韓国ソウルの市庁駅付近で、逆走によって14人の死傷者を出した60代ドライバーの禁錮刑が確定した。
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12月4日、最高裁2部(主審 クォン・ヨンジュン大法官)は、交通事故処理特例法違反(致死)などの容疑で起訴された60代ドライバーのチャ氏の上告審宣告期日を開き、被告人と検察の上告をいずれも棄却し、禁錮5年を宣告した原審判決を確定した。
禁錮刑は刑務所に収容されるが、懲役刑とは異なり労役に強制されない。最高裁は「この事故は社会観念上一つの運転行為によるものとし、想像的競合関係にあるとした原審の判断に、罪数関係に関する法理を誤解した誤りはない」と述べた。
チャ氏は昨年7月1日、ソウルの市庁駅付近のホテル地下駐車場を出た後、逆走して歩道に突進し、歩行者や車2台と次々と衝突した。この事故で9人が死亡し、5人が負傷した。
チャ氏は警察の取り調べに始まり、裁判の過程でも「急発進だった」と主張し、容疑を否認した。
裁判の過程では、歩道で歩行中だった被害者をはねて死亡させた事故と、チャ氏の運転で別の車両に被害を与え、運転者を負傷させた事故を一つとして見るか分けて見るかをめぐり、チャ氏と検察の立場が分かれた。
これは複数の事故が一つの行為から発生した「想像的競合」として見るか、別個の行為である「実体的競合」として見るかに合わせられた。「想像的競合」は複数の罪のうち最も重い罪に該当する刑で処罰され、「実体的競合」は各罪に対する刑を別々に宣告するため刑量が高くなる。
交通事故処理特例法(第3条1項)によると、「運転者が交通事故で罪を犯した場合、5年以下の禁錮または2000万ウォン(日本円=約210万円)以下の罰金に処する」と定めている。
一審は、それぞれの被害者に対する事故を別個の行為による犯罪と見て「実体的競合」に該当すると判断した。これにより、法定上限である禁錮7年6カ月(最も重い罪の刑量である禁錮5年に2分の1加重)を宣告した。
一方、2審はチャ氏の行為が一つの行為で複数の犯罪を犯した「想像的競合」に該当すると見た。ペダルの誤操作が発端となり事故が発生したため、1つの運転行為とみなした。これにより禁錮5年に減刑した。
ただ、1審・2審ともにチャ氏の主張する「急発進」を受け入れなかったのは共通した。
2審裁判部は「被告人がアクセルペダルをブレーキペダルと誤って踏んだ過失が主な原因となって事故が発生した。構成要件が単一であり、各被害は同一の行為の結果が違う形で現れたにすぎない」とし、「各罪は想像的競合関係にあると見るのが妥当である」と判示した。
2審に不服したチャ氏側と検察はいずれも上告したが、最高裁は原審判決に誤りはないと見て上告を棄却し、刑を確定した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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