村上は4月12日、東京ドームで行われた読売ジャイアンツ戦で先発登板し、7回を投げて5奪三振、無安打、無四球、無失策のパーフェクト・ピッチングを披露した。
ストレートの球速は最速148km、平均140km台前半と飛び抜けて速いわけではなかったが、フォーク、ツーシーム、カットボールなど変化球を織り交ぜ、ストライクゾーンの隅を突くピンポイントな制球力を見せつけた。
またプロデビュー後勝利がない新鋭投手のパーフェクト行進に東京ドームは動揺していた。ところが阪神が1-0でリードした8回表、一死走者なしの状況で村上に打順が回ると、岡田彰布監督は原口文仁を代打に送った。
村上の投球数は84球だったが、岡田監督は交代という果敢な決定を下した。しかし、8回裏からリリーフ登板した石井大智が先頭打者の岡本和真に初球を打たれ、ソロ本塁打で1-1の同点に追いつかれた。これで、村上のデビュー初勝利の条件が吹き飛んだ。
結局、試合は延長10回に及ぶ接戦の末、阪神が2-1で勝利したが、7回までパーフェクトだった村上を84球で下げた岡田監督の采配をめぐって議論が起きた。
指揮官は試合後、リードが1点という不安な状況で、経験の浅い村上に最後まで投げさせる決断を下すことは難しかったと話していた。
ただ、日本プロ野球通算165勝を収めたレジェンド投手で、2015年に韓国プロ野球KBOリーグのハンファ・イーグルスで投手コーチを務めた西本聖氏は、自身が評論家を務める『日刊スポーツ』で岡田監督の采配を真っ向から批判した。
西本氏は「1点リードでチームの勝利を最優先すれば、降板は当然だと思う人はいるかもしれない。しかし、自分が投手出身だからかもしれないが、納得しかねる降板だった」とし、「もし負けたら最悪の黒星となり、今後の戦いへのダメージにもつながりかねなかった。村上が投げ続けて完全試合を逃したとしても、逆転負けしたとしても、ただの1敗で終わっていたはずだ。そんなリスクを背負ってまで降板させる必要はなかった」と指摘していた。
(記事提供=OSEN)