科学捜査で尻尾をつかまれた13年前の性的暴行犯…韓国警察官の恐ろしい二重生活

2024年10月09日 社会 #時事ジャーナル
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計画的な犯罪に走った犯罪者のほとんどは「完全犯罪」を夢見る。

【写真】韓国の“美しすぎる女性警察官”の意外な正体

犯罪の事実が捜査機関に発覚しない、あるいは発覚しても証拠が不十分で刑事処罰を免れることを狙うのだ。

実際、多くの事件が犯人を捕まえられずに未解決のまま残された。韓国国内で有名な3つの未解決事件、「カエル少年殺害遺棄事件」「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」「華城(ファソン)連続殺人事件」のうち、華城事件だけが犯人が後に判明した。

それでも犯罪者たちの逃げ場は次第に狭まっている。全国のあらゆる場所に設置された監視カメラ(CCTV)を避けることはできず、目覚ましい科学捜査の進展により、微細な証拠でも犯人を特定できるようになったからだ。永遠に未解決と思われた事件が次々と解決されているが、これも科学捜査の成果だ。

完全犯罪を目指した犯罪者たちは、進歩した科学捜査の前でついに捕まっている。最近逮捕された性的暴行犯である警察官も、完全犯罪を狙いながら最終的に尻尾をつかまれた。

捜査の知識を利用し徹底的に隠ぺい

写真はイメージ
(写真=Pexels)写真はイメージ

2011年7月、ソウル江南(カンナム)区のある住宅で女性が性的暴行される事件が発生した。

犯人は、酒に酔って歩いていた女性を見つけ、彼女を追いかけて家まで追いかけた。ふらつきながら家に到着した女性が玄関のドアを開けた瞬間、犯人が現れ、背後から押し込み、家に侵入した。女性は酒に酔っていたことに加え、突然の出来事に驚き、ほとんど抵抗できずに犯人に簡単に制圧された。

犯人は犯行後、冷静かつ慎重に行動した。

まず、被害者の体を隅々まで綺麗に拭かせた。通常、性的暴行犯罪では犯人の精液や体液が被害者の体に付着するが、それを懸念し、被害者の体に残されたDNAを消そうとした行動であった。さらに、現場にあった証拠品をすべてかき集めてバッグに入れ、被害者がすぐに通報できないよう携帯電話を奪って悠然と現場を去った。

しばらくして通報を受けた警察は、被害者の家周辺や道路に設置されたCCTVの映像を確保しようとした。しかしソウルでは連日の雨が続いており、逃走経路にあったCCTVが作動していなかったため、犯人の特徴や行動経路を把握できなかった。

警察は家の中を精密に鑑識したが、犯人の体毛や指紋を確保できなかった。最後の望みは、被害者の体から犯人のDNAを採取することだった。しかし、すでに被害者が体をきれいに拭いていたため、検出されるかは不透明だった。

この事実を十分に認識していた警察は、科学捜査技術を駆使してDNAの採取を試みた。幸運にも被害者の体から微細なDNAが検出され、捜査が進展した。警察は「DNA身元確認情報データベース」を通じて一致する人物を探した。もし犯人がこのデータベースに登録されていれば、逮捕は時間の問題だった。

しかし、DNAが一致する前科者はいなかった。犯人が初犯だったためだ。この事件は容疑者を特定できる証拠が不足して、最終的に未解決事件となった。こうして13年の歳月が流れた。長い間、自分に捜査の手が及ばないことを知り、犯人は完全犯罪を成し遂げたと安心していたのかもしれない。

2023年5月13日午前6時頃、ソウル恩平(ウンピョン)区のカラオケ店に正体不明の男性が無断で侵入する事件が発生する。その時間は、カラオケ店の営業が終わっていた時間帯だった。

約3時間店内にいた男性は、午前9時頃に出ていった。この様子はカラオケ店の建物付近に設置されたCCTVにしっかりと映っていた。当日午前4時半に退勤し、夜に出勤したカラオケ店のオーナーは、出入り口が開いているのを見て驚いた。退勤時に確実に施錠したはずなのにと目を疑った。

(画像=SBSニュース)営業の終わったカラオケ店に侵入するA氏

店内を詳しく調べると、荒らされた形跡や盗まれた物はなかった。カウンターにあった現金もそのままだった。しかし、営業終了後に清掃したにもかかわらず、照明が汚れており、備品が床に散乱していた。

カラオケ店のオーナーは誰かが侵入した痕跡だと判断し、直ちに警察に通報。科学捜査隊は現場鑑識を行い、犯人のものとみられるDNAを採取し、これを国立科学捜査研究院に送った。数日後、国立科学捜査研究院は驚くべき結果を伝えてきた。このDNAが13年前の江南未解決性的暴行事件のDNAと一致したのだ。

警察の立場では、未解決事件を解決する絶好の機会でもあった。

警察はCCTVなどをもとに犯人を追跡し、事件発生から3カ月後に逮捕した。その正体は現職の警察官だった。

逮捕されたのは、ソウル警察庁機動隊所属のA警衛(45歳)。2006年に巡査として任用されたA氏は性的暴行事件当時、大統領警護を担当する青瓦台(大統領府)警備団に所属していた。青瓦台警備団は、ソウル警察庁の傘下にありながら大統領警護処の指揮を受ける組織で、警察内でも重要な役職とされている。

要員らは徹底した身元調査を経て選抜されるが、A氏は犯行当時、すでに青瓦台警備団に所属していたため問題が見過ごされた。A氏は犯行後、捜査知識を利用して証拠を隠滅し、警察官として勤務しながら二重生活を送っていたのだ。警察はA氏の犯行が明らかになると、彼を職位解除した。

A氏を引き継いだ検察は、彼が他の犯罪にも関与していないか捜査した。A氏の携帯電話を押収して解析し、警察庁が運営する指紋検索システム(AFIS)を通じて未解決事件の指紋と一致するかを確認するなど、追加捜査が行われたが、他の犯罪は確認されなかった。

検察はA氏を性暴力処罰法違反と建造物侵入の罪で拘束起訴し、「国民の生命と身体を守るべき現職警察官としての身分を忘れ、繰り返し重大な凶悪犯罪に手を染めた被告に対し、相応の重刑が下されるよう最善を尽くす」と発表した。

完全犯罪になりかけた性的暴行事件が科学捜査技術によって、犯人逮捕につながった。こうして警察官の仮面をかぶったA氏の犯罪行為も終焉を迎えた。

DNA捜査で解決した未解決事件

このようにDNA分析技術は、性的暴行事件の解決において決定的な役割を果たしている。

華城連続殺人事件の犯人であるイ・チュンジェも、進化したDNA分析を通じて犯人であることが明らかになった。

イ・チュンジェは1986年9月から1991年4月3日まで、京畿道・華城郡台安邑(テアンウプ)の半径3km以内で10回以上の性的暴行を行い、被害者を猟奇的に殺害していた。被害者は13歳の少女から71歳の高齢者まで様々だった。

この事件は数十年にわたって華城地域を恐怖に陥れ、大規模な捜査が行われたが容疑者を絞り込めなかった。事件の内容は映画化もされたほどだ。しかし事件発生から33年後の2019年9月、犯行現場の証拠物から採取されたDNAがイ・チュンジェのDNAと一致し、同一人物であることが判明した。警察はイ・チュンジェを容疑者と特定し、彼に犯行を追及した。

当初は犯行を否認していたイ・チュンジェだったが、次々に明らかになる証拠の前で抵抗できず、自分が犯人であることを認めた。当時、イ・チュンジェは義理の妹を殺害した罪で無期懲役を受け、釜山(プサン)刑務所に長期収監されていた。イ・チュンジェは14件の殺人と30件以上の強姦および強姦未遂事件について自白した。

2023年12月には、70代の男性B氏がDNA照合分析によって、17年前の未解決性的暴行事件の犯人であることが明らかになった。彼は2006年6月、ソウル新林洞(シンリムドン)の集合住宅に侵入し、1人でいた女性に性的暴行した。

当時、警察は付近にCCTVがなく、現場で確保された体毛のDNAと一致する情報を見つけることができず、容疑者を特定できなかった。しかし、長期未解決の性的暴行事件を一斉調査する過程で、当時発見されたDNAと一致する容疑者が見つかり、犯人の輪郭が明らかになった。

B氏は2011年、ソウル九老(クロ)区で強盗事件を犯して逮捕された際にDNAが登録されており、それが性的暴行事件現場で見つかったDNAと一致したのだ。

さらに今年2月には、19年前に20代の精神障害のある女性を誘い出して性的暴行した60代の男が、DNA分析により逮捕された。

2010年に制定された「DNA身元確認情報の利用および保護に関する法律」に基づき、大検察庁と国立科学捜査研究院は、それぞれ刑が確定した者、逮捕された被疑者、または犯罪現場で採取されたDNAをデータベースに保管している。

この情報は、他の事件で逮捕された犯人のDNAと照合・分析され、過去の未解決事件の真犯人を明らかにするために活用されている。

科学捜査が日々進展するにつれ、最近では性的暴行に関する未解決事件が大幅に減少している。性犯罪者たちが証拠を隠滅する方法も多様化しているが、DNA捜査を逃れることはできない。

性犯罪者たちは主な証拠隠滅の方法として、犯行後に被害者の体を洗わせる。さらに衣服や毛布、ベッドシーツを洗濯機で洗い、テープで落ちた体毛を回収し、掃除機をかけて微細な証拠まで取り除いたりもする。時には、精液が付着したベッドシーツを切り取って持ち出すこともある。しかし、DNAを完全に隠すことはできない。微細なDNAがひとつあれば、犯人を特定できるレベルに達しているのだ。

DNAは人体情報の宝庫である。外見だけでなく、体質や疾患に関する情報も含まれている。そのため犯罪現場でDNAを確保することは、事件解決の重要な鍵となる。DNA検査技術の進化は目覚ましい。かつてはDNA分析で身元を確認する程度だったが、今では現場で何が起きたかを推測する「行動レベル」の分析も可能になった。犯罪現場で発見されたDNAから、犯人の年齢や行動パターンまで描き出せるレベルに達しているのだ。

さらに、犯罪現場で採取したDNAを使ってモンタージュを作成する技術にまで発展している。複数の人々の顔を3次元(3D)カメラで撮影し、DNAの塩基配列に基づいて顔の特徴を比較する方法だ。

DNAを活用すれば、年齢による顔の変化も再現できる。年月が経って顔が変わった長期未解決事件の犯人のモンタージュも、この技術で作成できる。

現在、犯罪に関連する身元確認のために最も広く使用されている方法は、「DNA鑑識」だけでなく「指紋鑑識」もある。韓国警察庁は、指紋およびDNA識別技術においても、世界でトップレベルの能力を誇っていると自負している。

(記事提供=時事ジャーナル)

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