「法律の上に存在した」韓国・ユン前大統領夫人、懲役15年求刑で“呆れ笑い”「間違っていたのは正しいが…」

2025年12月04日 政治 #時事ジャーナル
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尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の夫人で、ドイツモータース株価操作などの疑いで起訴されたキム・ゴンヒ氏に懲役15年が求刑された。

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12月3日、ソウル中央地・裁刑事27部(ウ・インソン部長判事)の審理で開かれたキム・ゴンヒ氏のドイツモータース株価操作(資本市場法違反)、ミョン・テギュン無償世論調査(政治資金法違反)、コンジン法師および旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の請託(特定犯罪加重処罰法の斡旋収賄)疑い事件の論告求刑公判で、キム・ゴンヒ特別検事チームは裁判所に「キム・ゴンヒ氏に懲役15年を宣告してほしい」と要請した。

この日はミン・ジュンギ特別検事をはじめ、オ・ジョンヒ、パク・サンジン、キム・ヒョングン特別検察補など特検チーム指揮部が裁判に出席した。ミン特検が特検裁判に直接出席したのは今回が初めてだ。

特検側は裁判所に対し、ドイツモータース株価操作事件においてキム・ゴンヒ氏が「法律の上に存在してきた」と主張した。特検は「被告人だけはこれまで大韓民国の法の外に存在してきた」「十数年前、ドイツモーターズに関する犯行のすべての共犯は法廷の前に立ったが、被告人だけは例外であり、最近になって国民全員が無残な心情で見守った。被告人は大韓民国の司法システムを無力化した」と指摘した。

また、旧統一教会の請託疑惑については「宗教団体と結託し、憲法上の政教分離原則を崩し、選挙の公正性と代議制、民主制、国家統治システムを崩壊させた」と述べ、「被告人は今も、法が自身の行った行為に対する盾だと思っており、捜査および裁判で本人だけが明らかにできる真実の領域で沈黙を貫き、懺悔も拒否している」と述べた。

政治資金法違反疑惑については「政治権力と金権が結託して代議制民主主義を損なった」「民主主義の健全な発展を妨げ、民主政治に対する国民の熱望を打ち砕く深刻な結果を招いた」と強調した。

キム・ゴンヒ氏側は疑惑を全面否認した。弁護人は「チョン・ソンベ氏を通じてシャネルのバッグを受け取ったことは認めるが、グラフのネックレスは認めない」とし、「バッグを受け取ったのも、当選を祝う儀礼的なものだと認識して受け取ったのであって、尹前大統領の職務に関連したものだとは認識していなかった」と主張した。

続けて、「旧統一教会側が良い関係を維持したいと言い、チョン氏に(金品を)渡した。被告人は明らかにためらったが、『宗教団体の贈り物は受け取っても事故は起きない』という言葉を聞き、儀礼的に受け入れたものだ」とも述べた。

その後、特検チームは最終意見陳述で「資本市場法および斡旋収賄に関連して懲役11年、罰金20億ウォン(日本円=約2111万円)および追徴8億1444万ウォン(約8606万円)を求める」「政治資金法違反については懲役4年および追徴1億3720万ウォン(約1449万円)を宣告してほしい」として、懲役15年を求刑した。政治資金法は分離宣告が原則であるため、別途に求刑する形となる。

これに対し、キム・ゴンヒ氏は付けていたマスクを外して最終陳述に臨んだ。彼女は呆れたような笑いを見せながら、「私としてもとても悔しい点は多いが、私の役割と私が持つ資格に比べると、あまりに私が間違っていたのは確かなようだ」と述べた。

キム・ゴンヒ氏は続けて、「だからといって特検が言うように争う余地はあると思う」とし、「とにかく国民の皆さまに大きな心配をおかけした点は心から申し訳ない。心から反省している」と述べた。

キム・ゴンヒ氏
(写真=共同取材団)12月3日の論告求刑公判に出廷したキム・ゴンヒ氏

キム・ゴンヒ氏は2010年10月から2012年12月、ドイツモータースのクォン・オス前会長、口座管理人を務めたブラックパールインベストのイ・ジョンホ前代表らと共謀し、高値買いと通謀売買などで約8億1144万ウォンの不当利益を得た疑いで、去る8月に裁判に付された。歴代の大統領夫人が裁判に付されたのはキム・ゴンヒ氏が初めてである。

また、2021年6月から2022年3月、尹前大統領と共謀し、政治ブローカーのミョン・テギュン氏から総額2億7000万ウォン(約2852万円)相当の世論調査を無償で提供された後、2022年6月に実施した国会議員補欠選挙において、「国民の力」キム・ヨンソン前議員が公認を受けるよう影響力を行使した疑いも受けている。

さらに特検は、キム・ゴンヒ氏が2022年4~7月、チョン・ソンベ氏と共謀し、旧統一教会側から教団懸案の請託とともにシャネルのバッグとグラフのネックレスなど、8000万ウォン(約845万円)相当の金品を授受したとみている。

なお同日、裁判所は公判開始までの報道機関の映像・写真撮影を許可した。しかし、これに先立って特検チームが申請した被告人訊問の裁判中継は、キム・ゴンヒ氏が被告人訊問への回答を拒否したことから中継の実益がないと判断し、許可しなかった。

被告人訊問は、裁判終盤の段階で検察などが被告人を直接尋問する手続きである。キム・ゴンヒ氏側は先立って、裁判所に「包括的供述拒否権を行使する」と明らかにしていた。

この日、特検側はキム・ゴンヒ氏にドイツモータース株価操作疑惑関連の3つの質問を行ったが、キム・ゴンヒ氏が供述拒否権を行使し、約3分で被告人訊問は終了した。

しかし、キム・ゴンヒ氏は続く裁判所の質疑では供述拒否権を行使せず、大部分に答えた。陪席判事が「すべての取引をクォン・オスを通して行ったのは事実か」という趣旨で質問すると、キム・ゴンヒ氏は「私は実際に他の人と個人的な取引をしたことがない。クォン・オスを通してのみ(した)」と答えた。

すると、特検チームは「(被告人が)包括的供述拒否権を行使すると言っておきながら、裁判部の質問にだけ答えるのは包括的供述拒否に該当すると見難い」と反発。これにキム・ゴンヒ氏側の弁護人は「検察と弁護人のうち一方の質問にのみ証言を拒否することができる。拒否権を行使する範囲は被告人が決められる」と応酬した。

この日の公判は、証人として採択された「ドイツモータース1次主砲」のイ・ジュンス氏の証言の有無にも注目が集まったが、同氏は不出席理由書を提出し姿を見せなかった。ただし、キム・ゴンヒ氏側が同氏の供述調書に証拠同意し、同氏の証人訊問は取り下げられた。

キム・ゴンヒ氏のドイツモータース株価操作および旧統一教会の金品授受疑惑に対する判決結果は、来年1月28日に出る。

(記事提供=時事ジャーナル)

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