「NPBで戦力外」が「KBOで即戦力」に 日本人投手ら“アジア枠”に韓国プロ野球が寄せる期待と懸念《韓国経済誌の視点》

このエントリーをはてなブックマークに追加

来季から韓国プロ野球では外国人選手が1人増える。いわゆる「外国人選手4人制」になるわけではなく、実態としては「3+1人」と見るのが適切だ。アジアクォーターで獲得する「1人」は、従来の外国人助っ人とは性格がやや異なるからである。

【写真】ド迫力の“開脚”も!韓国プロ野球“美脚美女”の大胆始球式

まず年俸から違いがある。従来の外国人助っ人は年俸100万ドルで契約するケースも珍しくないが、アジアクォーターの外国人選手は上限が20万ドルに設定されている。この20万ドルには、年俸、契約金、出来高、さらには前所属球団に支払う移籍金まで含まれる。ただし、アジアクォーター選手と再契約する場合は、毎年10万ドルずつの昇給が可能だ。

獲得可能な選手の条件も厳しい。対象は日本や台湾などのアジア国籍、またはオーストラリア国籍の選手に限られる。アジア圏以外の国籍を持つ二重国籍選手は対象外だ。

また、前年または当該年に日本・台湾・オーストラリアなどのアジアリーグに所属していた選手のみが対象となり、前年や当年にMLBやメキシカンリーグなどでプレーしていた場合は獲得できない。制限はかなり限定的である。

KBOがアジアクォーターを導入した表向きの理由は、日本や台湾などで実績のある選手を獲得し、リーグ全体のレベルを引き上げるためだ。少子化の影響で韓国国内における青少年の野球人口が減少しており、制度導入が避けられなかったという事情もある。

韓国人選手の出場機会を脅かしかねない制度であるにもかかわらず、プロ野球選手会が強く反対しなかったのは、以前から育成型外国人選手の保有について合意があったためだ。

ただし、育成型外国人選手は二軍の宿舎や通訳の問題などから実効性に乏しいと判断され、その代替策としてアジアクォーターが導入された。

アジアクォーターで獲得した選手は即一軍起用が可能であり、この制度によって外国人選手4人が同時に1試合へ出場することもあり得る。

制度施行に伴い、KBOの一軍エントリーは従来の28人(26人出場)から29人(27人出場)へと拡大された。

人気は「日本人投手」

10球団の大半はストーブリーグ中にアジアクォーター選手との契約を終えた。予想通り、日本人投手の獲得が目立った。

複数球団が注目した選手が、ハンファ・イーグルスが契約した台湾出身の王彦程(24)だ。ほぼ全球団のリストに入っていたが、素早く動いたハンファが獲得に成功した。台湾代表経験のある左腕で、最速154kmのストレートとスライダーを武器とする。

昨季は東北楽天ゴールデンイーグルス所属で主に二軍で出場し、10勝5敗、防御率3.26を記録した。ハンファは先発左腕がリュ・ヒョンジンしかおらず、王彦程が左右のバランスを整える存在になると期待している。ロングリリーフでの起用も可能とみられる。

2年ぶりに統合優勝を果たしたLGツインズは安定感を選んだ。今季キウム・ヒーローズで代替外国人としてプレーした左腕ラクラン・ウェルズ(28)と契約。すでにKBOへの適応を終えており、先発・リリーフの両面で起用価値が高いとみられる。今季は4試合に登板し、1勝1敗、防御率3.15だった。

王彦程、ウェルズ以外は日本人投手が多く選ばれた。その顔ぶれは、日本代表経験のあるベテランから独立リーグ出身の有望株まで幅広い。

SSGランダースは、NPB通算66勝(48敗、防御率3.33)の武田翔太(32)を獲得した。2011年のドラフト1位で福岡ソフトバンクホークスに入団し、2015年(13勝)、2016年(14勝)と2度の2桁勝利を挙げ、2015年プレミア12にも日本代表として出場した。昨年にトミー・ジョン手術を受け今季は登板がなく、SSGとしては“一か八か”の選択となりそうだ。

武田翔太
武田翔太(写真提供=SSGランダース)

NCダイノスは先発補強として、読売ジャイアンツでプレーしていた左腕・戸田懐生(25)を獲得した。NCは韓国人の先発投手が手薄なチーム事情がある。

今季後半戦にリリーフ陣の酷使で失速したロッテ・ジャイアンツは、右腕の京山将弥(27)を横浜DeNAベイスターズから獲得した。最速155kmのストレートと落差の大きいスプリットが武器で、NPBで9シーズンにわたり1000回以上を投げており、イニング消化力に期待がかかる。

斗山ベアーズは、NPBで通算150試合に登板した前埼玉西武ライオンズの田村伊知郎(31)を中継ぎ要員として起用する計画だ。キウム・ヒーローズは、今季までヤクルト一軍でプレーしていた右腕・金久保優斗(26)を選んだ。6シーズンで5勝4敗、1ホールド、防御率4.31だが、日本での私生活を巡る問題が懸念材料とされる。

田村伊知郎
田村伊知郎(写真提供=斗山ベアーズ)

サムスン・ライオンズとKTウィズは、独立リーグ出身の若い剛腕を獲得した。サムスンは最速158kmの右腕・宮路悠良(26)、KTは最速154kmの杉本幸基(25)と契約した。いずれもリリーフ起用が想定され、両球団は彼らが「第2の白川恵翔」になることを期待している。独立リーグ出身の白川は昨季、代替選手としてSSGと斗山で印象的な活躍を見せた。

アジアクォーター制には否定的な見方もある。すでに制度を導入しているプロバスケットボールやプロバレーボールと異なり、プロ野球を夢見る青少年層は依然として多い。実際、新人ドラフトで指名されるのは10人に1人にすぎない。

そんななか外国人選手が1人増えることで、韓国人選手の立場がさらに狭まるのではないか、という懸念も根強く残っている。

長期的には、国際大会での競争力が弱まる可能性があるという懸念も出ている。アジアクォーター枠で獲得される選手たちが、最終的に奪うポジションは、キャリア年数の浅い若手選手の枠だからだ。

低コスト・高効率を狙うアジアクォーター制度がどのような結果を生むのかは、現時点ではわからない。年俸20万ドルの外国人選手が、100万ドルの高額外国人選手よりも良い成績を残す可能性もある。それくらい、外国人選手という存在は、文化適応やリーグ適応などの要因によって「当たり外れ」が出やすい。

メジャーリーグで好成績を残していた外国人選手が、いざ韓国に来ると力を発揮できないままチーム低迷の元凶となるケース(ロッテのビンス・ベラスケス)がある一方で、一度もメジャーの公式戦に登板したことがない選手がKBOリーグで好投し、メジャーリーグへ“逆輸出”される例(ハンファ・イーグルスのライアン・ワイス)もある。過去の経歴が、現在の成績を保証するわけではないということだ。

アジアクォーター枠を通じて初登場する選手たちが、リーグの多様性を豊かにする「ジョーカー」となるのか、それとも球団に新たな悩みをもたらす「鶏肋(けいろく)」となるのかは、今後の活躍を見守るしかない。

●ハンギョレ新聞、キム・ヤンヒ記者

(記事提供=時事ジャーナル)

【写真】ド迫力の“開脚”も!韓国プロ野球“美脚美女”の大胆始球式

【写真】韓国の美女チアリーダー、目を疑う非現実的ボディ

【写真】「“大きすぎて”悩み」日本テニス美女が告白した“バストの苦悩”、韓国にも届く

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

デイリーランキングRANKING

世論調査Public Opinion

注目リサーチFeatured Research