日本プロ野球界では近年、野手のメジャー進出が活発だ。
昨年には鈴木誠也がシカゴ・カブスと5年8500万ドル(日本円=約101億円)の契約に成功した。鈴木は2022シーズン、111試合に出場して打率0.269(397打数104安打)、14本塁打、46打点、OPS(出塁率+長打率)0.770と優秀な成績を収めた。
そしてこの冬には大当たりの契約が結ばれた。オリックス・バファローズの日本一をけん引した吉田正尚が、ボストン・レッドソックスと5年9000万ドル(約122億円)の契約にゴールインしたのだ。
吉田はNPB通算762試合で打率0.327(2703打数884安打)、133本塁打、467打点、OPS 0.960を記録した強打者だ。ただ守備に難点を抱えていたため、3000~5000万ドル程度の契約が予想されていたが、予想をはるかに上回る金額で吉田とレッドソックスが合意した。
今回の吉田の契約を“朗報”と捉えているのが、韓国プロ野球KBOリーグのキウム・ヒーローズに所属するイ・ジョンフだ。
2022シーズンのKBOで142試合に出場し、打率0.349(553打数193安打)、23本塁打、113打点、OPS 0.996を記録し、打撃5冠(首位打者、出塁率、長打率、打点、最多安打)とMVPに輝いたイ・ジョンフ。
もはや国内屈指の打者に登り詰めた彼は、すでにその目をメジャーに向けている。来シーズン終了後にポスティングを通じて海外進出が可能となるイ・ジョンフは、すでに海外進出の意思を明らかにしている。所属先のキウムも選手の意思を尊重する立場だ。
そんななかで、市場環境もイ・ジョンフにとって良い方向に流れている。前出の日本人選手やKBOからサンディエゴ・パドレスに移籍したキム・ハソンなどによって、アジア人野手に対するメジャーの関心が高まっているためだ。
実際、イ・ジョンフ本人も「吉田は僕がよく参考にしている選手です。パワーがありながらも三振が非常に少なく、四球も多い。よい契約を勝ち取り、メジャーに行くことができて本当におめでとうと伝えたいです」と吉田のメジャー進出を祝福するとともに、「アジア圏の選手が良い契約を結んでメジャーに進むこと自体に意味があると思います。僕も来季が終わってよい評価が受けられるように準備します」と決意を新たにしている。
一般的にKBOはNPBと比べて競争の強度が落ちるという評価を受ける。したがって、イ・ジョンフと吉田を同一線上に並べて評価することは難しい。
それでも、吉田より5歳も年下であり、シーズンを重ねるごとに守備力が成長している点が、イ・ジョンフにとっての最大のアピールポイントだ。
海外進出を控えたイ・ジョンフが、周囲の想像を超えるような大型契約を結ぶことができるのか。勝負の一年となる来季の活躍にますます期待が高まる。
(記事提供=OSEN)