まさに”Kカルチャー”の時代だ。韓国の映画やドラマを鑑賞し、韓国料理を食べ、韓国文化を楽しむことは、もはや一過性のブームを超え、世界中の人々の日常となった。
”Kカルチャー”という用語が世界的に通用するようになった背景には、企業の努力が大きく貢献している。最前線で韓国製品を紹介し、触れるきっかけを提供しながら、韓国文化のブームを牽引しているのだ。最近では、押し寄せる需要に積極的に応えるべく、オンライン展開にとどまらず現地生産にも力を入れている。
“Kカルチャー”を先頭に立って広めているのはCJグループだ。CJは食、映像、エンターテインメントなど多様なアプローチで、世界中に韓国文化の魅力を発信している。
中でもオリーブヤングは”Kビューティー”の代名詞として定着した。オリーブヤングは韓国を訪れる外国人観光客にとって「Kビューティーの聖地」と呼ばれ、必ず立ち寄るべき場所とされている。
オリーブヤングによれば、2024年にオリーブヤングの実店舗を訪れた外国人客の国籍は189カ国に上るという。国連加盟国が193カ国であることを考慮すれば、ほぼ全ての国から訪問があったことになる。これにより外国人顧客の売上は前年比140%増加した。
オリーブヤングは、外国人客が帰国後も”Kビューティー”を楽しめるよう『Olive Young Global』を運営している。これは海外消費者たちがKビューティー商品を直接購入できるオンラインモールで、世界150カ国で利用可能だ。会員数は2023年末時点で約246万人に達している。
CJ FOODSは『ビビゴ王餃子』を主力に、米国市場を制覇した。開発段階から豚肉の質感とジューシーさを保つ製法を採用し、豊かな食感を実現。また、日本式の平たい餃子とは異なり、三面に角がある韓国独自の“美饅頭”スタイルを採用。朝鮮時代に王に献上された美饅頭の気品ある美しさを、波打つような皮のひだで再現している。
さらに、アメリカ第2位の冷凍食品企業Schwan’s(シュワンズ)を2兆ウォンで買収し、米国内に広範な流通網を確保。ビビゴは現在、米国6万店舗以上で販売されており、2023年の米国食品売上は4兆7000億ウォンを突破した。
CJ FOODSは2027年の完成を目指して米国サウスダコタに『北米アジアンフード新工場』を建設中だ。圧倒的な生産力を武器に、現地のKフードおよびアジアンフード事業で「超格差競争力」を確立する狙いである。
伝統発酵食品であるキムチの地位も日々高まっている。2023年のキムチ輸出総額は1億6360万ドル(約2400億円)で過去最高を記録し、キムチを輸入している国は95カ国に上る。
韓国を代表する包装キムチブランドであるテサン株式会社の『宗家キムチ』は韓国国内キムチ輸出をリードしている。『宗家キムチ』の輸出額は、2016年の2900万ドルから2024年には9390万ドルと、3倍以上に増加して過去最高を達成。2024年の国内キムチ輸出総額に占める『宗家キムチ』の割合は57.4%に達する。
最近では、アメリカや欧州など西洋圏でもキムチを消費する現地人が増加している。これに対応してテサンは2022年、アメリカ現地に大規模なキムチ工場を完成させ、本格的な生産を開始した。アメリカに大規模なキムチ生産設備を持つ国内食品企業はテサンが唯一である。
さらに欧州需要に対応するため、ポーランド・クラクフにも工場建設を開始している。敷地面積は6613㎡(約2000坪)で、150億ウォンを投じ、2030年までに年3000トン以上のキムチ生産を目指している。
ハイト眞露は韓国酒の世界化に、先頭を切って取り組んでいる。酒ゲームから着想を得たロゼの楽曲『アパート』が世界的な人気を集める中、韓国酒への関心も高まっている。
そんな海外市場攻略のためにハイト眞露は海外市場を積極的に攻略。輸出専用新製品『レモネイソル』を発売した。プラム、ストロベリー、ピーチに続く第4の輸出専用商品である。
グローバル調査機関『グローバルデータ』によれば、世界のフレーバー酒市場は2029年までに約70兆ウォン規模に成長すると見込まれている。ハイト眞露は、2015年のグレープフルーツエイソルのタイ輸出を皮切りに、海外市場で果実リキュール市場を開拓・集中してきた。
特に果実リキュール製品は海外焼酎輸出の約48%を占めるまでに成長し、K焼酎ブームを牽引している。今回発売されたレモネイソルは、アルコール度数13度で、レモンの爽やかな酸味と香りを再現したのが特徴だ。3月末から日本を皮切りに、米国、中国、ベトナムなど世界26カ国で順次販売されている。
ハイト眞露は海外生産基地建設にも乗り出した。初の海外工場をベトナムに決定し、2月にタイビン省の産業団地で着工したのだ。
ベトナム工場はサッカー場11面分に相当する約8万2083㎡の敷地に、最新技術を導入したスマート工場として2026年に完成予定である。ハイト眞露関係者は「ベトナム工場はグローバル市場拡大の橋頭堡であり、世界的総合酒類会社への飛躍に向けた重要な転換点」と述べ、「『ジンロ』の世界的な普及に大きく貢献するだろう」と期待を寄せた。
大韓航空は空の上で”Kカルチャー”の威容を誇示している。最近、大韓航空は新たな機内食とアップグレードされた機内サービスを公開し、韓国的要素を強化した。特に、韓国国内屈指のファインダイニングとして有名な漢南洞『Cesta』のオーナーシェフ、キム・セギョン氏と協業し、独創的でありながら韓国の美意識を生かした料理を機内食に導入した。
代表的な新機内食には、タコの栄養ご飯、チャドルバギ・ビビンバ、アワビ丼、シンソルロ(宮中鍋)などがある。いずれも韓国料理を現代的に再解釈したメニューである。『Kフード』人気の高まりを反映したものだと大韓航空は説明している。
また、搭乗客は旬の食材を通じて四季を感じる機会も得られる。ビジネスクラスでは夏にヨルム・ビビンバ、秋にはキノコ丼が特選メニューとして提供される。上位クラスの韓国料理に使用される米は、伝統的な交配育種法で開発された『ペクセミ』という品種だ。航空業界関係者は「今回の機内食アップグレードは、サービス品質向上のために全社的に尽力した結果」とし、「外国人が韓国に到着する前から韓国に良いイメージを持つのに役立つだろう」と話した。
記事提供=時事ジャーナル
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