男女共学化を掲げていた韓国の東徳(トンドク)女子大学が、抗議活動を行った学生らへの刑事告訴をすべて取り下げた。
5月15日、同大学によると、学校側は前日14日、抗議活動を行った学生19人に対する告訴の取り下げ書類、処罰を望まない旨を記した書面を警察に提出しという。告訴から約6カ月が経過しての決定となる。
大学関係者は「今回の件に関して、大学側が学生を告訴していたすべての案件について取り下げ処理を行った」と説明した。
そのうえで、「対立が長期化・拡大すれば、大学の発展にとって否定的な影響を及ぼすとの共通認識が双方に生まれた」とし、「今回の出来事が、大学と学生の関係が円満となるきっかけとなり、より良い対話の枠組みが構築されることを願っている」と述べた。
一方の学生側は「今回の事態を通じて、大学の構成員が受けた傷に対し、心から遺憾の意を示す」との趣旨の立場を大学に伝えたとされている。
東徳女子大学のキム・ミョンエ総長は、本日午後に正式な見解を発表する予定だ。
この問題は、昨年11月に大学が学生との議論を経ず、男女共学化を推進しようとしたことに端を発する。反発した一部の学生が本館を24時間体制で占拠し、施設にスプレー塗装を行うなどの抗議行動を展開した。
これに対し大学側は、施設破損による被害額が最大で54億ウォン(約6億円)にのぼるとして、当時の総長名義で総学生会長を含む21人を財物損壊および業務妨害などの容疑で警察に告訴していた。
今回の告訴取り下げにより、大学としては学生との和解に向けて一歩を踏み出した形だが、警察が今後も捜査を継続する可能性がある。
というのも、学生らが問われている器物損壊や業務妨害といった容疑は、「被害者が処罰を望まなければ不起訴になる」という“反意思罰罪”には該当しないため、取り下げだけでは直ちに刑事処分を免れることにはならないからだ。
(記事提供=時事ジャーナル)
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