韓国の若いビジネスマンを取材した韓国メディア『国民日報』の記事が話題を集めている。
これは、新入社員や最近仕事を辞めた若手会社員が経験した不条理すぎる“上司エピソード”が数多く紹介されている記事だ。
同記事には「うちの会社と同じだ…」「これは文化ではなく薄汚いブタどもの習性だ」「後進国はこうして作られる」などなど、3000件を超えるコメントが寄せられた。
これほどのコメントが集まった背景には、あまりにも悲惨な現実がそこにあるからだ。
どのエピソードも韓国の若い会社員の悲惨な現状を理解しやすいだけに、いくつか紹介しよう。
例えば、就職が難しい大企業を入社1年9カ月で辞めたAさんの話だ。
Aさんの業務は規則的で、日中に一生懸命働けば残業を必要としなかった。しかし、退社時間である夕方6時を過ぎても所属部署の人たちは帰宅しないという。
なぜならば、常務から順に帰宅する“慣例”があったからだ。
当然のように残業手当も出ない。Aさんはある日、その慣例を破って上司よりも先に帰ってみた。すると翌日、大目玉を食らったとそうだ。
それ以降、Aさんは就業時間が過ぎても、ネットサーフィンで無駄な時間を過ごすしかなかった述べている。取材に「一生懸命仕事をすることが損に思えて、日中も最善を尽くさなくなった」と答えている。
こんなエピソードも。
中堅企業に勤めているBさんは、5月の週末の大部分を会社の人と過ごすことになった。
5月13日の土曜日は、「仕事が溜まっている」という上司の一言で部署全体が出勤することに。しかし、いざ出勤してみると仕事はほとんどなかったという。
翌週の土曜日には、会社の人たちから急に登山に誘われたBさん。その日は夜9時になって、ようやく解放されたとか。「僕に先約があるかどうかなんて聞いてくれない。強制ですよ」とこぼしている。
また2年目で会社を辞めようかと悩んでいるCさんは、「私の上司は仕事ができなくてもお世辞が上手い部下を評価する」と話す。嫌いな部下には“懲罰”と呼べるような業務を与え、本人は仕事がなくても休日出勤してテレビを見ながら手当を受け取っているとか。
Cさんは「上司の姿を見るたびに嫌気がさすし、自分もいつかああなってしまうのかと怖い」と吐露した。
さらに呆れてしまうような、ひどい上司もいる。
来る7月に退職予定の中小企業の営業マンDさんは、たびたび泥酔状態で出勤する社長に業務報告をすることが苦痛で仕方がなかったという。社長がシラフに戻ったときに、再び報告しなければならない状況が何度も繰り返された。
堪えきれなかったDさんは「業務時間に飲酒は自制してほしい」と伝えたが、「子供が何を言うか」と逆に怒鳴られる始末だったそうだ。
「暴言は日常茶飯事で、書類をばら撒くなどドラマでしか見たことがないような経験もした」とDさんは振り返っている。彼が辞めようと決意するのも当然だろう。
彼らのような不条理な経験をしている韓国の若手会社員は少なくないと言い切れる。
というのも、韓国の大卒新入社員の27.7%が1年以内に会社を辞めてしまうとデータがあるからだ。
青年失業率が11%を超え、ただでさえ就職が難しい韓国では、やっとの思いで就職しても地獄が待ち受けていることが少なくないのだろう。
韓国の若者たちが、自国を“ヘル朝鮮”と揶揄してしまうのも仕方のないことかもしれない。
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