「インターネット先進国」を自称する韓国にとって、サイバー犯罪の増加は無視できない。
そもそも韓国がネットに力を注ぎ始めたきっかけは、1997年に起こった経済危機であり、国が破産状態に追い込まれたあと、IT関連産業の育成を目玉にすえたことに端を発する。
実際に1999年3月、金大中(キム・デジュン)政権時に「サイバーコリア21」(第2次情報化促進基本計画)を発表。具体的な数値を示して国土の隅々まで情報インフラの整備に最善を尽くすことを明らかにした。
こうした状況下で国民全体がインターネットに触れる機会があり、なかでもオンラインゲームは世界でも有数のものといえ、各地にはPCバン(インターネットカフェ)が乱立するようにもなった。もっとも、ゲームに夢中になりすぎて心臓麻痺を起こして倒れるという事件が起こるほどの加熱ぶりは、社会問題でもあるが。
いずれにせよ老若男女問わずインターネットに触れる機会が多かった韓国だけに、“ネットの闇”もまた深い。特にサイバー詐欺やサイバー金融犯罪は、増加の一途を辿っている。
韓国警察によると、国家捜査本部(サイバー捜査局)ではサイバー詐欺とサイバー金融犯罪に対する集中取り締まりを2022年3月から10月までの8カ月間、実施している。
そして7月に明かされた中間結果では、サイバー詐欺・サイバー金融犯罪者を計1万2070人を検挙し、707人を拘束したことを明らかにした。これは前年の1万536人より14.5%増となる数字だ。
取締り状況を犯罪タイプ別に見てみると、サイバー詐欺は「直取引詐欺」「ゲーム詐欺」「ショッピングモール詐欺」の順で多く、サイバー金融犯罪は「メッセンジャーフィッシング」「フィッシング・ファーミング」「ボディキャンピング」の順で多かった。
また、検挙された年齢別に見ると、オンライン文化に馴染みのある若い層が最も多いことが分かり、サイバー詐欺の場合、65.9%が10~30代という結果となった。
これには韓国内でも「検挙されたとしても、ほとんどが執行猶予で解放されるだろう」「刑罰をもっと強化しろよ。ぬるすぎるから犯罪が後を絶たない」など、現状に対する否定的な意見が目立った。
「インターネット先進国」を自称する韓国だが、モラル面も先進国としての姿勢を示してほしいものだ。
(文=サーチコリアニュース編集部)
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