩層=最大野党「共に民主党」となる。

この対立は根深い。李代表が「国家の正統性を毀損する」と指摘しているように、その時代をどうとらえるかは、韓国という国家の成り立ちそのものに関わる問題だからだ。

韓国では、韓国を「大韓民国臨時政府」(1919年)の正統な継承国家であるとする立場と、日本統治時代を経て1948年8月15日の大韓民国政府樹立で初めて誕生したという立場が対立している。

キム長官のように日本の統治時代を肯定的に捉える立場では、当時の朝鮮半島は日本の一部であり、国家としての韓国は存在しなかったと考える。そのため、親日的な活動をしていた人々も「祖国を裏切った」のではなく、合法的な統治のもとで生きていただけだと主張する。

キム・ムンス長官
(写真=時事ジャーナル)キム・ムンス長官

一方、李代表のように日本の統治時代を否定する立場では、韓国の独立運動家たちこそが正統な国家の担い手であり、日本に協力した親日派は民族の裏切り者であると見なす。この立場では、日本統治を美化することは、独立運動の正当性を否定し、韓国の国家アイデンティティそのものを揺るがす行為とされる。

1910年から始まった日本の統治時代をどう評価するかは、単なる歴史認識の違いにとどまらず、韓国社会における保守と進歩の対立を鮮明にする要因の一つとなっているといえるだろう。

今回、ホ議員が代表発議した法案は、特定の歴史観を否定する立場を法的に保護し、それに反する主張を処罰の対象とする内容であるため、オンライン上では賛否が巻き起こっている。

ホ議員を支持する側は「歓迎する。ドイツではナチスを称賛すれば処罰される」「もっと早くから必要だった法案だ」「法が変われば認識も変わる」「これに反対するのは売国奴ではないか」といった反応を寄せた。

一方、反対側は「国民の口をふさぐ独裁を目指しているとしか思えない」「日本旅行に行く人も処罰されそう」「共産主義の称賛を禁止するほうが先では?」といった声を上げている。

なお、韓国では過去にも「日本の植民地支配擁護行為者処罰法案」「日本帝国主義の植民統治および侵略戦争などを否定する個人または団体の処罰に関する法律案」「日帝強占下における民族差別擁護行為者処罰法案」などが発議されたことがあるが、いずれも制定には至らず廃案となっている。

(文=サーチコリアニュース編集部O)

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