《大統領就任から10日》韓国が爆発させてはならない「イ・ジェミョン時限爆弾」

2025年06月14日 政治 #時事ジャーナル
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韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、6月4日の就任式で「すべての国民に仕える大統領」になると誓った。であれば、彼は自分に投票しなかった有権者49.49%(キム・ムンス+イ・ジュンソクの得票率)と、自身の支持者の中でも少なからぬ人々が抱いていた「三大懸念」を深く心に刻む必要がある。

【データ】李在明大統領、就任1週間後の最新支持率

三大懸念とは、第一に「三権分立の破壊または司法府の政権の下僕化」、第二に「米韓同盟の瓦解または過度な親中・親北的な行動」、第三に「ポピュリズムまたは未来と若者を顧みない国家財政のばらまき」である。

「共に民主党」に司法掌握法案保留を指示

この三つは、うまく処理しなければ国に災いをもたらす「李在明時限爆弾」となりうる。これらは20世紀半ば以降、数十年にわたり民主主義先進国と見なされていたベネズエラが、21世紀に入り「路地に犬一匹いない」と言われるほどの極貧・反米・対中独裁国家に転落した要因として指摘されている。一度現実化すれば原状回復ができなくなる不可逆性が特徴だ。

したがって、李大統領が6月10日にインスタグラムで「国民が『李在明を選んで良かった』と実感し、誇りに思えるようにする」と語った約束は、時宜を得たものだった。「実感」は民生回復を狙った言葉だろうが、財政の持続可能性を脅かすポピュリズムには走らないという意味にも解釈された。

左派の尊敬だけでなく右派の懸念にも配慮してこそ、「すべての国民に仕える大統領」になれるからだ。また、「誇り」とは三権分立と自由民主主義を強固にし、米韓同盟と日米韓の友好関係を維持して大韓民国の繁栄と発展の土台とするという意味に読めた。

そのためだろうか。李在明大統領は西側先進国クラブであるG7国際舞台にデビューする前に、与党である「共に民主党」に対し、「大統領裁判禁止法(刑事訴訟法改正案)」「李在明有罪免除法(公職選挙法改正案)」「最高裁判事30人増員法(裁判所組織法改正案)」など、いわゆる“司法府掌握立法”を一括で保留させた。

これには国内で「よくやった」という声が出た。李大統領を過激で急進的としか見ていなかった反対陣営の人々に、新鮮な印象を与えるほどだった。仮に大統領がこの問題を「共に民主党」に任せたまま出国していたら、多くの韓国人が恐れる「司法府の政権の下僕化→三権分立の崩壊→ベネズエラ化」というコースに突入していただろう。

李在明
(写真=大統領室通信写真記者団)李在明大統領

尹錫悦時代には見られなかった光景…カン・フンシク、ウ・サンホらと「相談」

「李在明時限爆弾」はブラックホールのような存在だ。それが爆発すれば反対派は死に物狂いで抵抗し、新政府が野心的に進めようとするさまざまな政策や試みが、渦のように吸い込まれてしまうのは明らかだからだ。

だからこそ、この時限爆弾は爆発させないよう管理されなければならない。これは大統領と「共に民主党」、与党支持層だけでなく、「国民の力」などの野党および保守勢力にとっても利益となる。大統領の時限爆弾を爆発させないよう管理しなければならないという教訓は、韓国国民全員が「尹錫悦ケース」から苦しみを通じて学んだことだ。

李大統領が与党に司法掌握法案の保留を指示した際、周囲にはカン・フンシク秘書室長、ウ・サンホ政務首席などがいたという。当時、李大統領は「民生が危機に瀕しており、国政システムも6カ月かけてようやく動き始めた状況なのに、その法案を無理に通して混乱を招く必要があるのか」という趣旨の発言をしたという。

注目すべき点は、「共に民主党」で当時院内代表だったパク・チャンデが法案処理の方向について大統領の意向を尋ね、大統領が関連の側近を呼んで意見を交わしたということである。与党と大統領の間で緊密な意思疎通がなされたり、大統領が参謀と相談する姿は当然のことのようだが、斬新に映った。尹錫悦前大統領の時代には見られなかった光景だからだ。

しかし、「李在明時限爆弾」は爆発の時点が遅れただけで、除去されたわけではない。除去は不可能かもしれない。だからといって、必ず爆発するとも断言できない。

大統領本人をはじめ、多くの人が気を配り努力すれば、彼の任期中に爆発しない可能性もある。すべては当事者たちの行いにかかっている。

(記事提供=時事ジャーナル)

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