女性将校の「過酷行為」で19歳の男性訓練兵が死亡した韓国の事件、ジェンダー対立に飛び火したワケ

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江原道・麟蹄郡(インジェグン)の陸軍第12師団の訓練所に入所していた訓練兵が死亡した事件を覚えているだろうか。

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国防の義務を果たすために軍に入った満19歳の若者が人生の花咲く年齢で命を失ったのだ。今年5月の事件だ。その死亡原因は尋常ではなかった。

訓練兵が前日に騒いでいたという報告を受けた中隊長が、訓練兵たちに完全装備をさせた状態で、先着順の駆け足と腕立て伏せを命じた。これは適切な軍事訓練というよりも、一種の苛酷行為に近い指示であった可能性がある。

その結果、ある訓練兵が横紋筋融解症を発症し、状態が急速に悪化して病院に搬送されたものの、命を落とすことになった。

事件の詳細が明らかになる過程で追加情報として浮かび上がったのは、この苛酷な行為を行った問題の中隊長がROTC出身の女性軍人であったという事実だ。

この事実が知られると、特に軍経験者が大多数を占める男性中心のコミュニティでは、世論が一層悪化した。男性兵士より身体能力が劣る女性軍人が適切な訓練や指揮ができるはずがないという不信感や、女性は兵士にもなれないのにどうして将校になれるのかという非難の声が上がった。これに対して「加害者が女性軍人だから起きたことではない」「女性軍人制度そのものへの攻撃に発展してはならない」という反発もあった。

さらに衝撃的だったのは、一部の女性中心のコミュニティの反応だ。

事件が報じられた直後から「軍の問題は男たちの問題だから自分たちでどうにかしろ」というコメントが投稿され、過激な女性中心のコミュニティ「WOMAD」では、訓練兵の葬儀場の写真まで添付して、死を嘲笑するような反倫理的な投稿がされる事態にまで至った。

この痛ましい事件さえも、どうしてオンライン上でジェンダー対立の材料にされてしまったのだろうか。

「なぜ男性だけが軍隊に行くのか」

兵役を終えて除隊した兵士
(写真提供=OSEN)

実際に軍隊の問題は、韓国インターネットの初期からジェンダー対立の主な原因となっていたといっても過言ではない。1999年に軍加算点制度が違憲判決を受け、2001年に廃止されたことで、男性たちは社会が軍服務を尊重していないと不満を抱いた。

同じ国民なのに、なぜ女性は兵役を果たさないのかという反発も、この時期に初めて大衆的な論争のテーマとして浮上した。しかし当時はジェンダー対立のレベルが非常に低かったため、論争はすぐに収束した。

しかし2010年代に入ると、韓国経済の低成長が顕在化し、若者世代の不安が増大するなかで、青年男性たちの軍服務に対する不満は悪化し続けた。2年間の時間を奪われることで、同年代の女性たちよりも社会進出が遅れてしまい、軍当局や国家機関が青年男性の軍服務を尊重していないという怒りが急速に広がった。

2016年以降、軍服務の問題は本格的にジェンダー対立の素材となった。この頃から青年男女のジェンダー対立が爆発したからだ。

女性中心のコミュニティでは「軍の問題は国家と男性の間の問題だから、女性に文句を言うな」と嘲笑し、軍の話を頻繁に持ち出す男性を「軍ムセ(軍隊+エンムセ=オウム)」と揶揄した。女性中心のコミュニティで兵役に対する尊重を拒む雰囲気が広まると、青年男性たちを中心に、自分たちの不満を公論化しようとする試みが行われた。その象徴的な瞬間が、2017年のムン・ジェイン(文在寅)政権時代の青瓦台(大統領府)国民請願であった。

当時、ムン・ジェイン大統領は「男女ともに兵役の義務を負うべきだという請願もあるが、おもしろいイシューだ」と発言した。これが青年男性たちの間で「男性だけが兵役の負担をすべて負っている現状に対する不満が、ただのおもしろい話題に過ぎないのか」という強い反発を引き起こした。

同様に、「共に民主党」のパク・ジュミン議員が「女性も国防の義務を負っている」と一蹴したことも、ただの言葉遊びに過ぎないと批判された。結局、青年男性たちは、自分たちの問題提起が同世代の女性や政治家たちに、ただの冗談と見なされていると感じたのである。

もちろん、こうした不満が一部受け入れられ、軍服務の待遇が急速に改善されたこともあった。ムン・ジェイン政権とユン・ソンニョル(尹錫悦)政権の双方で、兵士の給与が大幅に引き上げられ、軍内での携帯電話の使用が可能になるなど、様々な変化が続いた。

しかし、これだけではますます深刻化する青年男性たちの不満をすべて解消することはできなかった。実際に待遇や報酬よりも根本的な問題は、共同体のための犠牲を伴う社会的な認知と尊重だったからだ。依然としてジェンダー対立が支配的なオンラインコミュニティにおいて、一部の女性中心のコミュニティが軍服務を尊重しない姿勢を見せるなかで、「性平等を謳っているのに、なぜ軍隊には男性だけが行かなければならないのか」という疑問が絶えなかった。

最近の低出産によって人口構造は急変したが、依然として残る北朝鮮の脅威も大きな影響を与えている。休戦ラインの兵力の密度は維持しなければならないが、兵力の資源は減少し続けるという避けられない危機は、多くの男性にとって重要な関心事だ。しかし、この問題にも答えを出さない政治に対して不信感を抱かせざるを得ない状況だった。

もし社会全体で軍服務に対する尊重の雰囲気が長く続き、国防問題が社会全体の問題として認識されていたならば、青年男性たちの不満はこれほどまでに激しくはならなかっただろう。

兵役義務に対する懐疑心を引き起こす可能性も

したがって、このようなオンラインコミュニティの対立構造を理解すれば、5月に発生した第12師団訓練兵死亡事件に対する反応も理解できるわけだ。

男性の軍服務に対する尊重が十分ではないという世論が一般的な状況の中で、青年女性たちが国防の義務に「ただ乗り」しており、政治はそれにまったく関心を持っていないという不信感が、現在の男性中心のコミュニティの基本的な感情となっている。こうした状況で「女性将校」が男性訓練兵を苛酷行為で死亡させたということで、女性軍人の存在自体に対する不満が噴出したのである。

軍当局の対応も世論を悪化させる一因となった。問題の中隊長に休暇を与え、調査を迅速に進めなかったことは、すでに沸騰していた不満にさらに火をつけた。「やはり女性軍人だから大目に見ようとしている」という反応が出ないようにするためにも、当局は迅速かつ徹底した調査で事態を収束させるべきだったという指摘がある。

男性中心のコミュニティでは、男性将校が問題を引き起こした類似の事例や、警察組織と女性警察官の問題を再び持ち出し、軍当局が「女性軍人に寛容な対応」をしていると批判している。

第12師団訓練兵死亡事件も以前の軍関連の様々な事件や事故と同様に、最近軍服務を行った、またはこれから行う予定の青年男性層に再び兵役義務に対する懐疑心を引き起こす可能性が高い。

この雰囲気は、待遇改善だけで解決できるような種類のものではない。今、青年男性層は、変化した韓国社会と人口構造、そして続く地政学的脅威の中で、兵役とは何かという根本的な問題認識と尊重を問題視している。

だからこそ政治界も、青年層の間で軍服務に対する社会的な雰囲気がどれほど悪化しているかを率直に認め、積極的に対処していくことが求められている。

(記事提供=時事ジャーナル)

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