韓国の大統領選を前に、各候補の発言が大きな波紋を呼んでいる。
保守系野党「改革新党」から立候補しているイ・ジュンソク候補(40)は、革新系最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン候補(61)の長男の過去の書き込みに言及し、“女性蔑視”との批判を浴びた。その発言を巡り、イ候補は「内容の引用にすぎない」と主張し、法的対応も辞さない構えを見せている。
イ候補は5月29日午前、緊急記者会見を開き、「私に関する虚偽情報をメディアやネットに流布・投稿した人々は、自主的に削除し公開謝罪すべきだ。そうでなければ、民事・刑事の両面で厳しく対応する」と表明した。
問題視されたのは、イ・ジェミョン候補の息子が過去にオンライン掲示板に投稿したとされる性描写を、イ候補がテレビ討論で引用したことに端を発する。イ候補は「私はあくまで、比較的中立的な言葉に置き換えて引用した。しかし元の内容が過激すぎたため、いかに言い換えても限界があった。不快に感じた方々には申し訳なく思う」と釈明した。
その一方で、「そもそも過激な投稿をしたのは私ではなく、イ・ジェミョン氏の息子だ」と強調。自分が“加害者”として扱われている状況に対し、強い違和感を示した。
また、イ候補は「イ氏は昨年、情報通信網法違反などで罰金500万ウォン(約50万円)を言い渡されている。さらに、2年間で700回以上にわたり、合計2億3000万ウォン(約2300万円)もの違法賭博を行った事実も明らかになっている。イ・ジェミョン候補がこれを知らなかったというのなら、無関心か、あるいは無能だ」と非難のトーンを強めた。
そして「大統領候補の家族に対する検証は、プライバシーの問題ではなく、公的責任の一環だ」とし、「私の発言のどこが“女性蔑視”に該当するのか。本当に批判されるべきは誰なのか」と反論した。
さらに、「これはイ・ジェミョン候補が強大な権力を持ったとき、私たちが直面する未来の縮図だ。表現の自由と検証の義務が失われ、集団によるリンチと権力への忠誠だけが残ることになるだろう」と警鐘を鳴らした。
発端となったのは、5月27日のテレビ討論。イ候補は、進歩系政党「民主労働党」クォン・ヨングク候補(61)に対し、「女性に対して“〇〇に箸を刺したい”というような発言は、あなたの党の基準では女性蔑視にあたるのか」と問いかけた。クォン候補が「そんな質問の趣旨はわからない」と回答を避けると、イ候補は「民主労働党には性的発言に対する基準がないのか」と食い下がった。
これにより、他政党や市民団体から「女性蔑視発言だ」としてイ候補に対する謝罪要求や告発が相次いでいる。
(記事提供=時事ジャーナル)
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