韓国の女子プロゴルファーの現役期間は短い。日本の女子ゴルファーに比べるとより顕著だというが、その理由を以前ユン・チェヨンはこう話してくれた。
「韓国では長く現役を続ける選手がいません。やらないのではなく、できないのです。若い選手が続々と出てきて、シード権を失ってしまうことが多いからです」
実際に韓国ゴルフ界に続々と若い選手が出てくるのは事実で、9実力だけでなく、スター選手の入れ替わりも激しい。日本でブレイクしたアン・シネに代わるかのように、最近はユ・ヒョンジュが“次世代セクシークイーン”として台頭したりしている。
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そんななか、実力と人気を兼ね備え、韓国女子ゴルフ界の“神セブン”として注目を集めているのがパク・キョルだ。
2014年に行われた仁川アジア競技大会のゴルフ女子個人で金メダルに輝いた実績のある彼女は、着実に結果を残している。
また、ゴルフ選手離れした美貌も人気に拍車をかけているのだろう。韓国最大のゴルフ・コミュニティといわれる“ゴルフマニア・クラブ”では、毎週ごとに行われる大会に合わせてネットユーザーたちが投票できる「今週のベストドレッサー賞」というものがあるのだが、パク・キョルはその常連でもあるのだ。
そんな韓国女子ゴルフ界の“ニューヒロイン”を韓国で直撃取材したのは、2017年の夏だった。当時のやり取りをここに再現したい。
パク・キョルにインタビューするのは、2014年9月に軽井沢で行われた世界アマチュアゴルフチーム選手権以来のことだった。それだけにまず聞きたかったのは、新たな若手スターとして注目を集めていることを本人がどう思っているかだ。
「プロデビューからとても大きな期待をしてもらいました。“スーパールーキー”とも呼んでもらったのですが、プレッシャーがなかったといえば嘘になりますね。一日も早く優勝しなきゃと焦っていた部分もあったと思いますが、今は大分落ち着けている。周りは気にせず、自分のプレーにだけ集中しようと心がけています」
当時はプロ3年目。プレッシャーを受け入れて、プレーを楽しんでいるのが現状のようだ。
「さすがに3年目となったので、慣れてきました。大会がとても多いため、体力が最も重要だと思います。ただ、アマチュア時代よりも今のほうが断然、楽しいです。大会に出れば多くのギャラリーの方とも会えますし、アマチュアとプロでは環境が違うのでおもしろいですね」
プロとなった今のほうが「断然、楽しい」とパク・キョルが感じる理由のひとつには、「KLPGA広報モデル」を務めていることも関係ありそうだった。
KLPGA広報モデルとは、韓国女子ゴルフを盛り上げるべくさまざまな広報活動を行う女子ゴルファーたちのこと。前シーズンの韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)ツアーで賞金上位60位以内の選手(海外ツアーで活動中の選手は除外)のなかから、メディアやスポンサー関係者、KLPGA会員などの投票によって選ばれる。毎年10人前後しか選ばれることのない狭き門だ。
イ・ボミ、キム・ハヌル、アン・シネといった日本で人気の高い選手も、みなKLPGA広報モデルの経験者だ。
「広報モデルを務めるようになって、テレビCMのような撮影もあって、不思議な気持ちになります。今まで着たことのない服も着ました。KLPGA広報モデルになったてドレスを初めて着たのですが、特別な経験ができたと思います」
プロの世界で活躍している彼女だが、素顔はおしゃれが好き。ゴルフウェアにも独特のこだわりを持っているらしい。
「タイトなゴルフウェアが好きで、スカートも長いものははきません。一番かわいいものを選んでいるんです。気に入ったゴルフウェアを着ると、スコアにも良い影響があると思う。自分に合った服を着るとかわいく、スマートに見えるし、そうなると気分も良くなって、コンディションも上がるでしょう?」
そんなパク・キョルは、日本で活躍している“先輩”たちをどんな目で見ているのだろうか。イ・ボミやキム・ハヌルのことを「とてもカッコいい」としながら、こう話していたことが印象的だった。
「何よりも日本で結果を出しているのだから、とてもカッコいいと思います。韓国だけでなく日本でも活躍できるというところは、学ばなければいけないことがあるのだと感じています。その活躍している姿を見て、いつか自分も…と思いますよ」
「いつか自分も…」と話したパク・キョル。ただ、彼女の日本進出は実現せず、今も韓国でプレーしている。なぜか。そのことについては2017年のインタビューでヒントを語っていた。それについては次回にしよう。
文=慎 武宏
*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。
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