尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が釈放された翌日の3月9日、与党「国民の力」のクォン・ヨンセ非常対策委員長とクォン・ソンドン院内代表が非公開で尹大統領と会い、国政の状況について協議した。
【注目】「弾劾は棄却される。尹は途中退任する」と大統領室高官
尹大統領が「場外政治」を本格化させる場合、早期大統領選を視野に入れて準備を進めていた「国民の力」の戦略と方針を大幅に修正する必要があるとの見方が出ている。
3月10日、クォン委員長とクォン院内代表が9日20時から20時30分までの約30分間、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領公邸を訪れ、尹大統領と会談したと、「国民の力」のシン・ドンウク首席報道官が明らかにした。
尹大統領は釈放された当日の夜に党指導部と通話を行ったが、今回は直接会い、国政の状況について話し合った。この場にキム・ゴンヒ大統領夫人は同席しなかったと伝えられている。
尹大統領は「2人を中心に党をよく運営してくれて感謝する」と述べたという。
クォン委員長は記者団に対し、「大統領から今後も党の指導部がしっかりと党を率いていってほしいという要請があった」と説明。また、「大統領が拘束から解放されたばかりなので、長い話はしなかった」とし、「指導部は健康について尋ね、大統領は『今後も頑張ってほしい』と話し、拘置所で感じたことについて語った」と述べた。
尹大統領の釈放後、党の求心力が回復し、「国民の力」の支持率が上昇しているとの分析がある。
世論調査機関「リアルメーター」がエネルギー経済新聞の依頼で、3月5日から7日にかけて全国の18歳以上の有権者1507人を対象に行った政党支持率調査(95%の信頼水準で誤差±2.5%ポイント)によると、「国民の力」の支持率は42.7%、最大野党「共に民主党」は41.0%だった。
「国民の力」の支持率は前週の調査と比較して5.1ポイント上昇し、「共に民主党」は3.2ポイント低下した。
先週は「共に民主党」が誤差範囲外(6.6ポイント差)で「国民の力」をリードしていたが、1週間で両党の差は誤差範囲内の1.7ポイントに縮まった。尹大統領の拘束取り消しを決定した裁判所の判断が、一部の世論に影響を与えたとみられる。
早期大統領選を念頭に水面下で準備を進めていた「国民の力」の動きも、一時的に停滞する様子を見せている。
尹大統領の動向が党内の予備選や本選の局面に影響を与えると予想されるなか、早期大統領選が実施される場合、「尹心」(尹大統領の意向)を受けた候補が擁立される可能性があるとの見方もある。
「国民の力」内部では、早期大統領選を視野に入れ、尹大統領と距離を置くべきだという意見が継続的に出ていた。しかし、釈放された尹大統領が早期大統領選の主導権を握り、場外政治を始める場合、現指導部はこれに従わざるを得ないとの見解もある。
過去の党代表選などと同様に、尹大統領が自身の意向を反映した候補を擁立し、積極的に関与する可能性が指摘されているわけだ。
現在、尹大統領が支持する与党側の候補が誰になるのかは不明な状況だ。現時点で与党内では、雇用労働部のキム・ムンス長官が圧倒的な支持率を記録している。
韓国ギャラップが3月4日から6日にかけて全国の有権者1003人を対象に実施し、発表した「デイリーオピニオン」3月第1週の調査によると、将来の政治指導者の支持率で、「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が35%を獲得し、圧倒的な1位を維持した。
与党内では、キム・ムンス長官が10%、ハン・ドンフン前「国民の力」代表が6%、ホン・ジュンピョ大邱市長が5%、オ・セフンソウル市長が4%、イ・ジュンシク「改革新党」議員が1%の順となった。
しかし、尹大統領が罷免された場合、「国民の力」にとって不利に働く可能性があるとの分析もある。
「ザ・モア」政治分析室のユン・テゴン室長は3月10日、SBSラジオのインタビューで、「仮に弾劾が認められた場合、国民の力は方向転換を余儀なくされるだろうが、現在は(尹大統領の動向と)距離がますます縮まっている」とし、「『国民の力』が大統領を冷淡に扱うことはできないだろうが、憲法裁判所の判決が出るまでは、互いに静かにしているほうが(早期大統領選の局面で)有利ではないか」と述べた。
(記事提供=時事ジャーナル)
■「私たちの先祖の国籍は日本だった」発言のキム・ムンス長官が第1位に…検索量ランキング
前へ
次へ