韓国で社会的な混乱が続くなか、12月に入ってから小規模事業者や自営業者の被害が相次いでいることが明らかになった。
小規模事業者や自営業者の10人中、5人が「被害を受けた」と答えている。
韓国の中小企業中央会が12月10日から12日にかけて、小規模事業者と自営業者505人(外食業者248人、宿泊業者257人)を対象に実施した緊急実態調査の結果を発表した。
それによると、非常戒厳による混乱で「団体予約のキャンセル」など直接的または間接的な被害を受けたと答えた事業者は46.9%に上った。
主な被害事例としては、「忘年会など年末の団体宴会のキャンセル」や「旅行者による宿泊キャンセルおよび安全性に関する問い合わせ」などが挙げられた。韓国社会全体が混乱を極めているため、忘年会や旅行が次々とキャンセルされているわけだ。
世宗(セジョン)市で外食業を営むAさんは、12月3日の非常戒厳令が発表されて以降、店舗内の売上と配達売上がいずれも急激に減少したという。彼は「世宗市には行政機関が多く、公務員が主な顧客なのだが、公務員の消費が完全に停止したように感じる」と語り、「同業の店舗がある天安(チョナン)でも売上が昨年比で30%ほど減少しているが、世宗市では売上が前年比で50%以上減少している」と苦しい胸の内を明かした。
また、江原道・束草(ソクチョ)市で宿泊業を営むBさんは、「戒厳令が発表されて以来、予約自体がなく、問い合わせもない。既存の予約3件もキャンセルされた」と述べ、「通常1カ月で団体予約が1~2件、個別予約が60件ほどあるが、戒厳事態以降は移動そのものがなく、現在の予約率と宿泊率は0%だ」とため息をついた。
現時点では被害を受けていないものの、「今後被害を受ける可能性がある」と答えた小規模事業者・自営業者も46.6%に上った。今後の見通しが良くないのだ。
実際に、現在のような韓国経済の不確実性がいつまで続くと予想するかという質問には、「1~2年続く」が40.4%で最も多く、「6カ月以内」が30.1%、「2年以上の長期化」が17.8%、「今年限り」が6.1%の順となった。
きっかけは45年ぶりの非常戒厳という政治的な争いだったが、その悪影響は経済にも広く爪痕を残している。外国為替市場では通貨ウォンが売られ、対ドルでは約2年ぶりの安値水準(1ドル=1440ウォン)を記録し、株式市場も一時急落する事態となった。
こうした状況を受けて、韓国政府も今年初めて「経済が下方に向かうリスクが高まった」(企画財政部「最近の経済動向12月号」)と診断した。
混乱の長期化を防ぐため、韓国政府が迅速かつ効果的な経済政策を打ち出せるかが問われている。ただそれも現在の政局では望めないかもしれない。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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