『セクシー田中さん』で注目の“実写化”トラブル、韓国では大河ドラマ原作者と制作側が絶賛ドロ沼対立中

2024年02月18日 話題 #ドラマ
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日本の芸能界では今、『セクシー田中さん』事件が尾を引いている。

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同作に関して、原作者・芦原妃名子さんの意図とそぐわない形でドラマ化されたと報じられ、トラブルが発覚。1月末に芦原さんがこの世を去ったが、脚本家、日本テレビ、小学館の3者の動向は今も注目を集めている。

そんななか、お隣・韓国でもドラマの実写化トラブルが起きていることをご承知だろうか。

問題となっているのは、韓国の公共放送局KBSが制作している大河ドラマ『高麗契丹戦争』(原題)。公営放送50周年を記念して作られている本作は、リーダーシップを武器に契丹(きったん)との戦争を勝利に導いた第8代王・顕宗(ヒョンジョン)と、彼の政治の師匠で高麗軍の総司令官だった姜邯賛(カン・ガムチャン)を描いた“正統派”時代劇だ。

昨年11月11日に放送が開始し、第15話で視聴率10.2%を記録。2023年の「KBS演技大賞」では、大賞を含む7冠に輝くほど人気を博している。

そんな歴史大作で、原作者と製作スタッフ・脚本家が対立する事件が起きた。

制作側は「別物」と主張

高麗契丹戦争
『高麗契丹戦争』ポスター(画像提供=KBS)

発端は、今年1月13日に放送された第17話だった。この回では、顕宗(ヒョンジョン、高麗の王)の失敗が誇張して描写されたことで、歴史考証を無視しているなどの批判が噴出。これには、原作小説を手がけたキル・スンスも、「ドラマが三流から抜け出すことを祈る」などと露骨に批判したほどだ。

このような批判を受けたKBS側は、異例となるドラマ“誕生秘話”を公開することで収拾に乗り出した。

ドラマを手がけたチョン・ウソン監督によると、原作の『高麗契丹戦記』とは2022年上半期に版権獲得および諮問契約を結び、実写化にあたって戦争シーンや戦闘場面の細かいディテールを描く際に“参照”したという。

また、脚本家のイ・ジョンウが合流しても話の方向性が合わなかったことで諮問チームを新たに設け、第1話から台本を執筆。そのため原作とドラマは“別物”と主張した。

しかし、納得のいかなかった原作者が反論。「2022年6月頃に初めて参加したとき、たしかに私の小説と違う方向性だった」とし、「そのような状態では、過去に歴史歪曲で打ち切られたドラマと同様の事態になる可能性があると言って放棄された」と指摘した。

これに対して、チョン・ウソン監督が再度反論。「ドラマの原作契約には非常に多様な形が存在する。原作の設定やあらすじに沿ったリメイクの形から、原作のアイデアを活用するための契約まで様々だ」と前置きした上で、「『高麗契丹戦争』の原作契約は、リメイクや一部分を脚色する契約ではなかった」とし、聴聞契約を結んだ上で小説からは一部戦闘シーンを拝借したと説明。またキル・スンスが、自身の小説と“ストーリーの方向性が違う”という理由で考証と関連した諮問を何度も断っていたと明かしたのだった。

その上、昨夏に小説『高麗契丹戦記』は『高麗契丹戦争』とタイトルを変え、再出版されていたこともサラっと暴露している。

続いてイ・ジョンウも、「『高麗契丹戦争』は、小説『高麗契丹戦記』を映像化する目的で企画されたものではない。大河ドラマ『高麗契丹戦争』はKBSの“自主企画”で誕生し、最初からタイトルも『高麗契丹戦争』だった」と声を高めた。

要するに、キル・スンスは純粋なドラマの原作者ではないという主張だ。

原作者の訴えで視聴者はトラックデモ敢行

さらに、再度「最初から別の作品だった」と強調し、「原作小説家の“変な方向に進んでいる”という表現の意図がわからない」とチクリ。「このドラマは一部の戦闘シーン以外は原作小説と何の関係もない。第1話からそうだったし、最終話までそうだ。自分の文章に対する自負心があるのであれば、他の作家の文章に対する尊重もなければならない」と伝えたのだった。

しかし、原作者も一歩も譲らなかった。1月24日には、韓国メディア『SPOTV NEWS』の単独で、キル・スンスのインタビュー記事が公開された。「2020年末から2021年初頭にかけてKBSと契約を交わし、美術関連の諮問にも参加した」など、詳細な制作過程を明かしたことで、KBS、脚本家の声明が覆る事態に。これによりKBSへの非難の声が大きくなり、視聴者からの請願、あまつさえはトラックデモまで行われる事態となった。

結局、KBSは旧正月連休期間に1週間放送休止するとし、作品の完成度を高めると発表。だが、悪評の原因を“イ・ジョンウ作家の独断的行為”として言い逃れをするような態度を見せたこと、そして「歴史歪曲、原作の盗用と毀損」という論点を「作品のクオリティと完成度・芸術性」へと論点をずらしたことで、批判が止むことはなかった。

韓国での実写化トラブルは『高麗契丹戦争』に限ったことではない。過去には、『不滅の李舜臣』(04~05)、『百済の王 クンチョゴワン(近肖古王)』(10~11)、『恋はチーズ・イン・ザ・トラップ』(16)、『財閥家の末息子~Reborn Rich~』(22)などで“原作破壊”トラブルが生じ、世間を騒がせてきた。

日本では芦原さんの訃報が伝えられて以降、過去に映像化された漫画家たちも続々とトラブルなどを暴露し始めた。いずれのケースも、原作者へのリスペクト不足などが問題だろう。

いずれにせよ、芦原さんのような悲しい結末になることは避けてもらいたいものだ。

(文=サーチコリアニュース編集部K)

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