「女性嫌悪」が社会的イシューとなり、「フェミニズム」意識が急速に広がっている韓国社会に、一石を投じた日本人女性がいることをご存知だろうか。
彼女の名前は小松淸香さん。紙媒体よりネット媒体の漫画(ウェブトゥーン:Webtoon)が盛んな韓国で、唯一の日本人として活動するウェブトゥーン作家だ。
ニュージーランド留学中に韓国に興味を持ち、2001年に初訪韓。釜山大学の韓国語学堂で韓国語を学び、2002年には日本の大学を中退して釜山大学に入学したという。
大学卒業後はソウル近郊の京畿道に拠点を移し、月間PV数100万・アクセス数40万に及ぶブログ「私の目で見た韓国、韓国人」を運営しながら数々のテレビ番組に出演。“日韓の架け橋ブロガー”としてその名を知られるようになった。
そんな小松さんが、2016年1月からウェブトゥーンの連載を開始。
『寿司女 キムチ男』というタイトルの、韓国人夫との結婚生活をテーマにした作品だった。
ところが、第2話の「割り勘」が掲載された以降、小松さんは誹謗中傷を浴びせられるようになる。
“男性が女性におごることが当たり前”“男性が荷物を持つのが当たり前”といった韓国の社会風潮に反して「割り勘したい」「重い荷物を持つのは主婦である私の仕事」といった経験を綴ったことが、一部の女性コミュニティから反発を買ってしまったのだ。
小松さんには「まるで韓国女性はダメで、日本女性は優越な存在のように描写している」「日本女性の従順さは精神病レベル」「日本の女は奴隷みたい」「男に媚びながら売春婦のように生きている」といった中傷コメントが寄せられ、連載は結局無期限中止。
加えて電話による脅迫や、虚偽の脱税・児童虐待を通報されるなど悪質な嫌がらせが後を絶たなかったらしい。
小松さんは本業の職場を辞めて入院するほど衝撃と被害を受けたそうだが、寄せられた誹謗中傷に反論するべく、昨年に『中傷コメント後記』という本を自費出版した。
本の中では女性中心社会になれば男性の責任回避や自尊感情の低下を招き、結局女性にも被害が及ぶと主張しながら、韓国に蔓延する男女間の葛藤や女性嫌悪などに対する見解を述べた小松さん。
韓国人よりも韓国社会を心配し、行動を起こしている彼女の今後にぜひ注目したい。
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