一般的に、FA資格を得た選手はホーム球場ではなく個人練習で来季に向けた準備を行う。チームを離れるという意図よりは、「万が一」という意味合いが濃い。
しかし、オ・スンファンは遠慮することなく、大邱サムスン・ライオンズ・パークに“出勤”して個人練習を続けている。
かつては阪神タイガースでも守護神を担い、現在所属するサムスンでも優れた技量と責任感ある姿で普段からチームメイトの信頼も厚いオ・スンファンは、個人練習だけに没頭するのではなく、後輩たちの面倒見も良い。
非活動期間の自主練習に慣れていない若手の良い手本になるという評価だ。
オ・スンファンには「サムスンのユニホームをずっと着続けたい」という確固たる意志がある。
オ・スンファンは最近のインタビューで、「サムスン・ライオンズというチームがなければ、オ・スンファンという選手もいなかっただろう。そのため、最後まで良い絵を描くのは当然だ」と話した。
また、「キム・ジェユンという良い抑え投手が来たので、チームの大きな助けになるだろう。そのような選手が来ることでチームは強くなり、ブルペンも強くなる。我々のチームが常に抱える最も大きな問題として、リリーフ陣が指摘されてきたが、私はチームが1勝でも多くできるのであればどんな役割でも担いたい。GMにもそんな話をした。役割は監督が決めてくださるだろうが、何回に登板するであれ、どの役割でもチームがたくさん勝つことが目標」と付け加えた。
20代の選手と比べてもコンディションが劣らないオ・スンファンは、「まだ心の片隅には欲が残っている。だからこそ良い成績も出したいし、最後に一度本当にサムスンが1位を獲り、自分も年齢の話が忘れられるほど良いシーズンを一度は必ず見せたい」という願いを表した。
オ・スンファンは2005年のデビュー以降、年俸交渉で一度も雑音を起こしたことがない。代理人なしでFA交渉に乗り出したオ・スンファンは、球団と合意点を見出すために努力している。
球団は、「サムスンしか知らない」と言って良いほどに誰よりもチームに対する自負心と愛情が強いオ・スンファンに対し、彼が満足できる待遇を提示する必要がある。
それこそが、生きる伝説であり、球団初の投手永久欠番候補最有力の選手に対する礼儀というものだ。
(記事提供=OSEN)