ただ、日本のお隣・韓国では、井上の快挙はまったくと言って良いほどニュースで伝えられなかった。唯一報じたのは、「日本の“ボクシング・モンスター”井上、アジア初の4大ボクシング機構チャンピオンを獲得」と見出しを打ったネットメディア『韓国免税ニュース』だけだった。
かといって、井上が韓国で知られていないのかというと、そうではない。まず、韓国のウィキサイト「ナムウィキ(Namuwiki)」で作成された井上の記事では、次のような基本説明がなされている。
「村田諒太とともに、現在の日本ボクシング界の最強者であることを超え、パッキャオ以降のアジアボクシングをリードするワールドクラスのボクサー。まだ若い年齢にもかかわらず、すでに日本歴代最高と評価されるほどの圧倒的な実力を見せている。ニックネームの“モンスター”は、外見と裏腹な重いパンチ力と無慈悲なボディ攻撃によって生まれたものだ」
さらに、国内最大手のポータルサイト『NAVER』で井上の名前で検索すると、韓国ボクシングファンが運営するNAVERブログの井上対バトラーのレビュー記事がトップに上がった。それも「井上尚弥が強力かつ熱い試合運営で、プロボクシング軽量級最高のスターであることを確実に刻ませた」「金剛不壊のバトラー、それを打ち破った井上尚弥」など、井上の勝利を称える記事がほとんどだ。
実際の韓国ボクシング界でも井上を模範とする選手は多い。そのなかでも、今年の全国高校ボクシング大会でライトフライ級金メダルに輝いた高校1年生チン・ジュアンは、スポーツ紙『スポーツソウル』とのインタビューで「普段から井上選手の映像をたくさんチェックしています。井上選手からはあらゆる面で学ぶことが多い。東洋の選手なのに、西洋の選手に押されることなく打ち勝つからです」と尊敬の念を示したことがある。
また、意外なところでは、K-POPボーイズグループ「BTOB(ビートゥービー)」のチャンソプが今年10月、井上の所属する大橋ジムを訪問。自身のインスタグラムで井上との2ショットを掲載したのだが、「とても幸せでありがたい一日でした。井上尚弥選手に会えるなんて…まだ夢のようで実感が湧きません」と、井上との対面に感激した様子を伝えていた。
韓国国内のボクサーが憧れを抱き、著名人まで魅了するスター性を誇る井上。いずれ韓国で試合をするようなことがあれば、多くのファンから熱い声援が送られることは間違いないだろう。
(文=サーチコリアニュース編集部H)