大統領が弾劾され、その権限を代行していた首相まで弾劾されたことで、政局が極度に不安定化している韓国では、為替相場も大きく揺れ動いている。
その影響について、国策研究機関が韓国経済に負担を与える悪材料になり得ると懸念している。
12月29日、KDIが「共に民主党」のイ・インヨン議員に提出した資料によると、KDIは「3~4%の為替変動は通常の範囲内とされるため、ウォン・ドル為替レートが1500ウォンに達する可能性を排除できない」との見解を示した。
韓国メディア『朝鮮日報』が「1ドル=1500ウォンなら韓国大企業も耐えられない」という記事を掲載したことがあるように、1500ウォンは韓国でひとつの重要なラインになっている。
ハン・ドクス首相の弾劾案が国会で可決された12月27日には、為替レートが金融危機以降、初めて1ドル=1480ウォンを超えた。
そのため一般的な為替変動の範囲を3~4%とすれば、大きな衝撃がない場合でも為替レートは1420~1539ウォンの範囲で変動する可能性があるということになる。
KDIは最近の為替レートが韓国経済の否定的な側面を反映していると見ている。同時に、「為替レートの上昇は通常、輸出企業にとってプラスに働くが、その影響を一概にいうことは難しい」と説明した。
対外経済政策研究院(KIEP)も、ドル高など外的要因によって主に動いていたウォン・ドル為替レートが、12月3日の非常戒厳事態以降、従来のドルの動き以上に大きく上昇し始めたと分析している。
また、産業研究院は、実質実効為替レートが10%下落(為替レートの上昇)すると、大規模企業集団の営業利益率が0.29ポイント低下するとの試算を示した。
大企業は最近、価格競争よりも技術競争に集中しているため、為替レート上昇による売上増加の効果が大きくない一方、輸入物価の上昇によるコスト増加が営業利益を圧迫する可能性があるという見方だ。
だが、さらに深刻なのは中小企業に他ならない。
中小企業中央会が2023年8月、輸出中小企業304社を対象に行った調査によれば、為替リスクを「管理していない」と回答した企業が全体の49.3%を占めた。中小企業の2社に1社が為替リスクへの対策を講じていない状況なのだ。
すでに原材料を海外から輸入し、販売を国内市場に集中させてきた中小企業は、最近の為替急騰で“直撃弾”を受けた様相を見せている。韓国における企業全体の99%を占め、雇用の80%、企業売上の50%以上を担う中小企業に大きな影響が出始めているのだ。
このままウォン安が進行し、為替レートが1500ウォンに到達してしまうのか。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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