韓国で物価の上昇と景気低迷が長期化するなか、小売業界では「薄利多売」競争が本格化している。
1000ウォン(約108円)以下の超低価格商品で顧客を呼び込む動きが加速しているのだ。
今年も必要最低限のものを少量購入する「ヨノ(You Only Need One)」トレンドが続くと予想されるなか、価格競争は100ウォン、10ウォン単位にまで細分化されている。
低価格を先に設定し、それに合わせて製品を発売する方法がしばらく小売業界の定番となるだろうという見方もある。
小売業界では1000ウォン以下の商品を次々と発売している。最も積極的なのはコンビニ業界だ。
コンビニ最大手のCUは最近、990ウォン(約107円)の「テンチョ魚の練り物三角キンパ」を発売した。昨年発売された1000ウォンの「ピリ辛魚の練り物三角キンパ」より10ウォン安い商品だ。
セブンイレブンは1月15日に、800ウォン(約86円)のコーヒー飲料「セブンセレクト優しいアメリカーノ」を発売予定だ。
先にGS25が発売した「ユアーズ・アメリカーノ・ブラック」と容量は同じだが、最近のコーヒー豆価格の高騰を考慮すると比較的安価だと評価されている。昨年発売された900ウォン(約97円)のパウチ飲料、12月末に発売された1000ウォンのコーンチップに続く超低価格商品だ。
このように100ウォン、10ウォンでも安い商品を投入する動きが始まった背景には、不況でも「安ければ売れる」という事実が証明されたからに他ならない。食品をはじめとするあらゆる分野で消費が減少するなか、商品の容量やパッケージデザインよりも、価格に対する敏感さが特に高まった。
価格が購買決定の最優先要因となっているのだ。
CUで販売された1個290ウォン(約31円)のカプセルコーヒーは、ECサイトや生活用品店よりも安価だと口コミで広がり、2週間で1000個が売れた。GS25が昨年発売した550ウォン(約59円)のラーメンは45万個販売された。セブンイレブンの900ウォンのパウチ飲料も、6カ月間で100万個以上売れたという。
超低価格商品の売上成長率も上昇した。昨年、GS25の1000ウォン以下商品の前年比売上成長率は46.5%を記録。CUの1000ウォン以下商品も売上成長率が29.8%に達し、過去3年で最高水準となった。
超低価格商品の価格が1000ウォン以下に設定される理由の一つは、「1000ウォン」という価格に対する消費者心理だ。
過去、アイスクリームやラーメンの価格が1000ウォンを超えるたびに、「心理的価格抵抗線」を越えたとの分析があった。2010年代にすでに1000ウォンを超えたこれらの価格が、15年が過ぎた今、1000ウォン以下に設定されていることが、心理的抵抗を和らげ、購買意欲を高める要因となっている。
通常、超低価格商品の利益率は、一般的なPB(プライベートブランド)商品の半分程度にとどまるとされている。原材料価格が高騰している現状では、利益率を削って最低価格を設定する方法には限界がある。しかし、それでも低価格によって需要が生まれるため、薄利多売戦略が可能となる。
CUは原材料を大量購入し、製造工程を自動化することで、超低価格商品を実現しているという。
また、業界では原材料が安い時期に先に購入する「先買い」戦略を活用したり、PBを使って超低価格商品を製造したりして、マーケティング費用を最小限に抑えている。デザインの簡素化や販売促進費の削減などにより、メーカー商品の価格を10~40%下げることができるという。
さらに、超低価格商品は顧客を引きつける「おとり商品」としても機能する。実際、キャンペーン対象商品を購入しながら、飲料や酒類など他の商品を購入するケースが多い。
業界関係者は「1000ウォンは高物価時代に最も手が届きやすい価格だ」とし、「超低価格商品は売上を引き上げる稼ぎ頭の商品として機能しているため、まず低価格を設定し、それに合わせて製品を発売する方式がしばらく小売業界の定番となるだろう」と述べた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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