今季KBOリーグで本塁打王に選ばれたのは、KTウィズに所属するベテラン内野手のパク・ビョンホだった。36歳にして35本のアーチを描き、本塁打王の史上最年長記録も更新した彼は、過去に一度だけメジャーに挑戦し、失敗を味わったことがある。
パク・ビョンホはそもそも、韓国で「KBOを代表する大砲」の一人と呼ばれた選手だ。
2005年にLGツインズでプロデビューしたキャリア初期は特筆すべき活躍もなかったが、2011年のネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)加入以後にポテンシャルが爆発。同年にプロ初の二桁本塁打を記録すると、翌2012年には年間MVP、ゴールデングラブ賞(NPBのベストナイン相当)、本塁打王、打点王、長打率1位の個人5冠に輝いた。
その後も勢いは止まらず、2013年は個人6冠、2014年は3冠、2015年は2冠を達成。特に2014~2015年は2年連続で本塁打50本超えという圧巻の成績を残している。この活躍で野球韓国代表にも選ばれ、2014年の仁川アジア大会(金メダル)と2015年のWBSCプレミア12(優勝)を経験した。
これらの実績を引っ提げ、メジャーリーグへの挑戦を決意したのが2015年冬。かねてからその長打力を高く評価されてきたパク・ビョンホは、同年12月にミネソタ・ツインズへの加入が発表された。契約内容は4年総額1200万ドルで、1年の契約延長オプション付き。プロ12年目、30歳を迎えての初の海外挑戦となった。
加入当時はアメリカ現地で高い期待を集め、『CBSスポーツ』には同じタイミングでロサンゼルス・ドジャース入りした前田健太(現ミネソタ・ツインズ)とともに「新人王の資格は十分にある」と注目されたほどだった。
その期待通り、春季キャンプのオープン戦20試合で打率0.259、15安打、3本塁打、13打点と結果を出すと、ツインズの開幕ロースター25人に滑り込むことに成功。「6番・指名打者」で先発出場した開幕戦の2打席目ではメジャー初安打を記録するなど、4月は月間15安打、6本塁打、8打点と上々のスタートに成功した。
ただ、結果として1カ月通して安定的に活躍できたのはこの4月のみとなった。というのも、5月以降から「速球に弱い」という弱点を徐々に露呈し始めたのだ。
パク・ビョンホは93マイル(約149km)以上の速球にめっぽう弱く、96マイル(約154キロ)を超えた球はほぼ確実に打てなかった。6月には打率が2割台、OPS(出塁率+長打率)も7割台を切り、直近5試合で16打数無安打の10三振という不振ぶりだった。
結局、7月にマイナー降格を言い渡されると、8月に手首負傷による手術の影響で、メジャー初年度を早々に終えることになった。翌2017年は開幕前にツインズを戦力外となり、マイナーで1シーズンを過ごすも一度もメジャーに昇格できず。最終的にツインズとの残り2年の契約を解除し、2年で母国に帰ることになった。
パク・ビョンホのメジャー通算成績は62試合で215打数41安打、打率0.215、12本塁打、24打点、28得点、80三振。マイナーでは通算142試合で535打数132安打、打率0.247、24本塁打、79打点、66得点、162三振だった。
KBO復帰後のパク・ビョンホは、2018~2019年に2年連続ゴールデングラブ賞、2019年に本塁打王(33本)受賞とトップレベルの活躍を続けている。
だが、アメリカ現地メディアの間では「ツインズの選手獲得失敗の代表例」「球団史上最悪の契約」として挙げられるなど、“期待を裏切った選手”という印象が根強く残っているようだ。
(文=サーチコリアニュース編集部H)