北九州市のマクドナルドで中学生の男女2人が男に刺されて死傷した事件が日本だけでなく、お隣・韓国でも注目を集めている。
韓国メディアは12月16日、「ハンバーガー買う中学生を刺した…日本のマクドナルド殺人事件の衝撃」（『ソウル新聞』）、「日本マクドナルド、30秒で女子中学生殺害…犯人は逃走中」（『イーデイリー』）、「日本のマクドナルドで凶器騒動、女子中学生死亡…犯人逃走中」（『ファイナンシャルニュース』）といった見出しをつけて報じた。
この事件は、12月14日20時頃、北九州市小倉南区の「マクドナルド322徳力店」で中学3年生の男女2人が男に刃物のようなもので刺されたというもの。2人は塾の帰りに店に立ち寄ったとされる。
捜査関係者によると、男は店に入ってから30秒足らずの間に、レジ待ちしていた2人を立て続けに刺して逃走したという。
2人は病院に運ばれたが、腹部を刺された女子生徒がこの世を去った。腰を刺された男子生徒は「まったく知らない人に刺された」と話しているとされ、無差別な犯行だった可能性が高いとみられている。
この悲惨な事件は韓国でも注目を集めており、オンライン上では「最近、刃物事件を経験した国だから、他人事とは思えない」「無差別犯罪が多すぎる」「無差別の刃物事件、恐ろしい」といった意見が寄せられた。
韓国のオンラインユーザーらが「他人事とは思えない」と述べる背景には、近年、韓国でも刃物を使った無差別な事件が多発していることがある。
最も有名なのは、2016年5月にソウルの江南駅で発生した「江南（カンナム）通り魔殺人事件」だろう。
犯人のキム氏（35歳）は当時、江南駅近くにあるトイレで22歳の女性を10数回に渡って凶器で刺して殺害。キム氏と被害女性にはなんら関係がなかったことで、社会的なイシューとなった。殺人容疑で起訴されたキム氏は、最高裁で懲役30年が確定している。
2023年には刃物を持った若者による事件が続発。インターネット上には“通り魔”の予告が相次いだ。そして実際に、ソウル南部の新林駅付近で30代の男が刃物で通行人を襲い、4人が死傷する事件や、ソウル郊外の百貨店で通りかかった人を次々と切りつける事件が発生した。
今年に入っても、5月には江南駅近くの生活用品店で見知らぬ女性を刃物で脅し、人質にした40代男の事件や、9月にも全羅南道でまったく面識のない18歳の女性を凶器で刺して殺害した男が逮捕されている事件があった。
日本のマクドナルドで起きた事件が無差別なものだったのかどうかは今後の捜査を見守る必要があるが、韓国では「無差別な事件」に敏感になっているのだ。
そのため韓国社会の安全性に対する懸念を抱く人も増えている。韓国統計庁が発表した「2024年社会調査結果」を見ると、社会が安全だと感じている人の割合は28.9％にとどまり、2年前より4.4ポイント減少した。
増加する無差別事件に対し、個人の安全意識の向上とともに、国家レベルでの包括的な対策が求められている。
（文＝サーチコリアニュース編集部O）
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