「人生を変えてくれない」韓国青年層でも進む政治離れ 専門家が危ぶむ“永久化”リスク「極端化・退行が加速する」

2025年12月10日 政治 #時事ジャーナル
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京畿道平沢市(キョンギド・ピョンテクシ)に住む1996年生まれのキムさんは、「大韓民国の政治」についてこう語った。

3年前に結婚し、1歳の子どもを育てているキムさんは「成人してから総選挙、大統領選ごとに必ず投票してきた」としながらも、「最近は政治があまりにも極端化してしまい、騒音のように感じられる」と話した。続けて「いまは住宅や育児関連の政策でなければ政治には関心がない」「同年代の友達に会っても政治の話は絶対に持ち出さない」と語った。

果たして、これは一人の韓国青年だけの話だろうか。そう見るには、最近示された「数字」が尋常ではない。

12・3非常戒厳騒動から1年、李在明(イ・ジェミョン)政権発足後6カ月が過ぎた今、韓国国内で政治から距離を置く「無党派層の青年層」の規模が、他の世代に比べて圧倒的に大きいという世論調査結果が発表された。

現在だけでなく、未来の政治にも期待を持てないという青年有権者。専門家たちは、青年層の「政治嫌悪」が拡散すればするほど、政治の極端化・退行が加速しかねないと警告する。

「20代の2人に1人が“支持政党なし”」

戒厳騒動前後の「保守危機」は固定化した様子だ。李在明政権の国政支持率は60%前後で順調に推移している。そんな中で注目されるのは、全体世論の流れとは異なる「2030世代」の態度だ。

彼らは李在明大統領の国政運営に対する評価を保留し、与野党のどちらも支持しない。いわゆる政治的無関与・無党派層の青年集団の割合が、他の世代より明確に高く表れている。

エムブレインパブリック、ケイスタットリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチが11月24日から26日にかけて、満18歳以上の韓国男女1003人を対象に実施した全国指標調査(NBS)では、大統領の国政運営を肯定的に評価した回答者は58%と集計された。

目を引くのは「分からない・無回答」と答えた比率だ。全体平均は10%だったが、20代(19~29歳)はなんと24%で、他の年齢帯と「2倍以上」の差を示した。他の世代は30代が12%、40代が2%、50代が6%、60代が7%、70代以上が13%と分布した。

李在明政権の国政運営の方向性に対する認識でも、青年層の判断保留が際立った。18~29歳の回答者の20%が「分からない・無回答」と答え、全体平均(10%)の2倍を記録した。政党支持度調査でも、18~29歳の回答者2人のうち1人(50%)は「支持する政党がない(48%)」と「分からない・無回答(2%)」と答えた。

現在の政治への無関心は、未来の政治展望にまで影響を及ぼした様子だ。

韓国ギャラップは12月2日から4日にかけて、満18歳以上1000人を対象に「将来の大統領候補として誰がよいと思うか」を質問した。ただ、5日に発表した結果によると、18~29歳の回答者の71%が意見を保留した。

青年有権者離脱の余波で揺らぐ「公共の討議空間」

青年層の政治的無関心は、ここ最近になって現れた一時的な現象ではない。昨年の第22回総選挙では、20代の投票率は52.4%、30代は55.1%で、70代(84.7%)、60代(82.0%)、50代(71.6%)と大きな格差を見せた。

もっとも、すべての選挙で同じパターンが繰り返されたわけではない。

12・3非常戒厳騒動直後に行われた前回の大統領選では様相が異なった。60代を除くすべての年齢層の投票率が上昇し、2030世代も総選挙時とは異なり投票所へ一定部分復帰した様子を見せた。

青年層の投票率は20代前半が75.1%、20代後半が74.0%、30代前半が74.9%、30代後半が75.1%で、全体投票率(79.4%)をわずかに下回ったが、最も若い有権者である18歳の投票率は76.9%で、直前の大統領選比で最も大幅(5.6%p)に上昇した。

このような変化は、戒厳騒動の政治的衝撃が青年層の「政治的危機感受性」を一時的に刺激した結果だという分析が出ている。普段は政治から距離を置く青年層でも、「政治がすぐに生活に影響を与えうる」と感じる瞬間、いつでも「政治高関与層」に戻ることができることを示したわけだ。

韓国
(写真=時事ジャーナル)

逆説的に、大統領選後に固定化した青年層の政治的無関心は、単純な嫌悪や疲労感を超えて、政治が「青年の生活と結びついていない」「人生を変えてくれない」という不信が大きくなる「政治信頼崩壊のサイン」だという指摘が出ている。

青年層の住宅・就職・所得の負担が徐々に大きくなる状況で、与野党が「内乱・防弾」攻防ばかり繰り返すと、青年層の政治的期待値が急激に低くなったということだ。

青年政治クルーのイ・ドンス代表は「戒厳以降、青年たちが政治的効能感を感じられるような構造的改善が不足した状況だ。人口問題や年金改革など、核心の青年アジェンダにおいて、既成の政治家たちが青年の要求をより積極的に反映すべきだ」と指摘した。

問題は、青年層の政治離脱が長期化し、さらには“永久化”する可能性がある点だ。そうなれば、政策の討議過程で青年層の声が消え、政治全体の代表性が揺らぐ問題につながる可能性がある。特に高齢層中心の投票構造が強化されるほど、政治のアジェンダがより偏る悪循環も懸念される。

仁川大学政治外交学科のイ・ジュンハン教授は、「『チョ・グク事態』で共に民主党に失望し、戒厳政局を経て国民の力にも失望し、与野党双方に距離を置く青年層が増えた。改革新党ですら、青年層を吸収できていない様子だ」と診断した。

続けて、「問題は、青年層の政治無関与が習慣のように固まる場合、韓国政治の発展にも悪影響を及ぼす可能性があるという点だ」とし、「政治から遠ざかった青年たちが30~40代の中高年層になっても同じ姿を見せるなら、これらの世代全体が政治から永久的に離脱する結果につながる可能性がある」と警告した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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