韓国最大手IT企業NAVERのウェブトゥーン(縦読みのウェブ漫画)がピンチだ。不買運動や会員脱退など、ユーザーからの激しい反発が続いている。
10月23日、韓国のX(旧ツイッター)には「ネイバーウェブトゥーン不買」がトレンド入り。オンラインユーザーたちは「ネイバーウェブトゥーン不買」のハッシュタグをつけ、アプリの削除や購読取り消しを勧める文章や、それを実行した証拠画像を上げている。
実際の利用者数も減少した。調査会社モバイルインデックスによると、ネイバーウェブトゥーンのAndroid基準での日間アクティブユーザー数(DAU)は、これまでの220万~230万人レベルから、不買運動によって200万~210万人レベルへと約10%減少した。
怒りの原因は、ネイバーウェブトゥーンが女性嫌悪を助長する“作品”を放置し続けていることだ。
その作品は『異世界ポンポン男』(原題)。アマチュア作品なのだが、ネイバーウェブトゥーンの「2024地上最大公募展」の第1次審査を通過したことで、大きな問題となった。
そもそも「ポンポン男(ナム)」とは、過去に複数の男性と関係を持った女性と結婚した既婚男性を「洗剤」に例えたネットスラングだ。「男性経験の多い女性」を最後に「洗った男」を揶揄する意味が込められている。このスラング自体が男女対立を引き起こす表現といえるだろう。
そんな『異世界ポンポン男』は、家庭を捨てて浮気した妻に全財産の半分と養育権を奪われた夫が、亡くなった後に異世界に行くというあらすじ。作中には、浮気をしながらも家庭内暴力として認められるために自傷行為を試みる女性キャラクターや、「現行法は過度に女性に有利だ」といった内容のセリフが登場する。
『異世界ポンポン男』が第1次審査を通過したことで、女性ユーザーを中心にオンラインコミュニティで反発の声が提起された。
そこから不買運動が広がっていったのだが、さらに火を大きくしたのは、ネイバーウェブトゥーン自身だ。10月16日、X公式アカウントで『幼なじみコンプレックス』(原題)を宣伝し、「幼なじみコンプレックスを不買します。飛ぶように購入する、火のように熱く購入する」などと投稿した。これが現在展開中の不買運動を嘲笑していると捉えられた。
議論が大きくなると、ネイバーウェブトゥーンは「(このフレーズは)最近の不買運動に関する世論が発生する前の9月10日に、作品のマーケティングの一環として制作・使用したもので、広告キャンペーン運営のミスにより、以前の投稿がコピーされ、新たに再発行され、一時的に露出が増えた」と釈明。そして「今回の件でご迷惑をおかけした該当作品の作家を含め、不快感を抱かれたすべての方々に心から謝罪申し上げる」と頭を下げた。
ネイバーウェブトゥーンとしては、不買運動のきっかけとなった『異世界ポンポン男』に介入したいだろうが、それも難しい状況だ。というのも『異世界ポンポン男』は公募展に提出された作品に過ぎず、ネイバーウェブトゥーンの作品ではないからだ。
公募展の第2次審査の結果が発表される11月22日まで、『異世界ポンポン男』は放置するしかないのかもしれない。
ただでさえ、作画と分量、ストーリーを基準に審査する第1次とは違い、読者の反応も総合して評価される第2次審査で、不買運動の原因といえる『異世界ポンポン男』が通過する可能性は低そうだ。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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