ベトナム戦争当時の韓国軍によるベトナム民間人虐殺事件に関連し、被害者側が韓国政府を相手取って提起した損害賠償請求訴訟の控訴審で、一部勝訴の判決が下された。
1審でベトナム戦争当時、韓国軍による民間人虐殺疑惑が初めて事実と認められたことに続き、控訴審でも同様の判断が示された。
ソウル中央地裁・民事控訴3-1部は1月17日、ベトナム戦争民間人虐殺事件の被害者グエン・ティ・タン(64)氏が韓国政府を相手取って提起した損害賠償請求訴訟において、政府側の控訴を棄却し、1審と同様に「韓国政府はグエン氏に3000万100ウォン(約320万円)と、これに対する遅延損害金を支払うように」と判決を下した。
グエン氏はベトナム戦争の最中だった1968年2月、韓国軍・海兵第2旅団(青龍部隊)の兵士たちがベトナム・クアンナム省のフォンニィ・フォンニャット村で非武装の民間人約70人を虐殺したとして、2020年4月に本訴訟を提起した。
後に「フォンニィ・フォンニャット虐殺事件」と名付けられたこの事件当時、8歳だったグエン氏は、自身が韓国軍により銃撃を受け、家族も死亡または負傷したと訴えてきた。
1審を担当したソウル中央地裁・民事68単独(パク・ジンス部長判事)は、2023年2月7日の判決で「提出された証拠によれば、韓国軍人たちが作戦遂行中に原告の家を手榴弾や銃で威嚇し、外に出るよう命じた後、銃撃を加えた事実が認められる」とし、「明らかな違法行為」と判断した。
この判決は、これまで疑惑にとどまっていた韓国軍のベトナム民間人虐殺事件について、司法が韓国政府の賠償責任を認めた初めての事例となった。
この日の控訴審でも、裁判部は「殺傷行為に加担した部隊員の故意や過失、違法性が認められる」とし、「加害部隊員たちは当時、国家公務員法に基づく公務員であり、殺傷行為が作戦遂行と密接に関連しているため、国家賠償法により政府の賠償責任がある」と指摘した。
一方、グエン氏は判決後の記者会見で、ビデオ通話を通じて「フォンニィ・フォンニャット虐殺事件を裁判所が丁寧に審査し、このような判決を下してくださったことに心から感謝する」と述べた。
続けて「今日の勝訴により、あの日犠牲となった魂も慰められたはずだ。この事件の被害者だけでなく、他の虐殺事件の被害者についても目を向けてくださるようお願いする」と語った。
(記事提供=時事ジャーナル)
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