2024年は韓国にとって激動の一年となった。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の突然の非常戒厳令をはじめ、国家的・社会的な混乱は枚挙にいとまがない。
そうしたトラブルに巻き込まれた職業のひとつが医師だ。
韓国政府は今年2月、医師不足解消に向け、大学医学部の入学定員(現在3058人)を2025学年度の入試から5年間にわたって毎年度2000人増やすことを発表した。OECD加盟国と比べて、韓国は医師の数が少ないためというのが主な理由だった。
医師への門戸が広がること自体は悪いことではないが、これまでの厳しい試験を乗り越えてきた現役医師や医学部生の反発は大きく、不満を示すために休学届を提出し、長期間授業や診療を拒否するケースも多発した。
こうした不安定な状況にある韓国の医療業界。最近、医師専用の情報共有コミュニティプラットフォームが「2024年医師職業満足度」に関するアンケート調査を実施したのだが、そうした不安が如実に反映されていた。
2018年より毎年実施されている同調査だが、満足度は昨年よりも10.7%下落し、53.7%にとどまった。これは調査開始以来、過去最低の記録であり、新型コロナの影響が大きかった2020年の60.7%より低い結果となった。
さらに「5年後、今より医師の職業満足度が上がると思うか」という問いに、回答者の71.9%が「下がる」と答えている。
こうした結果に韓国内では「医師は人命を救う職業と考えるべきだ。お金を稼ぐ職業と考えれば、満足度が下がるのも当然だ」「こんなに満足度が低いのに、医者になれる人が増えることには反対するのはどうかと思う」「そんなに満足できないならやめてしまえ」など、厳しい意見が目立った。
変化し始めた韓国の医療制度。より良い方向に進むことに期待したいが、そのためにも現役医師たちの協力が必須となるのは間違いない。
■日本の12.8倍…修士・博士級の“優秀な人材”が韓国を次々と離れているワケ
前へ
次へ