新時代の漫画コンテンツとして期待された韓国発の縦読みウェブ漫画「ウェブトゥーン」が苦境に立たされている。
振り返れば今年6月、韓国最大手IT企業NAVER(ネイバー)のグループ会社「ネイバーウェブトゥーン」の親会社「ウェブトゥーンエンターテインメント」がナスダックに上場した。上場初日は株価が公募価格より10%近く上昇し、「アジアのディズニー」という声まで上がった。
しかし、ここがピークとなってしまう可能性が出てきた。
原因は、ナスダック上場後、初めて公表された第2四半期の業績発表だ。
去る8月9日に発表されたウェブトゥーンエンターテインメントの2024年第2四半期の売上は、前年同期比で0.1%増加し、3億2097万ドル(約472億円)だった。ただ営業利益はマイナス7660万ドル(約112億円)の赤字だ。
市場の期待値である売上3億4080万ドルを下回り、営業赤字も想定より大きかった。
また、ユーザー数の急減も顕著だ。第2四半期の「月間アクティブユーザー数(MAU)」は1億6630万人で、前年同期比で0.8%減少。第2四半期の「月間有料ユーザー数(MPU)」は780万人で、前年同期比で0.4%減少している。
特に最大市場である韓国では、前年同期比でMAUが6.6%、MPUが7.3%減少した。韓国のMPUは2022年第1四半期以降、400万人台を維持してきたが、2023年第4四半期に390万人に減り、今年第1四半期380万人、そして第2四半期に370万人となった。
日本ではMAUが1%、MPUが15.5%増加し、全体の減少をある程度食い止めたが、全体の売上を引き上げるには至らなかった。
さらに、ユーザー1人当たりの有料コンテンツからの平均収益(ARPU)は11.2ドルで、前年同期比で1.4%増加したが、韓国では9.9%、日本では5.7%減少しており、その他の国での上昇でカバーされた形となった。最大市場の反応は鈍いままだったわけだ。
ウェブトゥーンエンターテインメントは現在、アメリカ現地の株主たちによる集団訴訟を受けようとしている。
株主たちは「上場後6週間で発表された第2四半期の業績が証券市場のコンセンサスとかけ離れていることは、ウェブトゥーンエンターテインメントが上場時にS-1(証券申告書)などに記載すべき内容を故意に省略したか、虚偽情報を提供した可能性が高いことを意味する。業績の悪化が株価の急落につながり、投資家に損失をもたらした」と主張している。
実際に第2四半期の業績発表後、株価は8月8日の20.6ドルから翌日には12.7ドルへと38.3%下落。最近では10ドルを下回る懸念まで出ている状況だ。
ウェブトゥーンエンターテインメントは、第3四半期の売上予測を3億3200万ドルから3億3800万ドルと発表したが、これは市場予測の3億5100万ドルを下回る数字だ。
とある韓国メディアは「韓国や日本のユーザーの間では、ネイバーウェブトゥーンの連載作の数は増えたものの、実際に読む価値のある作品を見つけるのが難しいという不満が出ている。1つの作品が人気を集めると、似たようなジャンルの作品が次々と登場し、多様性に欠けるという指摘がある。最近の作品は主に『学園もの』や『転生もの』に偏っており、ストーリーだけでなく『絵柄も似通っている』という批判も一部のユーザーから上がっている」と厳しく指摘した。
新時代の漫画プラットフォームとして期待され、その市場規模は2022年50.6億ドルから、2031年には849億ドルにまで拡大するとの予測もあるウェブトゥーン。その先頭を走るネイバーウェブトゥーンがここから持ち直すのか、注目したい。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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