先発投手として経験豊富だとは伝えられたが、今年のトリプルAの成績は14試合(先発6試合)で防御率7.09(47回、自責点34)、12被本塁打だった。
極端な打高投低の舞台であるトリプルAのパシフィックコースト・リーグでプレーしていたことを考慮しても、目立った記録自体が特になかった。
しかし、ウィルカーソンはトリプルAでの不振について、「ロボット審判、ピッチクロックなど新しい規定に適応するのに苦労した」と話した。
それとともに、「今では韓国でリアルベースボールができるようになって良いし、ここで競争して勝利したい」と意欲を固めていた。
本物の野球の舞台にやってきたウィルカーソンは羽をつけた。
すでに昨年、日本の阪神を通じてアジアの舞台を経験したためか、適応期間自体が事実上皆無だった。
昨シーズン、日本では4試合3勝1敗、防御率1.04(26回、自責点3)、18奪三振、4四球、被安打率0.198の成績で5月にはセ・リーグ月間MVPにも輝いたこともあったウィルカーソンは、韓国の舞台でも強烈な印象を残し、上場のデビューを飾っている。
ウィルカーソンは去る7月26日、12連勝に挑戦していた斗山ベアーズを相手に韓国初登板し、5回6被安打、2四球、3奪三振、2失点の力投を繰り広げた。
勢いのある斗山打線相手に攻撃的に攻め込み、斗山の12連勝を阻止する貴重な勝利を導いた。
また、8月1日のNCダイノス戦でも6回6被安打、1四球、4奪三振、3失点とクオリティスタートの好投を繰り広げた。
そして6日、SSGランダースを相手に7回1四球、6奪三振、無失点というノーヒットの完璧投球を繰り広げた。
その後、ク・スンミン、キム・ウォンジュンとともに、韓国プロ野球史上3人目のチーム内“ノーヒッター”という大記録の一員になった。
計算が立つ安定したピッチングの秘訣は四球の少なさだ。
「8000m飛ぶ本塁打より四球を与えるのがもっと嫌だ」という自らの信条がマウンド上でそのまま現れている。“軍鶏”のような気質を発揮しながら、エースとして位置づけられている。
どんな状況でも勝負を繰り広げるのがウィルカーソンの強みだ。ここまで通算18回4四球と、9回当たり2四球の割合だ。3ボールの状況までもつれることがほとんどなく、少ないカウント内で攻撃的に勝負を仕掛けている。
それだけに、7回ノーヒットを記録した6日のSSG戦では、6回までパーフェクトだったにもかからわず、以後チュ・シンスに四球を与えてしまい、残念な気持ちをあらわにしていた。
トリプルAの舞台では410.1回119四球で9回当たり2.61個、日本でも70.2回21四球で9回当たり2.67個の四球だけを許した。
四球とは程遠いスタイルを固守するウィルカーソンは制球力を前面に出し、150kmを超える圧倒的な球威を持っていなくても、効率的で圧倒的なピッチングができる原動力を発揮している。
四球を嫌うウィルカーソンはチームを勝利に導き、「チームノーヒッター」という大記録まで導いた。
ウィルカーソンは「チームの上昇のために来た。より高い順位に上がるよう努力する」と覚悟を固めている。
これまで韓国では2014年のLGツインズ、2022年のSSGがチームノーヒッターを達成してきたが、いずれの球団もその後ポストシーズン進出に成功した。特にLGは監督中途辞任という最悪の雰囲気を乗り越え、奇跡を起こした。
2022年のSSGは史上初の「ワイヤー・トゥ・ワイヤー」の優勝に成功した。「チームノーヒッター=ポストシーズン進出」という珍記録は依然として挑戦中だ。
ロッテ・ジャイアンツは現時点で43勝49敗とし、依然として勝率が5割切りの0.467としており、5位とのゲーム差も5.5ゲームまで広がった。
しかし、現時点で中位圏ではどんなことが起きてもおかしくない。ロッテもひとまず、ウィルカーソンの大活躍で巻き返しのモメンタムをもたらした。
意志が燃え上がる青い目の闘鶏は、チームのポストシーズン進出のためにどれだけ多くの勝利をもたらすだろうか。
(記事提供=OSEN)