ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が前夜に発令した非常戒厳令を受け、韓国の経済界は衝撃に包まれた。
国内外の景気低迷で苦境に立たされているなか、非常戒厳が企業経営に悪影響を与える可能性が懸念されている。非常戒厳令はすでに解除されたが、経済界は引き続き状況を注視し、その影響を分析する作業に注力している。
12月4日の報道によると、非常戒厳令発令直後、サムスン、SK、現代自動車、LGグループなどの主要大企業は、首脳陣を中心に影響分析を開始。非常戒厳が企業経営に悪影響を及ぼすと判断したためだ。
特に輸出比率の高い企業は危機感を強めている。非常戒厳が輸出業務やブランドイメージに打撃を与えたからだ。一部の企業では、非常戒厳の発動を報じる海外メディアのニュースを受けた取引先からの問い合わせが殺到したと伝えられている。
非常戒厳令は、議員190人が「非常戒厳令解除要求決議案」を全会一致で可決したことを受け、12月4日朝4時27分にユン大統領が特別談話を通じて解除を発表した。これにより状況は徐々に安定を取り戻しつつある。
しかしSK、LG、HD現代、HS曉星、ポスコホールディングスなどは同日午前、緊急会議を招集し、非常戒厳の余波への対策を検討した。
非常戒厳令の発動は金融市場にも大きな衝撃を与えた。
ウォン/ドル相場が急上昇し、ビットコインのウォン建て価格が急落する事態となった。
金融界は非常戒厳令の発動と解除が市場に与える影響に神経を尖らせている。証券会社は、政治的な不確実性が増大したことで、短期的な国内株式市場の変動拡大は避けられないと分析している。
経済団体も今回の事態が経済界に与える影響を注視している。
大韓商工会議所は、同日午前に「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が主催する予定だった商法改正案に関する国会での討論会を中止し、非常戒厳令発動と解除の影響を議論している。
また、韓国貿易協会も緊急経営陣会議を開き、非常戒厳が国内経済や輸出に及ぼす影響を点検している。
一方、労働界は強い反発を示している。
韓国の二大労働組合は、今回の非常戒厳を「反民主的な暴挙」として一斉に批判。全国民主労働組合総連盟は12月4日の声明で「非常戒厳の試みは結果的にユン・ソンニョル政権の終焉を宣告するものだ」と主張し、大統領の退陣を求める無期限のゼネラルストライキに突入すると宣言した。
韓国労働組合総連盟も「韓国を危機と混乱に陥れる張本人は誰か」と題した声明を発表。「ユン・ソンニョル大統領はもはや戻れない橋を渡った」と批判し、「韓国の民主主義を守るため、全力で行動する」と強調した。同連盟は緊急中央執行委員会を開き、今後の方針を決定する予定だ。
(記事提供=時事ジャーナル)
■なぜ韓国大統領は“悪手”に出たのか。非常戒厳令を予想した議員、動機をずばり「妻のため」
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