アメリカ政府による対中国追加輸出規制の詳細が明らかになり、韓国国内の半導体業界で不安感が広がっている。
特に中国への輸出比率が相対的に大きいサムスン電子を中心に、打撃が避けられないとの見方が出ている。
12月2日(現地時間)、アメリカ商務省傘下の産業安全保障局(BIS)は「中国の軍事用先端半導体生産能力を制限するための輸出規制強化」案を発表した。この規制は、人工知能(AI)を活用した中国の先端兵器開発を阻止するために、主要部品である広帯域メモリ(HBM)の輸出を追加で禁止することを柱としている。
具体的には、アメリカ商務省は今回の輸出規制に「海外直接製品規則(FDPR:Foreign Direct Product Rules)」を適用した。これは、アメリカ以外の国で製造された製品であっても、アメリカ製のソフトウェアや装置、技術などが使用されている場合、輸出規制を遵守しなければならないことを意味する。
今回の規制対象となるHBM製品は、HBMの性能単位である「メモリ帯域幅密度(memory bandwidth density)」が平方ミリメートル当たり毎秒2ギガバイト(GB)を超える製品だ。現在生産されているすべてのHBMがこの基準を超えているため、事実上、全HBM製品に適用される措置といえる。
HBM市場は、韓国のSKハイニックスとサムスン電子、アメリカのマイクロンテクノロジーが支配している。
規制が12月31日から本格施行されると、これらの企業は中国にHBM製品を輸出する際、アメリカ政府の許可を得る必要がある。事実上、中国向けの輸出が困難になるという意味だ。
しかし売上比率を考慮すると、今回の規制がもたらす影響は企業ごとに異なるとみられている。ロイター通信によれば、この3社の中で最も影響を受けるとされるのはサムスン電子だ。
サムスン電子のHBM販売の約30%が中国で発生していると推定されている。一方、SKハイニックスとマイクロンは、自社HBM製品の大半をアメリカのビッグテック企業であるエヌビディアなどに供給している。
DAOL投資証券のコ・ヨンミン研究員は「今回のアメリカによる新たな輸出規制措置は、既存の規制と比較して制裁の強度が大幅に強化されたと見るのは難しい」と述べ、「中国向けHBM売上比率が極めて低く、HBM3Eへの比率拡大を図っているSKハイニックスの場合、実質的な影響は限定的だ」と分析した。
このような懸念を反映したように、12月3日の株式市場でもSKハイニックスとサムスン電子の動きに違いが見られた。
同日午前11時現在、SKハイニックスは1.64%上昇した16万1400ウォンで取引されている。一方、サムスン電子は0.93%上昇の5万4100ウォンで推移しているが、開場直後には0.09%下落した5万3100ウォンを記録した後、若干回復した。
そのため証券業界では、サムスン電子に対して「技術力の回復」を求める声が高まっている。
サムスン証券のイ・ジョンウク研究員は「冷静に考えると、中国の売上高は投資の方向性の本質とは無関係だ」と指摘し、「技術の差が埋まれば中国がなくても株価は上昇し、技術の差が埋まらなければ中国向け売上高は意味をなさない」と分析した。
ユジン投資証券のイ・スンウ研究員は「サムスン電子に必要なのは、これまで問題となっていた要因に対する徹底的な診断と、それを改善するための抜本的な変化と革新だ」とし、「変化がなければ反転のきっかけを掴むことは容易ではないだろう」と述べた。サムスン電子が危機を克服する唯一の解決策は、競合他社とのHBM技術の差を縮めることだけだとの見方だ。
サムスン電子も「超格差回復」という目標の下で刷新に拍車をかけている。
同社は11月27日、DS(半導体)部門の主要経営陣を交代させ、メモリ事業部を代表取締役直轄体制に強化し、チョン・ヨンヒョン副会長が直接指揮する形に変更した。チョン副会長は11月22日に行われた送年会で、「サムスン半導体は現在、非常に危機的な状況にある」と述べて頭を下げ、「信じて待ってほしい。必ず威信を取り戻す」と語ったと伝えられている。
一方、韓国政府は今回のアメリカによる対中輸出追加規制が国内半導体業界に与える影響は、限定的だとの立場を示している。産業通商資源部は「今回の措置はアメリカが国家安全保障の観点から独自に実施する措置だが、韓米同盟と韓国企業への影響を考慮し、両国間で緊密に協議してきた」と説明した。
また、「今回の措置を詳細に分析し、影響を継続的に点検しながら、輸出に関する困難を最小限に抑えるための支援策を模索することに注力する計画だ」とし、「速やかにアメリカ政府と韓国企業のネックについて集中的に協議する」と述べた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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