イスラエル・イラン紛争に“緊張ピーク”の韓国企業…「ロシアリスク」の再現に戦々恐々

2025年06月19日 経済 #時事ジャーナル
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中東紛争が現実化したことで、イスラエルやイランに進出している韓国企業の間で緊張感が高まっている。3年前にロシア・ウクライナ戦争勃発で経験した「ロシアリスク」が再び起こるのではないかという懸念も出ている。

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当時、ロシアに進出していた韓国企業は、現地工場の稼働停止などで相当な損害を被らなければならなかった。

中東は韓国企業にとって主要な輸出先ではないが、石油化学や建設業、製造業などは中東への依存度が高いのが現状だ。特に、紛争による原油価格上昇などの間接的な影響は、ロシア・ウクライナ戦争以上に大きくなる可能性があるという分析が出ている。

6月19日、業界によると、韓国企業はイスラエルなどに派遣していた駐在員やその家族を近隣国に避難させていることがわかった。

サムスン電子は今月14~15日、イスラエルのマーケティング法人(SEIL)および半導体研究開発法人(SIRC)に勤務していた駐在員全員を、近隣国家のヨルダンへ緊急退避させた。イスラエル現地で家電販売店を運営するLG電子も、派遣された駐在員とその家族をヨルダンへ移動させた状態だ。

韓国貿易投資振興公社(KOTRA)によれば、イランおよびイスラエルに進出している韓国企業11社が、派遣要員全員を撤収・避難させたことが確認された。

業界では、3年前のロシア・ウクライナ戦争当時の「ロシアリスク」が再現される可能性を懸念している。戦争の懸念によって国際原油価格が連日乱高下しているうえ、イランも西側諸国の強力な制裁対象国であるためだ。

ロシア・ウクライナ戦争当時、ロシアに進出していた企業は現地の生産施設を売却・撤収するなど莫大な損失を抱えた。ロシア向けの韓国製スマートフォンなどの輸出も大きく減少した。韓国貿易協会によると、2021年の韓国の対ロシア輸出額は68億ドル(日本円=約9879億円)だったが、昨年は45億ドル(約6537億円)と34%減少した。

写真はイメージ
(写真=サーチコリアニュース)

3年前の「ロシアの悪夢」再召喚?

韓国企業はアメリカの強力な対ロシア制裁により、ロシア市場から事実上の撤退を余儀なくされた。

ロシアのスマートフォン市場でシェア30%を占めていたサムスン電子は、アメリカの制裁によって製品出荷を全面中止し、市場シェアが0%に急落した。ロシア・モスクワ近郊のカリューガにあった洗濯機・冷蔵庫を生産していた家電工場も、部品供給が止まり稼働が中断された状態だ。

ロシアの自動車市場で1~2位を争っていた現代自動車と起亜は、2023年にロシア市場からの正式撤退を宣言し、大規模な損失を甘受しなければならなかった。現代自動車は2020年にゼネラルモーターズ(GM)からサンクトペテルブルク工場を買収したが、3年後の2023年にこの工場を1万ルーブル(約1万8500円)で売却し、ロシア国内での生産を全面的に中止した。当時、現代自動車の損失額は1兆ウォン(約1051万円)を超えると推定されている。

ロシアを主な顧客としていた造船業界の被害も甚大だった。サムスン重工業、大宇造船海洋は受注していた砕氷LNG船契約が解除され、中間金すら受け取れず、すでに建造された運搬船は長期間在庫として抱えざるを得なかった。サムスン重工業は最近、一方的に契約を解除したロシアのズヴェズダ造船所を相手取り損害賠償を請求した。

輸出への影響は限定的…カギは「間接的被害」

業界では、中東情勢が企業に及ぼす直接的な影響はロシア・ウクライナ戦争ほど大きくはないと見ている。まず、韓国の対中東輸出比重が小さく、現地に進出している韓国企業の数も少ないためだ。

ロシア・ウクライナ戦争が始まった当時、ロシアは韓国における12位の貿易相手国だった。だが、イスラエルとイランは今年5月時点で、それぞれ貿易相手国として39位、98位にとどまる。

KOTRAは「韓国はイスラエル、イランなど当該国への輸出比重が大きくないため、全体輸出に与える影響は微々たるもの」と診断した。イラン・イスラエル現地で運営中の生産拠点が存在しない点も、被害リスクを下げる要因である。

ただし、紛争の余波で国際原油価格が急騰し、航空・海運物流に支障が出ているため、韓国企業が直面する間接的な被害は相当なものになると予想される。中東産原油への依存度が高い石油・化学業界はもちろん、石油価格に敏感な製造業・運送業にまで影響が及ぶ可能性がある。

韓国は原油輸入の70%、液化天然ガス(LNG)輸入の30%を中東に依存している。長期的には、UAEやサウジアラビアなど近隣国が防衛費を増額する場合、韓国企業が関与している大型建設プロジェクトの発注が遅延したり、キャンセルされる可能性も指摘されている。

(記事提供=時事ジャーナル)

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