白骨化した遺体が相次いで発見されている韓国…捜査が進展せず“未解決”のまま残されている理由

2024年11月24日 社会 #時事ジャーナル
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韓国の全国各地で、白骨化した遺体が相次いで発見されている。

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11月14日、慶尚北道・永川(ヨンチョン)市では、ゴミ埋め立て場近くの渓谷で身体の一部が分離した状態の白骨遺体が発見された。それ以前の11月5日には、釜山(プサン)・東区の公園で伐採作業中の作業員が白骨化した遺体を発見し、警察に通報した。

また2023年4月22日には、南漢山城を登山していた大学病院の医師たちが城壁のすぐ前にある登山道で白骨遺体を発見。発掘の結果、5歳前後の子供の遺体が浅く埋められていることが判明した。衣服や靴などの遺留品が発見されなかったため、裸のまま埋葬されたと推定された。

警察は管轄地域の行方不明児童のデータを分析し、南漢山城から11km離れた場所で行方不明になったウちゃんを候補に挙げ、彼女の歯科記録を照合してDNA検査も行ったが、同一人物ではないことが確認され、捜査は迷宮入りした。

2020年5月と6月には、仁川(インチョン)の京仁アラベッキル水路で損傷した女性の遺体の一部が相次いで発見された。その1カ月後の7月には、仁川市・桂陽(ケヤン)区の桂陽山中腹で白骨化が進んだ遺体の一部が発見された。

国立科学捜査研究院(国科捜)のDNA鑑定の結果、これらは同一人物であることが判明した。警察は大々的な捜査を行い、被害者の顔を復元してビラまで作成したが、捜査は4年が経過しても進展していない。

白骨遺体の場合、通常の葬儀手続きを経た埋葬でない限り、犯罪被害者である可能性が高い。変死体が発見されると、最も急がれるのは被害者の身元確認だ。身元が判明すれば犯人を捕まえる確率が上がるからだ。

しかし、完全な白骨化や白骨化が進行した遺体の場合、性別や死亡時期、死因、損傷の有無などを特定するのは容易ではない。指紋採取やDNA検出が難しい場合、被害者の歯科治療履歴や着衣、所持品から手掛かりを探すが、それは砂漠で針を探すようなものだ。

野外で発見された白骨遺体の場合、犯人は大半が被害者と面識のある人物といえる。遺体が発見されると、最も有力な容疑者として浮上するため、それを恐れて遺体を遺棄するのだ。そのため被害者の身元が判明すれば、白骨遺体の背後に潜む犯人を捕まえるのは時間の問題だ。

これまで未解決のまま残っている「陜川(ハプチョン)旅行カバン殺人事件」「富平(プピョン)コンクリート遺体遺棄事件」「富川(プチョン)余月洞(ヨウォルドン)殺人事件」も面識犯の犯行と推定されている。ただ解決には至っていない。

未解決の白骨遺体事件

①陜川旅行カバン殺人事件

2018年1月12日午後、慶尚南道・陜川郡のある山中で、ショベルカーが土を掘り起こしている最中に青い旅行カバンが発見された事件だ。カバンの中には、風呂敷と米袋で包まれた白骨遺体が入っていた。ブラジャーや毛糸のセーター、ジーンズなどの衣類も一緒に見つかった。

女性の白骨遺体と一緒に発見された旅行カバンなど
(写真=慶南警察庁)女性の白骨遺体と一緒に発見された旅行カバンなど

警察は、白骨が幾重にも包まれていたことや、カバンが山中に埋められていた点などから、殺人もしくは凶悪犯罪の被害者と見て捜査を開始した。国立科学捜査研究院によると、白骨遺体は30代半ばの女性で、身長は163cmと推定された。この女性の死亡と遺体埋葬の時期は遺留品から推定された。

白骨が包まれていた米袋は1998年に生産されたもので、下着のブラジャーは1999年に生産が中止されたヴィーナスブランドの80Bサイズだった。単純に推定すると、被害者は1999年から2000年の間に殺害され、埋葬されたと考えられる。

警察は既存の行方不明者の中から白骨遺体の女性と年齢や体格が似た人物を対象にDNA照合を行ったが、一致する人物は見つからなかった。行方不明の届け出がされていないことから、この女性は家族がいないか、家族との交流が断絶された生活を送っていた可能性がある。

この事件の犯人もまた、被害者と面識のある人物である可能性が高い。遺体をかばんに入れて埋葬したことは、被害者が室内で殺害されたことを示している。遺体を風呂敷と米袋で包み、さらにかばんに入れて埋葬したのは、被害者の身元が明らかになることを極度に嫌ったためだ。

さらに、犯人は遺体を遺棄した周辺地域の地理に詳しいと推定される。遺体が埋められていた場所は人通りの少ない薄暗い山中で、外部の人間が容易に知り得る場所ではない。そのため、犯人は遺体埋葬現場周辺の地理に詳しい近隣住民である可能性が高い。

②富平コンクリート遺体遺棄事件

2016年4月28日午前、仁川市・富平区の工場で補修工事が行われていた。作業員が重機を用いて古いトイレを撤去していた際、白骨化した遺体が発見された。

遺体は裸の状態で右脚が折り曲げられた形で横たわっていた。身元を確認できる身分証や所持品、殺害に使われたと推測される物品は見つからなかった。警察は、遺体がトイレ工事現場のコンクリートで覆われていた状況から、他殺の可能性が高いと判断した。

遺体が発見された現場
(画像=SBS『それが知りたい』)遺体が発見された現場

この建物は地上3階、地下1階で1990年に建設されたものだった。建物の側面には古いトイレと非常階段があり、白骨遺体は階段の下に埋められていた。この建物は2015年12月以降、空き家になっていた。

国立科学捜査研究院の検視結果によれば、遺体は20代の女性で、身長は162~170cmと推定された。遺体の右下の第一臼歯が欠損しており、長い茶髪は染色されていたことが確認された。死因は「不明」とされた。現場で見つかったセメント袋の一部、カップラーメンのスープ袋、タバコのパッケージなどの製造日や廃止時期を調査した結果、遺体が埋められたのは2006~2008年の間であることが絞り込まれた。

警察は、遺体の身元を特定するため、この工場で働いていた従業員や関係者ら500人以上を調査したが、手がかりは得られなかった。事件に関連する目撃者や追加の証拠が出てこず、捜査は行き詰まった。

この事件の現場状況からは、犯人や犯行当時の状況を推測することができる。犯人は遺体を埋める際、衣服をすべて脱がせ、背もたれクッションの中身を顔に被せていた。この行動について犯罪専門家は「罪悪感に基づく行動」と分析している。被害者と面識がなければ、こうした行動を取る理由はないという。

埋葬方法を詳しく見ると、犯人はレンガで外壁を作り、その中に遺体を収めた。その上からセメント粉を振りかけ、水をかけて固める作業を3回ほど繰り返した。これは犯人がセメントについての知識を持っていたことを示している。さらに、遺体が腐敗する際の臭いを隠すため、古いトイレの隣に埋めるという知能的な一面も見られた。現場で発見されたセメント袋の一部やスープ袋、タバコのパッケージは、意図的に置かれたものではなく、埋葬作業を急ぐなかで偶然混入したと考えられる。

犯人は遺体を近くの山林などに遺棄する代わりに、工場内の古いトイレの隣にコンクリート構造物を作って埋めた。このような構造物を作れるのは工場関係者に限られ、誰からも疑われず、また撤去されなかったことを考えると、犯人が建物の所有者や工場管理者でないと説明がつかない。遺体は放置された古い工場と同じく、長い間その死を誰にも知られることなく放置されていたのだった。

③富川余月洞殺人事件

2011年6月30日、京畿道・富川市餘月洞のある住民が、近隣公園を散歩中に林の中で激しく腐敗した女性の遺体を発見した。

通報を受けた警察が現場に駆けつけると、遺体は大きな木の下の地面にそのまま露出した状態で、すでに死蝋化が進行していた。遺体はまるで蝋人形のように硬化しており、全裸で天を向き、両腕と両足を広げた状態で横たわっていた。

国立科学捜査研究院の解剖結果によると、遺体は40代女性で、身長は約158cm、体重は33kg前後、血液型はA型と推定された。身体的特徴としては、上前歯と下前歯それぞれに3本のブリッジを施した跡があり、右臀部には5cmほどのひし形の蒙古斑があった。

顔や指など身元確認につながる部位はすでに白骨化しており、それ以上の情報は得られなかった。歯科治療の痕跡が発見されたため、治療を行った歯科医を特定すれば身元を割り出せると判断した。

治療方法が少し特殊だったことに注目し、大韓歯科協会に調査を依頼したものの、身元特定には至らなかった。それでも警察は諦めず、遺体の顔を復元してモンタージュを作成。遺体全体をCTスキャンし、頭蓋骨を3D撮影して仮想的な顔面を復元することに成功した。このデータを基に指名手配のチラシを作成し、富川市を含む各地域に掲示するとともに、メディアにも公開したが、被害者の身元特定には至らなかった。

情報提供を求めるビラ
(画像=富川梧亭警察署)情報提供を求めるビラ

この女性が他殺された可能性は高い。発見当時全裸で、周囲には身元を確認できる所持品が一切見当たらなかった。また、指と足の指先がすべて切断されていたことも他殺の可能性を裏付けている。ただし、国立科学捜査研究院は、切断された骨の端が滑らかではなく不規則であるため、工具で切断されたとは断定できないとし、動物や昆虫によって事後的に損壊された可能性があると指摘している。状況証拠からは後者の可能性が高い。

動物や昆虫による損壊であれば、遺体の周囲に切断された指先や足指が残っているはずだが、周囲の山林を捜索しても発見されなかった。遺体には刃物や鈍器による傷、薬物や毒物の反応が検出されず、首を絞められて殺害された可能性が高いと見られる。被害者を全裸で遺棄し、意図的に指先や足指を損壊するのは典型的な面識犯の手口である。

「未解決事件専従捜査チーム」成果不足

白骨遺体事件の被害者たちは、長い間その死を世間に知らせることができず、成仏できずにいる。科学捜査が日々進歩しているものの、多くのケースでは被害者の身元が特定できず、未解決のまま残されている。

警察庁も未解決事件を解決するため、2011年から主要な警察署に「未解決事件専従捜査チーム」を設置して運営している。しかし、実際の成果は依然として不十分との評価がある。

人員不足や専門性の欠如、さらには消極的な捜査姿勢が問題として指摘されている。

唯一の救いは、2015年7月31日から2000年8月以降に発生したすべての殺人事件の公訴時効が廃止されたことで、いつでも犯人を捕らえれば処罰できるようになった点だ。

しかし、事件が時効に縛られることなく存続するという事実だけでは、被害者の魂を慰めるには不十分である。現在も未解決の事件が後を絶たず、警察はさらなる努力を求められている。

(記事提供=時事ジャーナル)

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