韓国でIQ(知能指数)が知的障害者の基準である「70」をわずかに上回る“境界知能者”が、知的障害者としての登録を求めて訴訟を起こしたが、一審・二審で連続して敗訴した。
【画像】「ごめん、ごめん…」韓国で拡散された“女子中学生による暴行動画”
5月15日、法曹界によると、ソウル高裁・行政7部(ク・フェグン部長判事)は、A氏がソウル銅雀区(トンジャクク)庁長を相手取って起こした障害登録差し戻し処分の取り消し訴訟で、A氏の控訴を棄却し、一審の原告敗訴の判断を維持した。
韓国の障碍人福祉法施行規則では、知的障害者の基準はIQ70以下とされている。
ただ、A氏は2022年に受けた成人知能検査でIQ72と判定され、“境界知能者”(IQ71~84)に該当する。実際、A氏は靴ひもを結ぶことやコンビニのアルバイト業務への適応に困難を感じるなど、生活において不便を感じてきたという。
結局、A氏は国の支援を受けようと、管轄の区庁に障害者登録を申請したが差し戻しされた。A氏が障害程度審査のための診断書を提出せず、書類不備の補完を行うよう要請されたにもかかわらず、応じなかったというのが理由だ。
その後、A氏は市民団体の支援を受けて、区庁の差し戻し処分を取り消すよう求める訴訟を提起した。
区庁側が要求した診断書は関連法上、IQ70以下の人だけが発給できるようになっているが、A氏としては「発給できない書類を提出しなかった」とし、障害者登録申請を差し戻したのは不当だと主張した。
だが、裁判所は区庁側の手を挙げた。同日の二審の裁判部は、障碍人福祉法施行規則における知的障害者の判別基準「IQ70以下」については「一つの基準に過ぎない」としながらも、「IQ70以下でなくとも、障害者福祉法や施行令に該当するなら障害者として保護されるべきだ」と指摘した。
ただし裁判部は、「(A氏の)これまでの生活歴などに照らしてみると、障害者福祉法で定める障害者に該当するとは見なしがたいと思われる」とし、「境界線障害に関する法案も国会に提出されているように、どの範囲までを障害者として保護するかは、立法によって解決すべき課題ではないかと思われる」と付け加えた。
(記事提供=時事ジャーナル)
前へ
次へ