韓国旅行者にも無縁ではない…ソウル市バス「準公営制」見直し論噴出 無期限ストで浮き彫りになった制度の限界

2026年01月16日 社会 #時事ジャーナル
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全国自動車労働組合連盟・ソウル市バス労働組合(バス労組)とソウル市バス運送事業組合(ソウル市バス組合)の対立から始まったソウル市内バスのストライキが、3日で終結した。

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過去最長時間に及んだ今回のスト事態をめぐり、政界や市民社会からは「準公営制を全面的に再検討すべきだ」という声が上がっている。

1月15日、ソウル地方労働委員会によると、バス労組とソウル市バス組合の賃金・団体協約(賃団協)交渉は前日夜、劇的に妥結した。通常賃金の適用や賃上げ案などをめぐって交渉が決裂し、労組が無期限ストライキに突入してからわずか2日後のことだ。

合意案が導き出されたことで、バス労組は13日から始めた総ストを2日で撤回し、この日午前4時の始発から通常運行を再開した。

運行は再開されたものの、過去最長時間に及んだストライキによって市民の不満が噴出したことを意識し、労組側も異例の遺憾表明を行った。バス労組のパク・ジョムゴン委員長は交渉妥結直後、記者団に対し「ストライキによってソウル市民が苦痛を受けたことについてお詫び申し上げる」と述べた。

バス
(写真=サーチコリアニュース編集部)

これを受け、次期ソウル市長候補の一人として取り沙汰されているチョン・ウォノ区庁長は、準公営制の全面的な見直しを主張し始めた。

ソウル市内バスの準公営制は、2004年に当時のソウル市長だった李明博(イ・ミョンバク)主導で導入された制度で、バス路線権や運行管理などはソウル市が担い、実際のバス運行は民間のバス会社が担当する。一方、バス運送で発生した収入は事業者と自治体が共同で管理し、赤字が出た場合には自治体が財政支援を行う方式で運営されている。

チョン区長は前日、自身のSNSで「今回のストライキは、公共の安定性と民間の効率性の間で均衡を失った現行準公営制の構造的限界をそのまま示す典型的な事例だと思う」とし、「64の市内バス会社の運送赤字が、最近5年間、毎年およそ5000億ウォン(約539億円)規模で発生し続けている」と指摘した。

昨年、ソウル市が運送会社に支援した金額は4575億ウォン(約494億円/推定)で、前年度(4000億ウォン=約431億円)より10%以上増加した。新型コロナ期の2023年には8915億ウォン(約962億円)と過去最高を記録し、2022年は8114億ウォン(約876億円)、2021年は4561億ウォン(約492億円)など、毎年数千億ウォンが投入されてきた。

チョン区長は、準公営制から脱し、民営制と公営制を区分する「二元化モデル」を検討する必要があると主張する。

「いまや路線の特性と需要に応じて、民営制と公営制をより明確に区分する二元化モデルを真剣に検討すべき時点だと思う」とし、「準公営制の財政支援は段階的に減らしていく一方で、マウルバス(コミュニティバス)路線を拡大し、既存路線が届かない地域には公共バスを通じて基本的な移動権を保障する方式だ」と提案した。

市民団体である経済正義実践市民連合(経実連)も、準公営制を再検討すべきだという趣旨の声明を発表した。

経実連はこの日の声明で、「料金と税金で運営される準公営制体制のもとで、市民の移動権がストライキのたびに事実上、人質に取られる現実は決して正常ではない」とし、「労使紛争を超え、制度の失敗であり行政の責任放棄だ」と主張した。

さらに「支援方式に上限を設け、労使とソウル市が共同で責任を負う構造に転換すべきだ」とし、「安全性、定時性、混雑度、需要対応、苦情改善などを成果指標とし、成果に応じて支援が変わる連動体系を直ちに導入すべきだ」と強調した。

しかし、財政支援を減らす方式での準公営制の全面改編については、労使双方ともに反対の立場を示している。

使用者側であるソウル市バス組合は「景気状況によって変動するソウル市の税収のため、市の財政支援金規模が、バス会社がすでに支出した実費に追いつかない現象が繰り返されてきた」としながらも、「問題点についてはソウル市と十分に協議する過程が必要だと判断する。市民の利便性向上を原則に、積極的に努力していく」と、協議の余地を残した。

労組側は「財政支援を『事前確定制』などに切り替えて縮小すれば、収益の出ないバス路線やバス会社は廃線、あるいは廃業につながり、ソウル市民の公共交通利用権は縮小せざるを得ない」とし、「準公営制の改編は市民の移動権と生存権に直接的かつ甚大な影響を及ぼすだけに、ソウル市バス労働組合や現場のバス会社関係者の参加が保障された機構で熟考し、議論した後に実施されるべきだ」と主張した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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