遡ることおよそ18年前の5月22日、ニューヨーク・ヤンキース戦で6回に登板したク・デソンは、7回の打席で剛腕投手ランディ・ジョンソンの球を痛打。中堅手を越える二塁打を放ったことがある。
そして塁に出て無死二塁の状況でホセ・レイエスがバントをした時、ク・デソンは三塁を駆け抜けてホームに。タッチの差でセーフとなり、メッツは3-0で逃げ切ることに成功。ホーム球場のシェイ・スタジアムが興奮のるつぼと化した瞬間だった。息子の通訳で取材に応じたク・デソンは「人々が私を思い出すと、その試合のことをたくさん話す」と当時について話す。
しかし、この時のスライディングで肩を負傷したことで、同シーズンは33試合で6ホールド、防御率3.91の成績にとどまり、翌年に韓国プロ野球ハンファ・イーグルスへと復帰。1年間という短いメジャー生活だったが、後世に語り継がれるインパクトを残したといえる。 そんなク・デソンの活躍を「MLB.com」が改めて紹介した背景には、オーストラリアで見せた“サプライズ”がある。
ク・デソンは今年1月、オーストラリアの球団ジーロング・コリアで3試合213イニングに登板し、1被安打、2与四球、2奪三振、2失点(自責点なし)を記録。最高球速は123kmだが、ベテランらしい緩急で53歳とは思えない投球を披露したのだ。このことについてク・デソンは「まだ左腕が生きている」と笑いながら話していた。