ただ、数年前に比べるとそのボリュームはかなり減少した感は否めない。数年前は紅白歌合戦の出場歌手発表が韓国でも関心事で、もっと大きく紹介されていた。
というのも、K-POP人気が日本に吹き荒れた頃は、韓国人アーティストの名がかならずあった。2011年には東方神起、少女時代、KARAなど3組が同時出場したこともある。
だが、その2011年を最後に韓国人アーティストは紅白のステージから姿を消した。2012年から今年まで5年連続して韓国人アースティストはゼロとなったのだ。
その理由としては2012年夏頃から冷え込んだ日韓関係も影響しているとされているが、この現実を韓国芸能界はどう受け止め、どんな思惑を抱いているのだろうか。
以前、韓国の中堅音楽事務所の関係者に話を聞いたとき、こんなことを言っていた。
「仕方がないでしょ。日本におけるK-POP勢のテレビ番組出演などの露出がメッキリ少なくなったんだから。ただ、露出が少ないのはテレビ局側があまりキャスティングしようとしないから。数年前は“韓国で得られるギャラを保障するから”と熱心に誘われたが、最近はこちらから売り込んでもいい返事がもらえない。つまり、日本側がK-POPを敬遠している部分もある。それはやはり、韓日関係の冷え込みの影響もあるだろうね」
ただ、だからといってK-POPアーティストの人気が落ちたかといえば、そうとは言い切れない。
BIGBANGは4年連続して日本ドームツアーを開催しているし、2PM、SHINee、EXOなどもドーム・コンサートを成功させている。防弾少年団なども人気で今年のオリコンチャートの上位にも入っている。
それでも紅白にK-POP勢が5年連続ゼロとなったことで、韓国音楽界は大打撃を受けているのではないかと思いきや、前出した中堅の音楽事務所関係者は「日本の仕事が減って苦しい? もちろん、日本の音楽市場は韓国の20倍と言われているだけに依然として魅力的ではあるけど、以前ほどではないですよ」と言いながら、こう説明したのだ。
「まず、日本のほうがお金を渋るようになった。数年前は韓国でデビューしたばかりの新人グループなども日本に進出できたけど、今は日本の音楽事務所やレコード会社も慎重になっているし、ウチの事務所のタレントも日本のレコード会社と再契約を交わす時期に来ているが、その契約金の額がかなり落ちている。売り込んでも受け入れられず、ギャラも叩かせれるわけだから、頭が痛いです。
ただ、だからこそ最近は日本よりも中国市場を意識している事務所が多い。SMエンターテインメントのEXOなどが模範例。彼らの成功に倣って、これから中国に積極的に飛び出すアーティストやアイドルグループは増えてくるはず。紅白がダメなら中国の“春節聨歓晩会”(中国の紅白のようなもの)を目指せばいいという気概ですよ」
実際、2016年2月の旧正月には少女時代が春節聨歓晩会に招待出演している。
もっとも、最近になって中国政府は韓流コンテンツの露出を制限する“限韓令”を出したとされているが、果たして…。