韓国芸能界で毎年夏に“K-POPガールズ大戦”が勃発する理由

2021年08月21日 K-POP #アイドル #音楽 #事情
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夏になると、韓国芸能界でひとつの戦争が始まる。

その名も“ガールズ大戦”。文字通り、K-POPガールズグループたちによる“女たちの戦い”だ。といっても互いに拳を交えたり、いざこざを起こすわけではない。

韓国歌謡界では新たな楽曲を発表することを、音楽活動の再開という意味も込めて“カムバック”というのだが、6月下旬から夏に波に乗り遅れるなと言わんばかりにガールズ・グループが次々と“カムバック”しているのだ。

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開放的な季節にセクシーさ全開!!

韓国メディアによると、6月最終週から7月第1週にかけて、一日に1~2組のガールズグループたちが“カムバック”するらしい。

そのなかには日本でも人気のガールズグループもある。

新鋭アイドルグループたちも夏に新曲を発表することを表明し、それぞれヒットチャートの上位ランクインを虎視眈々と狙っているとか。まさにこうした状況から韓国では「毎年夏は“ガールズ大戦”の季節」と言われているほどだ。

それにしてもなぜ、この時期に韓国で“ガールズ大戦”が勃発しているのか。

一般的によく言われているのが、夏という季節感だ。

夏は開放的なイメージがあるため、普段よりも肌の露出度が高い衣装を身にまとっても不自然ではなく、面的にアピールできる。

実際、ガールズグループのほとんどが、その美肌を惜しげもなくアピール。ただし日本のようにビギニ姿ではなく、“ラッシュガード”などの場合が多い。

また、ステージの上でも肌の露出が多い衣装やセクシーなダンスを披露する場合もある。一時、韓国ではガールズグループたちの露出が過激化する傾向にあった時期もあった。

ただ、夏に“ガールズ大戦”が起こるのは、セクシーアピールだけが目的だけではないらしい。以前、韓国の音楽関係者がこう教えてくれた。

「夏にヒット曲を出したり人気や知名度を高めることが、秋から冬にかけての下半期を決めることになる。夏にヒット曲を出したグループは秋になると各種イベントに引っ張りだこになり、出演料を稼げるだけでなく、その活動が知名度拡大にも広がり、年末の受賞式レースでも優位に立つことができる。そうした先を見越して“ガールズ大戦”に参戦しているのだろう」

ちなみに、ガールズグループたちが内心で狙うのは9月にやって来る大学祝祭(テハク・チュッチェ)シーズンという話もある。

大学祝祭とは、日本で言うところの学園祭のようなもので、夏に新曲がヒットすれば、当然、大学側から学園祭出演へのオファーが殺到するという。

日本同様に韓国の大学・学園祭でもアイドルグループたちのミニライブが学園祭の大きな目玉になっており、夏の“ガールズ大戦”は秋の大学祝祭シーズンを攻略するための布石というわけだ。

以前、取材した韓国の音楽関係者もこんなことを言っていた。

「夏にガールズグループがアルバムを発表する理由は、大学祝祭シーズンを考慮している場合が多い。大学側も男子学生たちが盛り上がるので、ボーイズグループよりもガールズグループを好むのですよ。ガールズグループの所属会社も、大学祝祭ライブは出演料が意外と高額なのでそういったことも意識しているでしょう」

単にサマーヒットを狙うだけではなく、夏に知名度を上げ、秋のイベント出演などで収穫も得ようという実利も求めた韓国芸能界の“ガールズ大戦”。

はたして、2021年の“ガールズ大戦”を制するのは誰か。その勝者が近い将来、日本に乗り込んでくるということも、あるかもしれない。

(文=慎 武宏)

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