「年商億超え女社長」がジゴロ詐欺師に狙われた末路…愛人4人と豪遊生活の果てに“鉄アレイ20発”の殺害劇

2025年04月21日 社会
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韓国の済州島・西帰浦市・安徳面(チェ・ジュド・ソグィポシ・アンドクミョン)に位置する食堂Aは、地域でも屈指の人気店だ。

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特に焼サバなどのメニューで評判を集め、客足が途絶えることはなかった。店舗数の増加とともに、年間売上は100億ウォン(約10億円)台に達していたほどだ。

女性代表のヤン氏(55)は済州出身。自営業を営んでいた母親の影響を受け、並外れた経営センスを発揮して成功を収めた。済州島のみならず、ソウル江南(カンナム)にもアパートやビルを所有する資産家でもあった。

20年以上前に夫と離婚したあと、一時は共同で店舗を運営していたが、管理がずさんだったために彼を経営から外し、最終的には店舗の持分も50億ウォン(約5億円)で買い取って単独経営に切り替えた。

ヤン氏は利益の一部を社会に還元していた。毎月、所得の一部を済州島内の恵まれない子どもたちのために寄付し、奉仕活動や困窮世帯への支援にも積極的に取り組んでいた。その善行から地域社会での評判も非常に良かった。

「4人の愛人と同時交際」詐欺前科5犯の男

そんなヤン氏は2018年頃、済州のゴルフ練習場でパク氏(55)と出会った。パク氏は自らを釜山(プサン)の高校法人の理事長と偽り、富豪を装っていた。

しかし、実際は女性をターゲットに金を騙し取る詐欺師で、前科5犯だった。刑務所での服役を終えて2015年に済州へと移住したあとも、複数の女性と関係を持ち、借金を重ねていた。

パク氏は借金返済に追われる中、次のターゲットを物色していた。その際にヤン氏が離婚して独身で、資産家であることを知って接近。事業に協力すると申し出て信頼を得ると、ついには食堂の管理理事のポストまで得て給料を受け取るようになった。

さらに、投資の名目などで資金をせびっただけでなく、得た金で高級ブランドに身を包み、外車を乗り回し、同時に4人の女性と愛人関係を維持するという豪勢な生活を続けていた。

「土地の名義変更」「偽投資」…やがて殺意へ

パク氏は2021年、釜山・機張郡(キジャングン)にある自身の一族の土地を、本人の許可なくヤン氏名義に変更し、その売買代金の名目で5億4000万ウォン(約5400万円)を受け取っていた。後にその事実を知った一族は、パク氏とヤン氏を詐欺罪で告訴することとなる。

ヤン氏はこれを機にパク氏に不信感を抱き始め、食堂経営から排除。関係を断ち、貸し付けた3億ウォン(約3000万円)の返済も求めた。

追い詰められたパク氏は、ヤン氏の食堂や不動産を奪い、債務も帳消しにしようとする陰謀を企てる。

2019年、パク氏はヤン氏所有の会社代表と偽って土地の名義を移し、2020年にはヤン氏がその土地と所有不動産を担保にして数十億ウォン(数億円)の融資を受けるよう仕向けた。

ヤン氏を殺害し、自分の担保を解除させた上で、相続人となるヤン氏の子どもたちに一括返済を迫り、店舗運営権を奪おうと画策したのだった。

計画的な殺害依頼、加担した夫婦

パク氏は知人の紹介で、慶尚南道・梁山(キョンサンナムド・ヤンサン)に住むキム氏(50歳)と、その妻イ氏(45歳)に接触。キム氏は地元の建設現場で仕事をもらっていたが、コロナ禍と不況で2億3000万ウォン(約2300万円)の借金を抱えていた。

パク氏は自身を資産家と偽り、「ヤン氏を殺せば、ソウル江南のアパートの名義を渡す。借金も肩代わりし、食堂の店舗運営権も与える」と提案。さらに「ヤン氏は私の財産を奪おうとする“毒婦”だ」とも語った。

キム氏が計画に同意すると、「長期間入院するようにしてくれ」「寝たきりにさせろ」「起きられないほどがいい」などと殺意を示唆。着手金として3200万ウォン(約320万円)を渡し、綿密な計画を立て始めた。

監視、隠しカメラ、偽装…周到な準備

その後、2022年9月18日から犯行が始まる。キム夫妻は何度も済州に渡り、ヤン氏の自宅や店を下見して生活パターンを把握。その都度、宿泊費や交通費はパク氏が負担した。

初めは交通事故を装って店の近くで殺害しようとしたが失敗。2回目、3回目も道路の状況により未遂に終わる。同年11月10日、帰宅途中を狙って暴行を試みるも、パトカーが近くにいたため断念。室内での殺害に切り替える。

時事ジャーナル
(画像=オンラインコミュニティ)犯行直後、白い紙袋を持って被害者宅から出てきたキム氏

パク氏から提供された暗証番号で侵入を試みるが、ヤン氏が変更していたため失敗。12月5日、キム氏は宅配業者を装い、自宅玄関を映す隠しカメラを設置。パスコードを入手する。

そして凶行へ――鉄アレイで20回以上…

そして、ついに運命の日がやってきた。12月15日、夫婦は全羅南道(チョルラナムド)の麗水(ヨス)港から車をフェリーに載せて済州へと渡り、一泊。翌16日午後、キム氏はヤン氏宅に忍び込み、室内にあった鉄アレイを持ってクローゼットに潜んだ。

その間、妻のイ氏は車でヤン氏を追跡し、居場所を逐一伝達。午後3時頃、帰宅したヤン氏が着替えようとクローゼットに入った瞬間、キム氏は彼女の首を絞め、鉄アレイで顔と頭を20回以上も殴打。残虐に殺害した。

死亡を確認後、携帯電話、現金491万ウォン(約50万円)、1800万ウォン(約180万円)相当の高級バッグ3点、貴金属を盗み逃走。スマホは橋の下に捨て、市場で着替えたあと、フェリーで本土に戻った。

翌日午前10時頃、ヤン氏の遺体は実姉によって発見され、警察に通報される。

現場では血痕付きの鉄アレイが発見されたが、DNAは検出されず。防犯カメラの映像から、不審な男が空のバッグを持って建物に入り、満杯のバッグを持ち出す姿が確認された。

車両追跡や乗船記録、通話履歴からキム夫妻の身元が判明し、事件から4日後に梁山の自宅で逮捕。犯行前後に頻繁に通話していたパク氏も同日に拘束された。

パク氏は警察の訪問に「犯人を必ず捕まえてくれ」と涙ながらに訴えていたが、犯行が発覚すると「ただ懲らしめてほしかっただけで、殺すとは思わなかった」と弁解した。

裁判結果と社会的波紋

警察は情報公開審議会を開いたが、「捜査が継続中で、公開による公益よりも加害者・遺族の人権侵害の懸念が大きい」として氏名の公開を見送った。

検察はパク氏とキム氏に死刑を、イ氏には無期懲役を求刑。裁判ではパク氏が一貫して罪を否定する一方、キム氏は謝罪。イ氏も涙を流しながら「夫の行動を止められなかった」と述べた。

時事ジャーナル
(画像=済州東部警察署)犯行後、済州の旅客ターミナルから乗船するキム氏、イ氏夫婦

一審判決ではパク氏に無期懲役、キム氏に懲役35年、イ氏には殺意がなかったとして強盗殺人ではなく強盗致死罪が適用され、懲役10年が言い渡された。

控訴審でイ氏の刑は懲役5年に減刑され、最終的に最高裁で全員の刑が確定した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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