24歳の花嫁はなぜ惨殺されたのか。韓国新郎の恐るべき「二つの顔」

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ソウルに住むイさん(女性)は2014年にK大学に入学した。同年下半期には、大学近くにあるスピーチ語学塾に登録した。

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そんなある日、4歳年上のシム氏(男性)が彼女に近づいてきた。彼はイさんに「自分もK大学出身だ」と好感を持たせたうえで「食事でもしよう」と誘った。その後、シム氏はイさんの携帯番号を入手する。

それから4年が過ぎ、イさん(当時23歳)は大学を卒業し、2018年6月、ソウルに本社を置く大企業に就職した。

約1カ月後の7月27日、イさんに一本の電話がかかってきた。かけてきたのはシム氏(当時27歳)だった。彼はMBAを修了し、国会でインターンを経験したあと、地方都市・春川(チュンチョン)で飲食店を経営していると話した。また父親は公的企業の支社長で、太陽光発電事業とアロニア農場を運営している地元の名士だと紹介した。

シム氏はイさんに「長年片思いしていた」と告白し、イさんがそれを受け入れて交際が始まった。二人は週末ごとにソウル近郊の九里(クリ)市や春川を行き来して会っていた。

(画像=JTBCニュース放送画面キャプチャー)生前のイさんとシム氏

付き合って1カ月ほど経つと、シム氏は「もう結婚の準備は整った」とし、急いで結婚を進めようとした。さらに「父が来年5月で定年退職するので、ご祝儀のことも考えてそれ以前に結婚しなければならない」と付け加えた。イさんの家族が急ぎ過ぎだとためらうと、シム氏はイさんの母に「結婚計画書」まで提出した。両親は二人の結婚を承諾し、10月27日に顔合わせの日取りまで決めた。

結婚準備で衝突が多発…自宅に呼び殺害

しかし新婚の住まいをどこにするかで意見が分かれた。イさんはソウルで仕事を続けながら通勤に便利な場所に住みたいと望んだが、シム氏はイさんに仕事を辞めさせ、両親が経営するクッパ店の2階屋上部屋で新婚生活をしながら店を手伝ってほしいと求めた。イさんはまだ就職して間もなく、縁もない春川に住むことにすぐには決められなかった。

顔合わせや結婚の日程についても意見の対立があった。イさんは住まいと仕事の問題が解決した後に進めたいと望んだが、シム氏は計画通りに進めることを主張した。

シム氏はイさんが自分の意のままに動かないのは義母のせいだと考え、ある時はイさんに黙って義母に電話し、激しく詰問したこともあった。イさんの両親は、ソウルと春川の中間に位置する京畿道(キョンギド)の南楊州(ナムヤンジュ)市に新居を構えることを提案し、イさんはシム氏と相談のうえでそれに合意した。

住まいの問題は一見解決したように見えたが、シム氏は自分の思い通りにならないイさんに対し、感情を悪化させていた。
そして10月24日の朝、シム氏はイさんに電話をかけ、「君が望む条件をすべて受け入れる」と言った。通話後、カカオトークで「ごめん。君の望む通りに全部するよ。まずは来て話そう。一番大切なのは君、二番目は家だ」と送って、退勤後に春川に来るよう求めた。

イさんは「会社の業務に必要な資格試験の勉強があり、弟が軍の休暇で帰ってきたので一緒にパスポート写真を撮らなければならないから、今日は行けそうにない」と答えたが、シム氏のしつこい要求にしぶしぶ春川へ向かった。

この日、夕方に春川駅に到着したイさんは、シム氏の車で彼の住まいへ向かった。午後8時ごろ、イさんの両親は娘にカカオトークで「無事に着いたか」と尋ね、イさんは「もう着いて、夕食を食べに行くところ」と答えた。二人は1階の飲食店で夕食を取り、2階の屋上部屋へ上がった。

午後9時30分頃から新居について話し合いが始まった。

シム氏はイさんの母親が娘を操っていると考え、それを非難した。イさんが「それは誤解だ」と反論すると、シム氏はこれまでの不満を爆発させた。彼は突然イさんに襲いかかって首を絞めて殺害し、さらに台所にあった包丁で何度も刺した。

(画像=生成AI作成イメージ)

犯行はそれで終わらず、遺体を残酷に損壊した。犯行後、血のついた服を着替え、屋上部屋を抜け出し、妹に「兄としての役目を果たせずすまない」と伝えて、近くの知人の教会へ逃げ込んだ。

午後10時26分頃、イさんの両親がカカオトークを送ったが返信がなく、電話もかけたが応答もなかった。不審に思った両親は、飲食店の電話番号をインターネットで調べて電話をかけ、シム氏の母と通話することができた。

シム氏の母は息子に連絡を取ったが応答がなく、飲食店の屋上部屋に上がったところでイさんの遺体を発見し、警察に通報した。警察は翌朝、知人の家に隠れていたシム氏を殺人容疑で緊急逮捕した。

シム氏は警察の取り調べで「新居の準備など婚礼関連の問題で口論となり、衝動的に殺害した」と供述した。遺体損壊については「生きていて植物人間になったり障害を負うのが怖く、申し訳なくて完全に殺さなければならないと思った」と話した。

これに対し遺族側は「婚礼関連の口論は事実ではない」と強調した。顔合わせも行っておらず、両家の間でそのような問題で争ったことはなかったという。また、最初から殺意を持って春川に誘導した計画的犯行だと主張した。

学歴・親の職業などすべてが嘘だった

シム氏が事件当日の朝、知人と通話した内容からはイさんとその母親に対する憎悪がにじみ出ていた。「イさんは欲が深く、自己中心的で他人の苦労を考えない人間だ。まずは口だけで言う通りにすると言って、全部従うふりをするしかない」と不満を口にしていた。

イさんの母親については、「いなくなってほしいし、いなくなることがむしろ世の中のためになると思う。人の人生を弄ぶような人間はこの世にいてはいけないと思う」と戦慄の言葉を口にしていた。そして「母親がこのままなら、私は絶対に許さない。地獄に行っても構わない。それが恥ずかしいことだとは思わない」と語り、「彼女の母親が変わらず遠隔操作しようとするから、イさんが母親と縁を切れるように説得してほしい」と過激な不満をぶちまけていた。

(画像=KBSニュース放送画面キャプチャー)春川の屋上部屋の家宅捜索

警察の捜査でシム氏の二面性が明らかになった。まず、シム氏はイさんに近づく際、自身を「K大学の同窓」と名乗っていたが、K大学側は在籍・卒業記録がないと確認した。最終学歴は「高校中退」だった。

大学院卒業、国会インターン、両親の農場経営・事業運営などもすべてが嘘だった。シム氏は定職もなく、両親が経営するクッパ店の手伝いをしていた。

また、もともと執着的で暴力的な性格の持ち主だった。イさん以前に交際していた女性たちにも結婚に異常に執着し、相手が好意的な態度を示せば優しいふりをするが、自分の思い通りにならないと暴言や脅迫を繰り返した。自殺騒ぎを起こしたり、相手女性の家族にまで暴力的に振る舞ったこともあった。

シム氏の実像が明らかになると、遺族たちは「奴の嘘に踊らされた」とさらに怒りを爆発させた。遺族はシム氏への厳罰を求めた。遺族側は「どうか助けてください。とても愛する23歳の美しい娘が、残酷な二度の殺人行為により冷たい遺体となって帰ってきました」と無念さを訴えた。

遺族によると、イさんは裕福でない家庭環境でも誰よりも懸命に生きていた。幼少期から学習塾に通うことなく苦労して勉強し、ボランティア活動にも熱心だった。

大学時代は奨学金を受けながら、週末にはアルバイトをして弟の大学の学費や両親への小遣いまで面倒を見ていた。両親は、そんな娘が大企業に就職し、夢をかなえる前に詐欺師の手にかかって命を奪われたことに対し、強い怒りを表明した。

イさんの母親は「残酷で重大な犯罪において、加害者の顔などの身元を公開すれば、私のように血の涙を流す母親が生まれるのを防げる」とし、「加害者を社会から永久に隔離する厳罰が下されるよう、切にお願いしたい」と語った。

遺族の願いとは裏腹に、シム氏の身元は公開されなかった。シム氏は殺人と死体損壊の罪で拘束起訴された。検察は「計画犯罪」と主張したが、第一審裁判所はこれを認めなかった。シム氏が事前に凶器を準備したり所持していたわけではなく、証拠隠滅や逃走計画も立てていなかったため、計画殺人とは認め難いと判断した。

反省も謝罪もなく被害者に責任を転嫁

第一審ではシム氏に無期懲役が言い渡され、20年間のGPS位置追跡装置の装着も命じられた。裁判所は「23歳の社会人一年生だったイさんは、忙しい仕事と試験勉強を後回しにし、シム氏を少しも疑うことなく春川まで行った結果、殺害され、遺体までも損壊されるという凄惨な状況に遭った」とし、「犯行に見合う厳罰が必要なだけでなく、社会から無期限に隔離することで社会の安全と秩序を守る必要性も大きい」と量刑理由を述べた。

第一審判決後、検察とシム氏側は量刑不当や事実誤認を理由に控訴した。控訴審裁判所は「シム氏の行為が突発的な怒りによる即興的な行為とは見なし難い」とし、計画的犯行の可能性を排除しなかったが、原審の判断は正当であるとして無期懲役を維持した。

シム氏は警察の取り調べから裁判に至るまで、犯行への反省や謝罪をしなかった。被害者や遺族への謝罪や申し訳なさを表すこともなかった。むしろ犯行を正当化し、犯行の原因を被害者とその家族に転嫁しようとした。反省文も何度か提出したが、裁判所はその誠意を疑った。裁判所もその点を厳しく指摘した。シム氏への刑罰は大法院(最高裁)で原審通り確定した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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