韓国の主要半導体企業の成長性への懸念などから、外国人投資家が韓国株式市場で過去3カ月間に約16兆ウォン(約1兆7800億円)を売り越したことが明らかになった。
11月20日、韓国銀行によると、外国人の株式投資資金は今年8月から10月まで、3カ月連続で流出超過となった。流出超過とは、韓国株式市場から流出した外国人投資資金が流入した資金を上回ったことを意味する。
この3カ月間の流出超過額は約115億9000万ドル(約1兆7900億円)で、10月末のウォン・ドル為替レート(1379.9ウォン)基準で約15兆9930億ウォンに相当する。特に9月の流出超過額は、55億7000万ドルに上り、2021年5月(マイナス82億3000万ドル)以来、3年4カ月ぶりに最大となった。
外国人証券投資資金が流出した要因として、韓国銀行は世界的な人工知能(AI)産業の成長に対する不確実性や、韓国半導体企業の見通しへの懸念が影響したと説明している。
また、ドナルド・トランプ前米大統領の当選後、「トランプトレード」の継続により、11月も外国人株式投資資金の流出超過が続いている。
韓国取引所によると、外国人投資家は有価証券市場で11月1日から18日までに1兆9300億ウォン(約2100億円)を売り越した。市場では、トランプ第2期政権で貿易摩擦が激化すれば韓国経済が萎縮する可能性があり、さらにトランプ次期大統領がアメリカ国内に投資する半導体企業に補助金を提供する「CHIPS法」(半導体支援法)を廃止した場合、サムスン電子など韓国半導体企業の業績をめぐる不確実性が高まるとの分析も出ている。
一方で、外国人投資家たちは3カ月連続で韓国国債を買い越している。
今年8月から10月にかけて流入超過となった外国人債券投資資金は125億6000万ドル(約1兆9400億円)で、10月末の為替レート基準で約17兆3315億ウォンに達する。8月の流入超過額(54億7000万ドル)は、2023年5月(89億6000万ドル)以来最大であった。
韓国銀行は、韓国の成長率が世界主要国の中で良好な水準にあり、同じ信用格付けの国の債券と比較して金利水準が高い点が影響していると説明した。
ただし、短期的な裁定取引を狙った資金の大量流入も影響している。裁定取引の誘因とは、外国人がドルを借りてウォンに両替した後、国内債券に投資することで得られる利益を指す。この誘因は、外国為替スワップ市場の需給条件や韓米短期債券市場の状況などの影響を受け、通常は金融市場の不確実性が拡大した際にも高まる傾向がある。
裁定取引の誘因(3カ月物、平均)は、今年1月から7月までは12bp(1bp=0.01%ポイント)だったが、8月には42bp、9月には45bp、10月には56bpに拡大した。
裁定取引を狙って流入した短期資金の場合、満期が到来して裁定取引の誘因が低下すれば流出する可能性がある。
実際に外国人債券投資資金は、2023年4月から6月にも裁定取引の誘因が拡大したために3カ月間で145億2000万ドル流入超過となったが、裁定取引の誘因が縮小すると同年7月には6億ドルの流入超過にとどまった。その後、8月から10月には3カ月連続で流出超過を記録した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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