韓国大統領選挙の本投票日を目前に、与野党の大統領候補たちが最後の遊説日程に総力を挙げている。
「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補は、故郷である慶尚北道・安東から出発し、大邱、蔚山、釜山を回って、劣勢が予想される嶺南地域の票を掘り起こしにかかった。
一方、「国民の力」のキム・ムンス候補は、水原の光教新都市を皮切りに、城南・九里・南楊州・議政府など京畿道地域を順に巡り、遊説を続けた。
李在明候補は6月1日、「共に民主党」にとって劣勢が予想される嶺南地域を重点的に回った。彼は嶺南圏の3大広域都市を訪れ、統合と地域発展を約束し、自らのルーツがこの地にあることを強調した。
安東のウンブ公園で行われた最初の遊説では、「私は安東で生まれ、安東の水と米、草を食べて育った」と述べたうえで、「しかし私の故郷である安東や慶北の皆さんは、なぜか私に厳しい。今回は違いますよね」と述べ、支持を訴えた。
また李在明候補は、フェイスブックにも「慶北の中でも最も僻地とされる安東市礼安面道村里、ここが私、李在明のルーツだ」と投稿し、「私にとって安東は、伝統と保守の壁を越える変化と包容の種であり、統合された大韓民国への出発点だ」と強調した。
大邱に向かった李在明候補は、東大邱駅前での遊説でも、政治的立場を超えて「内乱勢力を審判するために自分を選んでほしい」と訴えた。「民主党と李在明政権に機会をくれれば、大邱を含む地方の均衡発展政策を着実に進める」「私たちは左派・右派などで分けない。私たちは実力派だ」と声を張り上げた。
続く蔚山・一山海水浴場前での遊説では、「朴槿恵(パク・クネ)、尹錫悦(ユン・ソンニョル)、李明博(イ・ミョンバク)、これらの元大統領たちがキム・ムンス候補と連帯すると言っている。どんな助けになるというのか理解できない」とし、「今回の選挙結果次第では、我々が打ち破らねばならない“内乱勢力”が再び復活する可能性がある」と語った。
さらに李在明候補は「大統領の夫人でもルールを破って利益を得ることができない正常な国を作ることが、政府の役割であるはずだが、尹錫悦政権と国民の力はどうだったか」と語り、キム・ゴンヒ氏を名指しで批判した。
彼は「株価を操作して何千、何万人に損害を与え、なぜあれほどまでにバッグが好きで、色までそろえて陳列しようとしたのか。そのようなことをしても、大統領夫人だから捜査も受けない。それがまともな国なのか」と反問した。
李在明候補はその後、釜山駅での遊説で「釜山をグローバル物流のハブ、そして金融・文化の中心地にする」という構想を示して遊説を締めくくった。この日、釜山に「東南投資銀行」を設立するという公約も打ち出した。
一方、キム・ムンス候補は同日、李在明候補の息子に関連する論争や、ユ・シミン作家によるソル・ナニョン夫人(キム・ムンス候補の妻)への発言に対抗して、「私の娘が誇らしい」「正直な父、清潔な大統領」などのスローガンが書かれたTシャツを着て、ソウルと京畿道の10カ所で遊説を行った。
最初の遊説は、京畿道知事時代に成果を上げたとされる水原の光教新都市から始まった。
キム・ムンス候補は、「本人だけでなく妻までもが法人カードの使用で有罪判決を受けたのをご存知か。息子も違法賭博などで有罪判決を受けたことをご存知か」と述べ、李在明候補の配偶者による法人カード流用疑惑や、息子の違法賭博問題を取り上げた。
さらに「(妻は)私が2年半の服役をしている間、ゴム靴を逆さに履かず、私と子どもを守ってくれた。私が無能で家長を務め、家計を支えてくれた妻が間違っているのか」とし、「選挙運動中に妻が高卒だと言って取り替えるべきなのか」と涙ぐみながら語った。そして「学歴差別をなくし、大学を出ていないというだけで胸に傷を負わされる社会を変えるために大統領選に出た」と強調した。
また、「共に民主党」が提起した保守系団体「リバックスクール」によるコメント操作疑惑については、「まったく知らないことだ」と否定。議政府での遊説前、記者らとのやりとりの中で「民主党が、キム候補の当選を支援するためにリバックスクールがコメントチームを運営していたと主張しているが?」という質問に対してこのように述べ、「そのような話は根拠なしに語ってはいけない」と一蹴した。
キム・ムンス候補は遊説のたびに、「最近、大学卒業生の50万人以上が卒業後に休んでいる。就職も求職もしない青年に良い仕事を作る」と述べ、「雇用の大統領」になると訴えた。首都圏に多い青年層をターゲットに、「経済の大統領」というキーワードで中道層や青年の票を狙う意図と見られる。
「国民の力」はこの日、前日の尹錫悦前大統領のキム・ムンス候補支持呼びかけメッセージに対して「過去の誤りとは決別した」と再び距離を置く姿勢を見せた。
チャン・ドンヒョク選対本部状況室長は、汝矣島の党本部で開いた記者会見で「すでに脱党し、自然人の立場である尹前大統領に対して、党の立場は明確にした」と述べ、「キム候補が異なる立場を表明していないこともまた、彼の立場を示したものだ」と説明した。
キム・ムンス候補も記者の質問に対して、「尹前大統領はすでに党の人間ではなく脱党している。私が論じる問題ではないと考えている」と答えた。彼は雇用労働部長官時代から大統領候補選出までの間、一貫して尹前大統領の弾劾訴追に反対の立場を取り続けてきた。
「改革新党」のイ・ジュンソク候補は6月1日、「完走のゴールが目前に迫ってきた。いよいよ本投票でこの選挙を完成させる。大韓民国の希望を守る意味ある高地を必ず確保する」と述べた。
彼はフェイスブックに「完走できないだろうという嘲笑と皮肉、両党の既得権勢力による激しい挟撃を乗り越えて、私は今日まで走ってきた。それでも諦めず、最後まで戦い抜いてここまで来たのには明確な理由がある」と書いた。
続けて「若い世代の声が生きる政治を実現したいという夢、二大政党の既得権構造に屈しない、小さくても堅固な政治勢力を築きたいという時代精神がある」と強調した。
そして「共に民主党の李在明候補が大統領になれば、今の地位に上がるまでに見せてきたやり方そのままの世界が繰り広げられる。彼に反対する勢力は徹底的に踏みにじられ、若い世代の最後の希望すらも窒息させ、個人独裁体制の完成に全力を注ぐだろう」と批判した。
続けて「そんな世界が恐ろしいなら、李在明が無視できない勢力として、私イ・ジュンソクと改革新党を育ててほしい。今回の選挙で我々が一定の支持を得なければ、大韓民国が一方に大きく傾くのを防ぐことができず、希望の火種を再び灯すこともできない」と訴えた。
(記事提供=時事ジャーナル)
■李在明の対抗馬となった“右翼の中の右翼”、キム・ムンスとは?
前へ
次へ